カテゴリ:アレルギー・アトピー
妊娠中・授乳中の食生活の注意点は、これまでに書いてきましたように、「回転食を心がけ、生ではなく、加熱調理をした食品を食べること」が重要ではないかなと思います。
最近、産後まもなくのバースプランも必要ではないかなと思うようになりました。赤ちゃんに最初に与えられるものが、赤ちゃんの腸内環境に影響を与えるのでは?ということです。もちろん、すべての産院がバースプランを受け入れてくれるわけではないし、出産状況によっては、受け入れ不可能になりますので、極力お願いを出す程度になるかもしれませんが、「当たってくだけろ!」精神も必要かなと(笑)。 ◇赤ちゃんが最初に口にするのは、なるべくおっぱいにすること(カンガルーケア、頻回授乳) →カンガルーケアを行ってくれるところなら、その願いはかなえてくれると思います。もちろん、産後まもなくおっぱいをくわえても、初乳は出ないかもしれません。でも、赤ちゃんがおっぱいを吸おうとする刺激がおっぱいを分泌する刺激につながります。最初の3日間は充分出ないと思います。でも、赤ちゃんは数日分くらいの栄養は蓄えて生まれてきているといわれています。授乳前後に毎回体重計で測定し、不足分をミルクで足す産院も多いのですが、最初から充分に母乳の出るママはほとんどいませんし、体重計に左右されず、頻回に吸う刺激が母乳の分泌を促し、赤ちゃんが飲み方も上手になるのです。それは自然の摂理であると思いますが、この時点で、産院スタッフに少ないなと言われ、母乳育児がしたくても、自分は母乳が出ないと思い込み、断念している方も少なくないようです。 では、なぜ、初乳が重要かといいますと、口腔粘膜や腸粘膜などを保護してくれるIgA抗体が豊富に含まれているからです。これは産後徐々にその分泌量が減り、成乳となりますが、成乳になった後も、断乳時まで少量ながらも絶えず分泌されています。このIgAの赤ちゃん自身の分泌は産後まもなくは限りなく0に近いそうです。そのため、感染やアレルゲン感作から守るのに、初乳が重要だそうです。また、母乳中に含まれるIgAは、初乳では100mlあたり約2~4gも含まれると言われ(参考)、その後、100mlあたり約0.4gに減ってしまうものの、成乳になっても、断乳(卒乳)時まで、1日0.2~0.3gは母乳経由で与えられるそうです。 参考までに、唾液内のIgAは生後3~4週で作られはじめ、6週頃からもっとも分泌が盛んになるそうです。末梢血中にIgAを分泌する細胞は生後1~2週で急増し、生後6~7ヶ月頃にほぼ成人値に達するという文献報告があるそうです。また、食物アレルギー・アトピー予防に重要な腸管のIgAは生後2ヶ月頃から腸のパイエル板で作られはじめ、生後10~12ヶ月頃にもっとも分泌が盛んになるそうです。また、アレルギー・アトピー体質の赤ちゃんは、その盛んに分泌される時期は、健常児よりも数ヶ月遅れることもよくあります。そのため、上記の参考文献にもあったように、少なくとも生後半年になるまでに、果汁などを与えることは腸内細菌のバランスを乱したり、未熟な腸粘膜の表面を荒れさせる原因になると思います。 ◇アレルギー体質の家系である場合、赤ちゃんに最初に与えるミルクはアレルギー予防用がおすすめ。また、赤ちゃんの兄弟姉妹、ご両親に重度のアレルギーがある場合は、アレルギー治療用ミルクがおすすめ →上記で母乳育児のことを書きましたが、諸事情により、母乳育児が困難な場合が多々あります。この場合、家系にアレルギー体質の方がいる場合は、アレルギー予防用ミルクをおすすめします。また、赤ちゃんの兄弟姉妹やご両親に、マルチアレルゲンまたは重度のアレルギーっ子がいる場合は、発症の有無は別として、体質的に遺伝している可能性が高いので、最初からアレルギー治療用ミルクの方がからだにやさしいそうですし、実際にアレルギー治療用ミルクをすすめている食物アレルギー専門医もいます。 というのは、実は産院で与えていた普通ミルクによる感作も少なくないと思っているからです。産院で与えていたときはOKでも、その後、完全母乳になり、ママが疲れたり、一時的に赤ちゃんを預けるとき、離乳食でミルク煮をしたときに、産院で使っていたミルクと同じだからと飲ませてしまったときに、アナフィラキシーのような強い症状を経験して、子どものアレルギーに初めて気づかれた方が少なくないのです。