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2018.03.18
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​記事 羽生善治さんに「大局観」の真髄を訊く​
──ライフネット生命特別対談(前編)​

2017年02月07日

先日、将棋界の至宝、羽生善治さんをライフネット生命にお招きし、社長岩瀬大輔との対談を行いました。中学生棋士として15歳でデビューしてから30年余り、常にトップを走り続けてきた羽生さんが、そのキャリアの中で磨いてきた「大局観」とは何か。ビジネスパーソンのヒントにもなるその思考法に岩瀬が迫りました。

■直感だけでもロジックだけでも目的地にたどり着けない


岩瀬:今日はビジネスにも通じる「大局観」の話から、将棋ファンが気になる話までいろいろとお伺いしたいと思います。まず、羽生さんがなぜ大局観というものを重要視されているのか、教えていただけますか?


​羽生:将棋では、ロジックだけで先の局面を読んでいこうとすると、すぐに“数の爆発”の問題にぶつかってしまいます。1手3通りずつ考えていくとすると、10手先を読むには、3の10乗で6万通り近くの可能性を考えないといけない。それではとても判断できないので、違うアプローチとして大局観を使っているということです。​

岩瀬:具体的にはどういう時に大局観を使っていますか?

羽生:戦略や方針を決めるとか、今までの総括をするとか、流れを読むとか、そういう抽象的なことを考える時に大局観を使っています。

ただ、一口に大局観といっても2通りあります。一つは序盤で使う大局観。対局の始まりからその時点までの流れを見て、次の一手としてどれが最も一貫性があるか、自然なものか、つじつまが合っているのかということを考えています。もう一つは終盤で使う大局観ですが、この時は「何となくこういう結末になるんじゃないかな」とイメージを浮かべています。

岩瀬:ビジネスでも、過去の流れから未来に向かう戦略を考えることがあります。ある経営者も、「経営は小説を最後のページから読むようなものだ」とおっしゃっていました。つまり結末を考えて、そこから逆算していく。羽生さんの場合、「こんなふうに終わるんだろうな」というのはボヤッと見えてくる感じですか?

羽生:ジグソーパズルに似ているところがあります。最初は完成形がよくわからないけど、ある瞬間にふと「こういう形で出来上がるんだな」と見えてくることがあります。試行錯誤を繰り返す中で、全体像が見えてくる感じです。

岩瀬:理詰めで積み上げて考える部分と、直感で考えることの使い分けはどのように行っていますか?

羽生:目的の場所を見つけるのに似ています。たとえばライフネット生命のオフィス(千代田区麹町)を探す時に、最初は直感で「千代田区だな」と目星をつけます。でもそれだけではたどり着けないので、「千代田区のここだ」ということをロジックで見つけていく作業をします。

直感というものはすごく便利ですが、最後はちゃんとロジックで詰めないと正しい結論にたどり着けないこともあります。 逆に地道に一歩一歩ロジカルに探していけば間違いは少ないのですが、方向性を誤ると永遠に目的地にたどり着けないことがあります。

岩瀬:6歳から将棋をされている羽生さんが、大局観を意識し始めたのは何歳頃からですか?

羽生:小さい頃から「読み」と「大局観」の両方を考えていましたが、30歳を過ぎてから、大局観の比重は高くなっています。記憶や計算といった部分が得意な20歳前半頃までは読みが中心。年齢が上がってくると、経験値を積む中で大局観が磨かれていくこともあって、だんだん感覚的な要素の比率が上がっていきました。

岩瀬:以前、羽生さんから伺ったお話で印象的だったエピソードがあります。それは大ベテランの大山康晴十五世名人と対戦した時に、羽生さんは将棋盤の前で考えているのに、大山名人は一手指したらいなくなって、戻ってきて指したらまたいなくなって、を繰り返していたというもの。

​羽生:一手も読んでいないんです。そんなことを言ったら失礼ですが、本当に読んでいない。見ているだけ。でもそういうふうに、絵や写真を見るような感覚で次の手を選ぶというやり方もありえると思います。それはある種のパターン認識なのかもしれないし、幾何学的な判断なのかもしれない。​

