カテゴリ:A 【米国】
Jon Sindreu and Mike Bird 2018/02/07 04:41
背景には、インフレ懸念や米国債利回り上昇もあるが、株価急落の多くは、ファンダメンタルズ(基礎的な条件)ではなく、他の要因で説明がつくとアナリストは指摘する。そのため、底堅い経済成長や好調な企業収益を追い風に、株式相場は今後持ち直し、引き続き順調に推移するとの期待も高まっている。 なぜ積極的な買い手が行き詰まった売り手へと豹変したか。以下に、その背景にある戦略を挙げてみよう。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、VIX先物取引はこの間、2倍に増えたが、投機筋は低ボラティリティーが続くとの見方に過度に傾いていた。 5日の市場で、こうした賭けは大きく外れる。VIX指数は前営業日の17から37を上抜け、2015年8月以来の水準に跳ね上がった。分析によると、低ボラティリティーを見込んだ戦略は、予想が外れた際に、投資家が先を争って反対取引によりこれをカバーしようとするため、株式相場の反転を増幅する可能性がある。VIX指数先物は実際、引け直前に急上昇しており、こうした兆候を裏付けているとアナリストは述べている。 ナティクシス・インベストメント・マネジャーズの首席市場ストラテジスト、デービッド・ラファーティ氏は「5日のシステマティックな売りは、ボラティリティーの増大はないと見込んだ取引の巻き戻しか、圧縮の動きだろう」と話す。 XIVの低下を見込んだ商品の中で、とりわけ人気なのはベロシティシェアーズ・デイリー・インバースVIX短期ETN (XIV)とプロシェアーズ・ショートVIX短期先物ETF(SVXY)だ。XIVとSVXYはいずれも過去1年に倍の水準に値上がりしていたが、5日は14%、32%それぞれ下げており、今後値上がり分をほぼすべて失う公算が大きい。 アナリストはこうした低ボラティリティーを見込んだ新興商品が株価の下げを増幅させており、早期に持ち直すことはないだろうと指摘している。 アリアンツ・グローバル・インベスターズのグローバルストラテジストら、ニール・ドウェイン氏は「インバース・ボラティリティーETFが清算に追い込まれる事態になったことは、市場はボラティリティーの水準に一段と迅速に適応できることを示唆している」と述べた。 これは、市場安定に対する保険を売りたい顧客の需要を満たすため、銀行がこれとは逆を見込んだポジションの形成を余儀なくされるためだ。つまり、株式相場が急騰、もしくは急落すれば、銀行は収益を得ることができる。 銀行は通常、購入した保険による収益や損失を相殺するため、相場の押し目で株式を購入するか、少し上昇した場面で株式を売ることでヘッジしようとする。これにより、株式相場は実態以上に円滑なように見える可能性がある。だが値下がり幅が極めて大きくなると、銀行はこうしたヘッジ取引を見送り、単に巨額の収益を確保しようとするかもしれない。そうなれば、相場の動きを増幅させる。アナリストや市場関係者は、銀行が現在、こうした戦略に出ているとみている。 バンク・オフ・アメリカ・メリルリンチのアナリストは6日付けノートで、リスクパリティファンドやCTAは、足元の株価急落で2000億ドル(約22兆円)相当の株式売却を迫られたと推測している。これは過去2日の取引量の約12%に相当する水準だ。モルガン・スタンレーのデータによると、リスクパリティファンドのレバレッジは過去最高水準にあり、ポートフォリオで多くの株式を保有している。そのため、株式市場の変動が高まると、手仕舞いを急ぐ傾向があるという。 リスクパリティファンドは、より長期的な観点からボラティリティーを測定するため、市場の動きに対する反応が後れる傾向にあり、今回の売り局面では大きな役割を果たしていない可能性がある。市場関係者は、リスクパリティファンドが今後数カ月に売り圧力をもたらすと警鐘を鳴らしている。 アルゴリズムを使った自動売買は、株価の値上がり局面では市場の楽観的な見方を強める一方で、状況を悪化させることもあり得る。 GAMホールディングスの首席エコノミスト、ラリー・ハザウェイ氏は、「アルゴリズム取引、モメンタム取引と呼ばれるものはトレンドに追随する傾向があり、相場動向の度合いが増す要因になる」と指摘する。 5日の米国株式市場では、午後に入り、特定の要因がないまま急落する場面があった。ハザウェイ氏を含め多くの投資家は、背後にアルゴリズムによる自動売買の影響があるとみている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.02.09 08:00:30
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