カテゴリ:IH【健康・医学情報】
ーーー 健康情報 ーーー
2018/05/27 11:00 ビタミンDは食物からとるだけでなく、紫外線を浴びることでも合成される。
ビタミンDは 今回、国立がん研究センターの研究者たちは、日本人を対象に、血液中のビタミンD濃度とがんのリスクの関係を調べることにしました。 食物から摂取したビタミンDと、紫外線を浴びることにより体内で生成されたビタミンDの大部分は、血液中を長期間循環します。したがって、これを測定すれば、ビタミンDの過不足を知ることができます。 対象となったのは、多目的コホート研究「JPHCスタディ」に参加した、東北から沖縄までの9つの保健所管内に住む40~69歳の人々です。1990年または1993年の時点で、がんとの関係が示されている要因(年齢、性別、喫煙、飲酒、身体活動、がん家族歴、糖尿病の既往、BMIなど)に関する情報が得られており、同時に採血を受けていた3万3736人を、2009年12月31日まで追跡して、登録後のがん診断の有無を調べました。 おおよそ16年の追跡で、3734人ががんと診断されていました。メラノーマ以外の皮膚がん患者を除外し、データに不足があった患者や血液標本の量が不十分だった患者などを除いた3301人を分析対象にしました。 また、採血の時点で選出した4456人のうち、がんと診断されたグループと同様の条件を満たした4044人を対照群としました。 血中ビタミンD濃度は季節によって変動するため、採血時期を考慮したうえで、分析対象になった人々を、値が最も低い人から最も高い人まで並べて4つのグループに分け、血中ビタミンD濃度が最も低いグループと比較した、それ以外の3つのグループのがんのリスクを推定しました。
その結果、血中ビタミンD濃度は、がん全体のリスクと逆相関関係を示しました。血中濃度が最も低かったグループと比較すると、2番目に低かったグループのがんリスクは19%低く、2番目に高かったグループでは25%低く、最も高かったグループでは22%低くなっていました。 ビタミンD濃度が最も高かったグループのリスクが、2番目に高かったグループより低くならなかったことは、ビタミンD濃度が一定レベルを超えると、利益が頭打ちになる可能性を示唆します。 ビタミンDの過剰摂取は高カルシウム血症や腎障害を引き起こすことから、安易にサプリメントに頼らず、健康的な食事を取り、適度に日光を浴びるほうが、利益は大きくなると考えられます。 論文は、2018年3月7日付の英BMJ誌電子版に掲載されています[注1]。 [注1] Budhathoki S, et al. BMJ. 2018 Mar 7;360:k671. doi: 10.1136/bmj.k671. 医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。 [日経Gooday2018年5月2日付記事を再構成] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.05.29 10:36:31
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