記事 韓国の危機に溜飲を下げている場合ではない 大陸の強大化で日本列島も朝鮮半島も正念場 東洋経済オンライン 岡本 隆司 中国と朝鮮半島は日本にとって永遠の隣人。なのに、相互理解は極めて難しい。 それは長い歴史のなかで形成された社会構造や思考の論理が大きく違うからだ。 週刊東洋経済の新連載「歴史の論理」の著者である岡本隆司氏は 近代アジア史の大家。該博な知識を縦横に駆使して、東アジアで発生する最新ニュースの裏側を読み解いていく。 週刊東洋経済12月3日号(11月28日発売)に掲載された連載第1回の全文をお届けする。 世界を揺るがせたトランプの米国大統領当選。その衝撃冷めやらぬ間に、筆者が滞在中のソウルでは、3週続けてのデモが行われた。当局発表で1万人、次に4万5000人と拡大。11月12日ではその6倍弱となる26万人。その現場に居合わせ、実見した奇遇を感じながら、この稿を起こしている。 朴槿恵大統領の支持率は、ほぼゼロ 朴槿恵(パククネ)大統領の支持率は、もはやゼロに等しい。ソウルでは友人の誰に聞いても「どうなるかわからない」との答えばかり。事態の帰趨は、日本人にとって、トランプに勝るとも劣らないほど重大なはずである。 韓国は現政権になってから、息つく暇もなく動き回ってきた。 北朝鮮の背後に控える中国の強大化が、最大の原因である。 同盟国の米国が頼りにならなくなったと見るや、 中国の歓心を買うと同時に、米国に警告すべく積極的に手を打った。その目的は、北朝鮮の脅威を緩和する、ということに尽きる。 いたく日本人の顰蹙(ひんしゅく)を買った「告げ口外交」も、日本をターゲットにする「反日」だけにとどまるまい。 執拗な日本たたきはむしろ、米中へ向けたメッセージと見るべきだろう。 中国はもとより、その動きを歓迎した。与国の北朝鮮と敵対し、ライバルの米国の先鋒の役割を担っていたはずの韓国が、自らすり寄ってきてくれたのである。喜ばないはずはない。そのあまり、北朝鮮との関係がギクシャクして、金正恩(キムジョンウン)政権にいささか無謀性急な軍備増強を図らせる結果を導いた。核武装まで視野に入ってきたのである。 そこまで来て、韓国は後悔したらしい。最も北朝鮮のブレーキになってほしい時に、中国が動いてくれなかったからである。 中国からすれば当然、 隣り合う北朝鮮の不安定化阻止こそ最重要課題であって、 韓国の利害など顧慮するはずもない。 韓国はそれを見て取るや、今度は態度を一変、米国・日本との関係改善に舵を切る。もちろん最大の貿易相手国の中国の怒りを買い、日米の猜疑も解けない。たちまち進退に窮した。その揚げ句、政権は液状化し、崩壊が目前に迫っている。 不快極まりない言動を繰り返した韓国。 その危機に溜飲を下げる日本人は、少なくないかもしれない。 それは大いにけっこう、しかしそこで終わりにしてはならない。 賢明とはいえないが条件反射のようなもの 確かに賢明とはいえなかった韓国の言動。けれどもそれは、 その地政学的な位置が然らしめる条件反射のようなものである。 四囲を海で囲まれた日本の人々に、こうした生理は永遠に理解共感できまい。 かつて朝鮮王朝は、 明治日本に対抗するため、清朝の威を借り、ロシアの勢力を引き入れた。 返す刀で清朝の圧力をかわすため、日米を頼った。 そして独立自主を達成してまもなく、亡国の憂き目に遭った。 強大国が取り巻く半島政権は、生き延びるために、 利用できる勢力はなるべく動員せねばならぬのである。 これを戦略ともいえるが、そう名付けるには、あまりにも性急で、余裕がない。 やはり半ば生理的・本能的な条件反射というべきだろう。 その反射をいかにコントロールし、秩序の安定に導くか。過 去の歴史では、それが実現せずに行き着いた先は、半島政権の消滅である。 はるか古(いにしえ)の三国時代にせよ、 前世紀の植民地化にせよ、 いずれも、列島に幸福をもたらさなかった。 高い代価を支払ったのは、ほかならぬわれわれ日本人なのである。 大陸の強大化で、半島も列島も正念場にある。 白村江・元寇以来の危機かもしれない。 史上そうした局面に居合わせていることを肝に銘じたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.12.02 08:15:33
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