カテゴリ:V 【過去ログ 迫田さおり選手 その1】
ーーー 記事 ーーー 佐藤 俊 まったく浮かれた様子はなかった。ロシアW杯初戦コロンビアに2-1で勝ち、W杯で8年ぶりの勝利を挙げた日本だが、ミックスゾーンで長谷部誠は終始厳しい表情だった。 勝負は細部に宿る――。長谷部は、大会前からずっとこのことを突き詰めてきたからだ。
勝ったのに、渋い表情がつづく。 「前半、早い時間でひとり退場になって先制できたところまではよかった。でも、そこからなかなかいい攻撃ができなかった」
「ハーフタイムに、ボランチが1つ前のラインに出て、サイドバックも高い位置をとって、どこで攻撃のスイッチを入れるか、スピードの変化をつけるかというのをみんなで考えてやっていこうという話をした。 選手間でコミュニケーションを取り、攻撃の型やリズムの変化をつけることはできた。ただ、それは相手が1人少ないことを考慮しないといけない。 11対11での戦いになっていれば、長谷部と柴崎岳のダブルボランチ、そしてセンターバックの吉田麻也、昌子源もあそこまでフリーでボールを持てることはなかった。むしろ逆に相手に詰められてどう打開すべきか、苦慮していただろう。
長友佑都がクリアし損なったボールをファルカオと長谷部が競った末にゴール前でFKを取られた。相手のファールにもみえたが、判定は覆らない。長谷部が悔やんだのは、このFKへの対応だった。 「FKは、スカウティングでコロンビアが壁の下を抜いてくるのをかなりやっていたんで分かっていたんです。だから、壁はジャンプをし過ぎず、ボールが通らないぐらいのジャンプをしようという話をしていたし、実際に壁を作っている時も『ジャンプし過ぎるな』という話をしていたんです。でも、そういう中でやられてしまった。これで引き分けになっていたらもったいないことになっていました。そういう小さなところからしっかりと詰めていかないといけない」 また、攻撃についても長谷部は表情をしかめた。前半3分にMFのカルロス・サンチェスが退場になってから、日本は期せずしてボールを持てる展開になった。 「前半に関していうと、僕ら中盤のボランチが下がり過ぎた感じがあったし、真司もサコも引いてくるという形になったんで、相手にとっては全然怖くなかったと思う。
「セネガル戦まで4日あるんで、しっかり休んで、また明日から。自分たちは相手を研究して、自分たちのやり方を決めるサッカーをしているので研究をしっかりしないといけない。もちろん今回の課題も修正していく」 表情は淡々としているが、この勝利がいかに大きなものか、W杯の1勝の重みを長谷部は理解している。なんとなくふんわりしていたチームがひとつ勝つことで加速をつけてまとまっていく。2010年の南アフリカW杯がまさにそうだった。そこではベテランが果たす役割が大きい。今回は本田圭佑がベンチにいながら一番声を出して応援したり、吉田麻也がロッカーの洗濯物を片付けたり、ベテラン勢の献身がチームに一体感を生み出している。 「それが自分たちの強みでもあるんで」 キャプテンは、そう言うと少し表情を崩した。長谷部の妥協なき勝利への厳しさもまたチームの“強み”である。強みを増した日本の快進撃が始まろうとしている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.06.21 05:55:49
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