カテゴリ:アレルギー・アトピー関連本
昨日の新刊に引き続き、2冊目の紹介です。この2冊は同じ出版社(農山漁村文化協会)から、先月末(2007年3月末)に同時出版されたもので、どちらも食事療法をきちんと指導できる医師や薬剤師が書いた、とても納得できる内容の本だと思います。今回紹介する本は、私は読んだことがありませんが、アレルギーの薬がわかる本の大幅改訂版だそうです。
アトピーの薬を減らす本 最近、多くの方の体験談を拝見して、この2~3年での原因の複雑さやアレルゲンの変化を実感していましたが、これら2冊の著書でも示唆されていました。マルチアレルギーの方が増え、2~4種類の除去では改善が顕著ではない症例が増えてきて、その背景には血液検査に反映されない隠れ型が即時型より多いことや、これらに化学物質や農薬が関与してきて(化学物質過敏症)、診察内容も複雑化してきていることです。そのため、食物アレルギー診療ガイドライン(2005)やアトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2006)が作製され、今後はこれらのガイドラインにそって治療に望んでいく必要性が書かれていましたが、今回紹介した2冊は食事療法を基本としているので、血液検査だけにとらわれず、症状が出るか出ないかを見極めながら、症状が軽減できる工夫のヒントなどを示してくれているので、参考になると思います。 この著書にも書いていますが、食生活の欧米化に伴い、小麦アレルギーの増加、さらに、日本の主食である米アレルギーの急増のことも書かれています。特に米アレルギーでは、検査に出ない隠れ型がとても増えているのを感じていましたが、この本を読んでも、検査に出るタイプ、検査に出ないタイプ(発症までに数日以上かかるタイプ)があることも書かれていました。小麦や米アレルギーの治療法も数年前まではイネ科の雑穀を利用していたけれど、共通抗原性をもつため、最近はイネ科全般に反応する方も増え、今はキヌアやアマランサスなどイネ科以外の食材を取り入れつつも、主流は低アレルゲン米(高度精白米、ケアライス、Aカットごはん、酒米)が治療に利用されており、一部の方は普通精白米でも、コシヒカリ系からゆきひかりへの品種変更で症状が改善する症例があることも書かれていました。また、米アレルギーにはイースト(カビ)や糖分が関与していることが多いのですが(イーストコネクション)、それらの制限の有無による耐性獲得率と期間は参考になりました。 この著書のテーマである「アトピー性皮膚炎やアレルギーに用いる薬を減らすため」には、まずは「食生活の改善・見直し」が重要とあり、原因となる食物アレルゲンを排除することだと述べられています。もちろん、ダニやハウスダストなどのアレルギーも増えているので、環境整備はもちろん、各種花粉も皮膚症状などの誘発原因となるので、花粉症対策が重要であることはいうまでもありませんし、この本でも明記しています。 食生活の改善をする上での注意点でも、とても参考になる内容が多かったです。抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤を服用して痒みを抑えながら、仮性アレルゲンという痒みの原因となる化学物質(ヒスタミンなど)を含む食品を食べている矛盾などが列記されていました。これらを予防をするには、調理の工夫(加熱や灰汁抜き)や鮮度の良い魚類を選ぶこと、離乳期のバナナは注意することなどでした。 以上が著書の後半ですが、前半はお薬の内容になります。ステロイドが怖い、薬をできるだけ使いたくない、医師や薬剤師に正しい使い方が聞けないなど、周囲からの誤った情報や保護者の思い込みや不安な気持ちにより、逆に薬の量が増えたり、長期間使うことになる原因となっていることも多いので、この本でセルフチェックをしながら、薬の効能、注意点、副作用、正しい使い方などを知るきっかけが得られるようになっています。最近は漢方薬を利用する人が増えてきたので、そのことについても触れられています。かなり詳しく書かれていると思うので、薬の使用に不安がある方はぜひ一読してみることで、今まで抱えていた不安を明確にしながら、主治医や薬剤師に相談すると良いかなと思います。 また、食物アレルギーがある場合は、薬が原因で症状が悪化する場合もあるので、薬の成分や添加物などにも注意を払い、医師や薬剤師にアレルゲンをきちんと伝える必要性があることも詳しく述べられています。私も「薬にはご用心!」で、5大アレルゲン(米・麦・豆・卵・乳)についてまとめていますが、それ以外にも、ジャガイモ、コーン、牛由来、鶏由来、豚由来、ゼラチン、添加物など、多くの原材料に注意が必要だと思います。風邪やアレルギーなどの症状を緩和させるために服用した薬で、逆に症状(皮膚症状、鼻炎、喘息など)が悪化したり、アナフィラキシーなどの重篤な症状が出る原因となることは避けたいものです。 私が選んでいる治療方針とほぼ同じ考え方のアトピーの薬を減らす本とアレルギーっ子の入園・入学安心マニュアルの2冊に出会えて、この2日間はプチハッピーです。先月からアレルギー関連の書籍を数冊購入していますが、この2冊のおかげで、心がかなりすっきりとしました。 昨日のブログにコメントありがとうございました。またゆっくりと返事をさせていただきますので、お時間のあるときにのぞいてもらえるとうれしいです! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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