過去ログである ―――― ◆ ―――― 副題 昔の赤坂・六本木の想い出 私の若い頃の話である 当時、赤坂に外国人女性だけがいるナイトクラブが、二・三軒あった 今では外国人ホステスなど珍しくもないが、当時は外国人ホステスなど本当にめずらしい時代だった それにホステスと言っても、学生などの旅行者が小遣い稼ぎにアルバイトをして、次の国への旅費を貯めるというパターンがほとんどだった 今のように東南アジア・旧ソ連圏・中南米などから職業的ホステスが来て稼いでゆく という時代とはまったくちがう そんな背景での思い出話なのだが ーーーー そんなある時、ある赤坂の外国人ナイトクラブで、ある若いフランス女性が私の席に座った おしなべてフランス女性は、私が非常にセクシーだと思って尊敬申し上げている人達であるのだが その彼女との初対面の会話で、私は彼女がフランス人だと知って、その頃、国際的なベストセラーになっていた「ピーターの法則」という本を話題にした。 ちなみに彼女は、背が高くてやややせ形、繊細な容貌で、ブロンドの長い髪 これまで私が日記に書いてきたO思い出の外国人女性は、みんなブロンドだが、これは、たまたまであって、私はブルネット(黒に近い、栗色の髪の毛)の女性も大好きで、むしろブルネットの方が好きかも知れない。 マリリン・モンローの映画で「紳士は金髪がお好き」という映画があるが、まあ、一般に西欧の男性は、アメリカもそうかな?ブロンド女性が好きみたいだ。 私はブロンド・ブルネット、両方ともいける。(笑) マリリン・モンローがジョー・ディマジオと新婚旅行で日本に来た 宿泊した帝国ホテルのボーイ?が浴槽でマリリンの金髪の pubic ヘヤーをみつけて高値で売ったと言うが マリリンの金髪は、あれ、ブリーチしたものなんだよ(笑) ---- 古代ギリシャでは、金髪が好もしい髪の毛の色とされていて、あの地中海沿岸では金髪率が低いにもかかわらず、女性はみながゲルマニア(今のドイツ)から輸入された石鹸(つまりアルカリ)で髪をブリーチして金髪にしたという。 とすれば、ミロのビーナスもブロンドだったのかな? 私の好きなニケ像は首がないが、やはり、ブリーチド・ブロンドだったのでは? ちなみに、金髪率はやはり、緯度的に北に行くほど多くなる。 同じ英国でも、南部イングランドと北のスコットランドでは大きく金髪度がちがう。 ケルト民族は今はブルネットが多いが、ローマ帝国の歴史書によると「金髪の野蛮人」だったとか。 その後にもっと金髪のゲルマン民族がフン族の侵入にトロコテン的に押し出されてローマ帝国を脅かして、結果的に、欧州を支配したのだが。 ---- まあ、そういう話はどうでもいいんであって、 私は「黒い猫でも白い猫でも、ネズミを捕る猫はみんないい猫である」 と名言を吐いた「とう小平」に同感 私はブルネットの猫も、ブロンドの猫も、好きだし (いるかい??そういう猫) そう言えば、猫は、英語で、pussy だったっけ? 子猫だったかな? ------ 「ピーターの法則」というのは、当時世界的なベストセラーになった、あるフランス人学者の書いた本で、「人は、有能な間は昇進を続けるが、昇進して新しい職位の仕事の質が変化した時点で無能になり、昇進がとまる。その結果、階層社会の上部は、無能な人であふれるという法則」。 私自身をかんがみても、残念ながら思い当たるところのある、恐ろしくもシニカルな社会的理論である。 彼女がフランス人だと知って、私がこの本をちょっと話題にするやいなや、彼女は極めて饒舌にこの本への評価を学問的に知的に語りはじめて、それほど深く読んでいない私は、(精読してもそれほどわからないのだが)ただただ、「はいはい」と頭を下げて拝聴するだけとなって、やがて彼女が、フランスのあの有名なソルボンヌ(パリ大学)の現役学生で「いらっしゃって」、現在は世界漫遊の旅に出て「いらっしゃる」のだ・・・と言うことを知ることになる。 当時の赤坂のナイトクラブの女性はこういう女性が、ざらにいたのだ。 ---- 彼女は私に、彼女の日本でのった電話番号をくれて、数日後、六本木で待ち合わせた。 時間的に言うと、ナイトクラブがそろそろ始まる夕方頃だったが、彼女は「今日は休む」という。 どこかで彼女と飲もうと思って、その当時、よく通っていた外国人の女性が経営者である「ロミーズ」というバーに入った。 まだ、時間的にお客は一人もいない。 席に着くなり、彼女はいきなり私に抱きついてきて、キスをし始めた。 それだけでも驚いたが、ずっとキスを続けるのだ。 セーヌ河畔のアベックみたなのだ。 飲み物を飲むひまもない。 (飲み物の方がいいわけでは無い) 私はキスには応じなければいけないし、ママには気を使わなければいけないし、うれしいが、やはり恥ずかしい、・・・ということで、(男は冷静だな~)、とまどったが、なにしろフランス人だからフレンチ・キスで、おいしくて?私から止めるわけにも行かない。 でもこれがフランス流かな?と納得しながらキスを続けた。 結局、やはり、怒った? ママに二人は体よく追い出されてしまった。 やはり、バーでフレンチ・キスはだめかな~? あのママは外国人なのに、キスに寛容度が低いな~ キスはキスでも、フレンチキスはダメか? あのママは、どこの国の女性だろう? しかし、情熱の国スペインとはよく言うが、最高知性のソルボンヌの学生も、情熱的で衝動的だと言うことが、よくわかった。 その後、キャンティで飲み直して、食事はイタリア・マフィアのおじさんの店、ニコラスだったろうと思う。 タクシーで彼女を送って、別れのキスをしたら、 彼女が、「私は、あなたと make love をしなければいけないわ」と涙声で言う。 これが、涙ながらに話す文句か!? さすがは、セックスが食事とワインと同じレベルのフランス人だ。 ---- また、デートをして、こんどは彼女の下宿に泊まった。 場所は、東横線学芸大学前。 下宿と言っても、一軒家の一階部分を彼女が使っていて、家主さんの方が二階に住むという妙なシステムだった。 入り口も別になっている。 朝、気がついたら二階でフランス語が聞こえる。 彼女が家主さんにフランス語を教えているのだった。 フランス語を教え終えた彼女が下りてきて、私にキスをしてから、当然のように裸になった。 私はそれをどう呼ぶのか?名前を知らないけれど、ウェストに金の鎖をベルトのようにしていて、これが首ならネックレス、手首だったらブレスレットなんだけれど。 知っている女性は教えて欲しい。 クラナッハの裸婦像のように、ホッソリした彼女の滑らかで白い肌に輝く金のチェーンには妖しい感動を覚えた。 ------ 彼女はその家にカギをかけていなかったので、私は彼女が働いている時には、会社帰りに彼女の家に上がり込んで彼女を待っていることもあった。 ちょっときつめで、ちょっとわがままなお嬢さんだったが(とりあえず「ちょっと」をつけておこう)、 他にガールフレンドもいないことだし、 一人で帰宅するのも寂しいし、 彼女にも優しい部分はあるし、 私をとても好きそうだし それに、やはり、独り身の男にとって、二人でいるとただ楽しい。 ----- ある日(昼間)、私がビジネス上の用事で同僚と或る会社を訪問して、地下鉄でオフィスに帰る途上、階段を登っていると、偶然、彼女が、階段の上から下りてくるのに出くわした。 彼女は私を認めると、急に表情を変えて赤くなってうつむいて、黙って脇を通り過ぎた。 私が同僚と一緒だったこともあるのだろうが 誇り高い、わがままなフランスの女性にも、こういう、恥ずかしがるような一面もあるのか? と意外だった。 ---- ある夜、彼女と眠っていたら、電話がかかってきた。 彼女は長い間フランス語でしゃべっていたが、電話を切ってから少し泣いている。 事情を聞くと、彼女のお父さんからだという。 彼女の家は、確かパリのセーヌ河の中州であるシテ島にあるとのことで、写真を見せてもらったが豪邸である。 おまけにローロス・ロイスとか高級車が二・三台写っている。 お父さんの車だという。 ヒエ~~! すごい。 