​「これはこういうものだ」という判断の仕方は、何十年も修練を積んだ職人さんの仕事のやり方と似ているのかもしれません。

若いうちは思考が常に全開モードだけど、年齢が上がってくるにつれだんだん省エネモードというか、抑えるところは抑えて、集中するところは集中するようになるのだと思います。

■迷った時に「見切れるかどうか」が調子のバロメーター


岩瀬:次の手に迷った時はどうしていますか? 時間をかけて考えることで解決するのか、それとも考えてもしょうがないと見切って指すこともあるのか。

羽生:だいたい30分以上考えている場合は迷っていることが多いですね。そういう時に何を根拠に判断するのかという難しい問題がありますが、本当にわからない時は、個人的な好き嫌いで決めてもいいかなと思っています。迷った時にどうするかは自分自身の調子を測るバロメーターにもなっていて、現実的、物理的に判断するのが難しい場面で見切りをつけて決断できる時は調子がいいし、そこで迷って堂々巡りになってしまう時は調子が悪いということが言えます。

岩瀬:だいたい何手先まで読んでいるものですか?

羽生:展開にもよりますが、実戦では10手先はほぼ予測できません。仮に10手先を計算したとしても、自分が予想していない手を指されて、もう一回そこで考え直すというケースがほとんどです。実際の対局は暗中模索、五里霧中で続けていくことが多いですね。逆に自分の思い描いていたビジョン通りに進んでいる時ほど要注意なんです。相手もそれを想定しているということなので。

岩瀬:変な質問ですけど、日常生活でも何手も先まで読んでいるんですか?

羽生:全く読まないですね。理屈っぽいと思われて、あまりいいことはないので(笑)

■反省と検証は後回し。ミスをしたら今やるべきことを考える

岩瀬:ブレずにいるために心がけていることはありますか?

​​羽生:緊張感を持つことですかね。ただ、緊張にもいい緊張と悪い緊張があって、悪い緊張をしている時は身がこわばってしまいます。いい緊張をしている時は身が引き締まる。それって、人間の場合、例えば水につけたら引き締まる、というような条件反射的なものでもないので(笑)、意識的に習慣化していく必要があると思います。

​​

岩瀬:想定していなかったミスに対しては、どのように対処されますか?

​​羽生:ミスをしたり想定外のことが起こったりした時、つい最初に、反省や検証をやりたくなるのですが、それは後回しにしています。

ミスをしていない時は、一貫性があるかとか、つじつまが合うかというアプローチで考えますが、
ミスをしたと思ったら過去のことはとりあえず置いておき、現在の状況から何が最善なのかということを考えます。​

岩瀬:気が動転したり慌てたりすることは、ありませんか?

羽生:気持ちの動揺というのは常にあります。そういう場合は、ちょっとお茶を飲むとか、外の景色を見るとか、1分程度のちょっとした休憩時間を作ると、だいぶ冷静さを取り戻せます。

岩瀬:ミスをした時の対応方法は、ビジネスにもあてはまりますね。反省や報告書は後でいいから、まずはみんなで何をすべきか、ということを考えるのは同じですね。

​​羽生:ミスをした後に余計にミスをしてしまうことは多いと思います。将棋では一回形勢が不利になるとさらに不利になりやすいので、
今以上に悪くならないために何をすべきか、ということを考えています

​​

(つづく)

 <プロフィール>
 羽生善治(はぶ・よしはる)
1970年、埼玉県所沢市生まれ。6歳の時に同級生に教わったのをきっかけに将棋を始める。15歳の時にプロデビューして以降、数々の記録を塗り替え、タイトル獲得数は97期に及ぶ(2017年1月現在)。平成7年度には、名人、竜王、棋王、棋聖、王位、王座、王将の7つのタイトルをすべて獲得。現在は王位・王座・棋聖の3タイトルを保持。

<クレジット>
 文/香川誠
 






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最終更新日  2018.03.18 19:11:27
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