また、完全ミルク、混合育児で授乳をしていても、ミルクを与えるたびに嘔吐する、下痢をしている場合、皮膚症状が出る、体重がなかなか増えない場合、ゼロゼロするなども、ミルクアレルギーが隠れている可能性が多いのですが、飲ませすぎ、気のせいなどの診断で、結局は離乳がはじまって気づく場合も多いそうです。何が何でもアレルギーを疑うのはよくありませんが、少しでもアレルギー体質が遺伝する可能性がある場合は、注意をした方が良いと思います。 また、赤ちゃんが重篤なアレルギー体質の場合は、予防用ミルクでアナフィラキシーを起こされている方も1人や2人ではありませんので、完全母乳の方がミルクを久々に与えるとき、または与えるかもしれない可能性があるときは、赤ちゃんの体調が良いときに、あらかじめスプーン1さじからためしておくことをおすすめします。 ◇母乳やミルク以外に、赤ちゃんに糖水を与えないことを提案、どうしても与えるなら湯冷ましで充分 →赤ちゃんの腸は生後すぐは無菌ですが、最初の2~3日は悪玉菌の大腸菌などが入り込み、これがすぐに少なくなり、代わりに善玉菌のビフィズス菌が急増して、腸内に定着し、生後1週間目くらいには、善玉菌が腸内細菌全体の約95%をしめるようになり、それで赤ちゃんの腸を感染やアレルギーなどの疾患予防に貢献しているそうです。それが離乳を開始すると、徐々に善玉菌が減り始め、悪玉菌が増えて、大人並みの腸内細菌のバランスに徐々になるようです。文章でわかりにくい方は、グラフを参考にして下さい。 糖水を与える産院は少なくないと思いますが、糖水はグラニュー糖やショ糖で作る場合が多いと思います。それも10%なので、例えば、20ml飲めば、2gの糖が赤ちゃんに与えられるのです。アレルギー・アトピー予防の砂糖の摂取量の目安は体重分以内といわれています。例えば、3kgの赤ちゃんなら3gまで、10kgなら10gまで、20kg以上では20gまでだそうです。ただ、生後まもなくの赤ちゃんが体重2kgを超えていたとしても、いきなり砂糖2gも与えることに疑問をもちますが… また、善玉菌は母乳やミルクに含まれるオリゴ糖を餌としますが、悪玉菌はこのオリゴ糖を餌にせず、糖水や果汁に含まれるグラニュー糖やショ糖、果糖などの糖を餌とするそうです。 つまり、生後1週目までは赤ちゃんの最初の腸内細菌のバランスを作るときです。そのときに糖水を与えてしまうと、減るべき悪玉菌が減らず、善玉菌の増殖を抑える可能性も高いのです。また、最初に書いたように、唾液IgAが盛んに分泌されるのが生後1ヶ月頃、腸管のIgAが盛んに分泌されるようになるのは、生後10ヶ月~1歳頃を考えると、それまでの腸はとても未熟なのです。それなのに、生後1ヶ月から麦茶(原材料の大麦がアレルゲンとなる場合があります)、生後2ヶ月からの果汁、生後4ヶ月頃の重湯や野菜スープが未熟な腸を傷つける可能性が高いことがわかってもらえると思います。最近は果汁指導が生後4ヶ月になってきているという話も聞いていますが、BFなどの表示では生後1~2ヶ月からという表示が少なくないと思いますので、アレルギー・アトピー予防を考える場合は、これらのことを参考にしていただければなと思います。厳格な場合は、産院での湯冷ましも必要ないと言われる方もいますが、そこまで私は言えませんが…(笑) というのが、最近考えるようになったバースプランです。これらを実践してくれる産院は徐々に増えています。例えば、下記のようなリストがありますので、参考にして下さい。 ◇REBORN産院リスト ◇赤ちゃんにやさしい病院 もちろん、上記にリストアップされていない産院でも、赤ちゃんにやさしい病院は増えていますので、近所であるといいですね(笑)。 <注意> これまでに提案してきた食物アレルギー・アトピー予防法は100%完全予防できるものではありませんし、現代では、完全予防法は皆無に近いと思っています。最終的には、赤ちゃんの体質に依存していると思っています。 そのため、少しでも不安因子を取り除くためのポイント、または、万が一、発症しても、その症状を少しでも軽減できたり、いかに早く対応できるかということにポイントをおいているということをご理解下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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