それに、彼女自身は、自分一人で別にフラットで住んでいて、イタリア車の名車、アルファ・ロメオ・ジュリエッタに乗っているという。 ヒエ~~! そのアルファ・ロメオのガレージだか駐車場だかの料金を払え、とお父さんが電話で言ってきたというのだが、東京にいて彼女がすぐに払えるはずが無いじゃないか。冷たいね。 (当時は国際間の送金がまだちょっとややこしかった) それに、あんなに長い国際電話の料金の方が、ガレージの料金より高いだろうが! ・・・と、私が怒ってもしかたがない。 この父と娘の間には、暗くて深い溝があるようだ。 わからん。 個人主義のフランスだな~。 ---- ある朝、彼女から電話がかかってきて、至急来てくれ!と言う。 行ってみると、首がむち打ち症になったという。 あるイタリア人の男性に殴られたのだという。 彼女はその男性が好きで、フランスから日本にまで追いかけてきたのだという。 な~~んだ。 ちょっとがっかり。 それに、それじゃ、この私はどういう存在? 病院に連れて行って、コルセットをしてもらった。 彼女の首は常人より長め。 モリジアーニの女性みたいだ。 長めの首は、美人には見えるのだが、実生活面ではこういうふうに支障がでる場合があるようだ。 猪首の女性は幸運ですよ。 ---- しばらくして、何かが原因で私達は、いさかいをした。 彼女はフランス人特有のエゴイストで、それにわがままで感情的で激しい性格だから(女性はみんなそうかな?)、おとなしい?私も、ムカッとしたのだと思う。 思わず、平手で彼女の頬を叩いた。 叩いたとほんの軽く・・・、だけれど。 それも女系家族で育った私のはじめての行為だった。 私が女性に手を上げたことなど無い。 もちろん、現在、私は深く恥じて後悔しているけれど、その時は、私の手が、勝手に動いただけなのだ。 (インド人の召使いみたいなことを言っているな、私は・・・) その時の私の潜在意識に、例の彼女を殴ったイタリア人男性が存在していて、彼が彼女を叩いたと言うことは、彼は暴力的なマッチョの性格で、その彼に強くひかれている彼女は、マゾの要素が、少なくとも彼にはあるのだろう・・・という勝手な考え・嫉妬心が、私に、一瞬閃いたのだ。 おそらく深層心理で。 彼の真似をしたら、彼女は私を本当に愛するようになるだろう・・・と。 愚かだけれど、瞬間の事で、理性ははたらかなかった。 しかし、彼女は当然怒って、私達の仲は終わってしまった。 ---- その後、ある夜、そのナイトクラブに行った。 彼女を呼んではまずい、と思ったので、他の女性を呼んでもらったのだが、なんと、彼女が勝手に私の席に来て座った。 そこで私達は何もなかったように会話を交わしていたのだけれど、私は、もう一人の女性の方と多く会話を交わしていた、と思う。 すると、とつぜん彼女が私の手を取って、人目もはばからずに、彼女の柔らかな乳房に押しつけた。 私は、これで、彼女は私に、また、帰って来てくれると思ったのだが、この後会った時、彼女は私をまだ許さないと言った。 私は、それ以上はあきらめた。 何しろ、私は女性に手を上げたのだ。 一度、夜中に彼女の家の前までタクシーで行ったことがあったが、結局そのまま帰った。 あの胸に私の手を押しつけるという行為はなんだったのだろう。 私への独占欲だったのだろうか? それとも、あきらめかけていた私に、もう一度彼女への執着を燃え上がらせておいて、冷たく断るという、手の込んだ残酷なことを考えていたのだろうか? ---- その後まもなく、私は長い海外出張に出かけ、その間に、お嬢さんも日本にはいなくなった。 こういう風に、私は、海外出張だらけだったから、落ち着いて美しい愛をはぐくむ環境にいなかった。 かえすがえすも、残念に思う。
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最終更新日
2018.07.12 12:47:23
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