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記事 ソニーの新カメラ、スマホに圧勝 David Pierce 2018/07/30 17:09 ――筆者のデービッド・ピアースはWSJパーソナルテクノロジー担当コラム二スト *** 「スマホで本当にいい写真を撮れるのか?」という議論には、すでに結論が出ている。ここ数年で発売されたハイエンドのスマホの場合、そのほとんどがインスタグラムへの投稿から看板にプリントできるほどの写真まで、あらゆるものをきれいに撮影できる。スティーブン・ソダーバーグ監督は「iPhone (アイフォーン)7 Plus」だけで映画を1本撮影。その作品「Unsane(アンセイン)」には、ゾクゾクさせられた。 だが、だからといって単体のカメラが過去のものになったわけではない。本当にいいカメラは「メガピクセル」や「色収差」といった点で競うのではなく、スマホにはできない機能を兼ね備えている。便利なボタンを使った操作、長持ちする電池、ありえないほどスローなスローモーション動画、そして木星までズームできる機能などだ。 ソニーの新型カメラ「RX100 VI」の際立っている点は、そうした機能を兼ね備えながら、ごつごつとしたデジタル一眼レフよりもスマホに近いサイズであることだろう。RX100 VIより小型のカメラはある。1つの機能に限定すれば、RX100 VIより優れたカメラもあるだろう。だがここまでバランスがとれたカメラは、RX100 VI以外にない。カメラを始めるのに1200ドル(約13万円)を払うのは安くはないが、あらゆる場所に持って行ける1台としてこれよりも優れたカメラはない。 ポケットの中のエース RX100は長年にわたり、ポケットの中のエースだった。2012年に発売された初代モデルは400ドル以下で手に入れられるが、今でも素晴らしいカメラだと言える。6世代目となったRX100 VIに搭載されたひとつの重要なアップグレードは、ズーム機能だ。しかもかなり強化された。 RX100 VIのレンズは24ミリから200ミリまでの高倍率なズームレンズになった。これはiPhone Xよりもやや広角の写真を撮れるうえ、iPhone Xよりも4倍ズームできることを意味する。 これだけのズームを可能にするため、ソニーは大幅な妥協もした。これまでのモデルのレンズ絞り値はf1.8で、シャッターを切るたびに大量の明かりを取り入れていたが、RX100 VIは最小でもf2.8、ズームを最大限にした場合はf4.5だ。これにより、背景を少しぼかしたクールな写真が多少撮りにくくなった。暗い場所で撮影した場合は、ぶれなどが生じる可能性がある。 ソニーは手ぶれについては補正機能の改善で対応しているとし、暗い場所で撮影した画像も大半は問題なく鮮明に撮れるとした。だが筆者は違いを感じた。 © Provided by The Wall Street Journal. RX100は撮影する写真をあらゆる形で調整することができる。シーンの設定や完全なマニュアルモードでの撮影、さらにパノラマ撮影などだ。ただし本体が小さいため、ボタンやダイヤルですべてを選択することはできない。そのためスクリーンに表示される小さなアイコンにタッチしたり、分かりにくい設定メニューを延々とスクロールしたりしなければならない点もある。これらの表示はスクリーンのあまりに多くのスペースを占有するため、撮影時には必ず画像の端が覆い隠されることになった。 数段上のインスタ映えを RX100 VIは素晴らしい写真を撮影できる。この点は明らかにしておきたい。筆者のiPhone Xを使ってもいい写真を撮れるが、このカメラで撮るとより細かい部分まで正確に写し出すことができる。iPhone XとRX100 VIを試す際、筆者は両方で同じ写真を撮り、コンピューターに転送し、それを見比べてどちらがカメラで撮影したものかを当てようと試みた。正解率は100%だった。なぜならば、よりきれいな写真が常にRX100 VIで撮影したものだったからだ。 スマホとの比較中に最も大きな違いを感じたのが、RX100 VIのズーム機能と、暗い場所でのパフォーマンスだ。サッカーの試合を観戦中もRX100 VIに搭載された1インチのセンサーのおかげで、日没後でもはっきりとした写真を撮れた。前から18列目の席に座っていても、ズーム機能を使えばまるでベンチに座っているかのような臨場感ある写真を撮影できる。これらはスマホでは不可能だ。 それと同時に、両方を比較しながらスマホのカメラ機能が向上していることに驚いた。iPhone Xのポートレートモード、スローモーションの動画、そして暗い場所で撮影した写真は、パフォーマンスの高いカメラに十分対抗できるものだ。RX100 VIはまだ一歩先を進んでいる(本体の大きさにこだわらなければさらに数歩先を行くカメラもある)ものの、スマホは急速に進化を続けており、カメラの優位性は今後さらに失われていくのかもしれない。 筆者はRX100 VIを持ち歩いていても、何かを撮りたい時に素早くスマホに手を伸ばしていることがあった。ほとんどの写真は、アートとして撮影するものではない。お知らせをメモ代わりに撮影したり、経費を記録するためにレシートを撮ったりすることも多い。この場合、十分だと感じられる写真をさっさと撮影し、次にやることへと移れることが重要だ。 ソニーはRX100で撮影した写真をスマホに転送できるアプリ「PlayMemories(プレイメモリーズ)」を提供しているが、これは開発者らが利用者を拷問するために作ったようなものだ。使うには特定のWi-Fi(ワイファイ)に接続し、QRコードをスキャンし、プロフィルをインストールした上でかなり長い時間待たなければならない。しかも成功するまで3回か4回ほどこれを繰り返さなければいけないこともあった。カメラにとって最大の問題は、デジタル化が進んでいる生活に溶け込もうとしていないことだと筆者は考えている。だが利用者としては素晴らしい写真を撮りたい一方で、インスタグラムへの投稿も続けたいのだ。 360度の撮影やズーム機能、そしてフレームレートが高い動画の撮影ができることを考えると、カメラが消滅するのはまだかなり先のことだろう。ただしポケットに収まらないカメラを買う必要はもうないーー最新のRX100を試し、筆者はそう感じた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.08.15 14:43:27
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