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テーマ:心にのこる出来事(94)
カテゴリ:旅の中の日常
ブロードウェイ目指してバスに乗った。そこには大事な何かが待っている。そんな期待を胸にバスは夜の街から旅立っていった。
バスに乗って何処へ行くんだと思われるだろう、ブロードウェイにバスで行けるはずがないじゃないかって。 ところがどっこい行けるんだ。そう、ブロードウェイへ。 20歳を過ぎたころ、東京行きはいつもバスだった。 お分りのかたもいらっしゃるだろう、ブロードウェイといっても、もちろんNYじゃない、東京中野のブロードウェイだ。 じゃ、何しにそのブロードウェイに行くのか。そして、そもそも中野のブロードウェイとは何か、そこは、なんのことはないただのショッピングセンターなのだ。そしてただ単に、おいしいソフトクリームがあると聞いて、それを食しにわざわざ出かけていったわけだ。 はたしてその味はというと、わざわざ出かけていった甲斐はあった。 うっすらとレモン味の入ったバニラは、子どもの頃食べた近所のソフトクリームを彷彿させる味で、とても気に入った。 近所のケーキ屋さんで売っていたソフトクリームは、ボクにとって幻の味なのだ。未だにあの味を越えるソフトクリームに出会ったことはない。 それでなのかどうかは定かではないが、わざわざ東京までソフトクリームを食べに行ったのだった。 今も中野のブロードウェイは存在するようだが、あのソフトクリームが今も売られているのだろうか? ボクにとっては、そんなばかげた行動が、なんだか懐かしく思い出されるのだ。 そして、その後近くの「クラシック」という喫茶店に寄り、安いコーヒーを飲んで帰るのだ。たしかコーヒーが120円だったと思う。 フレッシュを入れてあるピッチャーがカルピスのふただったりするのだ。そして建物自体も傾いていて、風情というよりも異様な佇まいの店だ。そして、夏になると「省エネのため夏期の間はお休みさせていただきます」という張り紙をして、営業もしていない変わった店だった。そのくせ行くといつも満員なのが不思議なのだ。 若いときにしかできない、こんなバカな行動が、ウキウキした思い出として残っていて、思い出すたび、懐かしいというより微笑ましくもある。こんなことする人、どれぐらいいるのだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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