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ながらえば
またこの頃や しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき 以下はあるHPからの拝借 ーーーー 永(なが)らへば またこの頃(ごろ)や しのばれむ 憂(う)しと見し世ぞ 今は恋(こひ)しき 藤原清輔朝臣(84番) 『新古今集』雑・1843 ■□■ 現代語訳 ■□■ この先もっと長く生きていれば、辛いと思っている今この時も また懐かしく思い出されてくるのだろうか。辛く苦しいと思って いた昔の日々も、今となっては恋しく思い出されるのだから。 ■□■ ことば ■□■ 【永(なが)らへば】 動詞「ながらふ」の未然形に接続助詞「ば」がついて、「もし~ なら」という仮定を示します。「この世に生き長らえるなら」と いう意味です。 【またこの頃(ごろ)や しのばれむ】 「や」は疑問の係助詞です。「しのば」は動詞「しのぶ」の未然 形で、「懐かしく思い出す」という意味。「れ」は自発の助動詞 「る」の未然形で、「む」は推量の助動詞「む」の連体形です。 【憂(う)しと見し世ぞ 今は恋しき】 「憂(う)し」は形容詞の終止形で「辛い、苦しい」という意味 です。「見し」の「し」は過去の助動詞「き」(実際の体験の回 想)の連体形です。 「恋しき」は形容詞「恋し」の連体形で、係助詞「ぞ」の係り結びです。 全体では「辛いと思っていたあの当時も今では恋しく思い出されるなあ」という意味です。 ■□■ 作者 ■□■ 藤原清輔朝臣(ふじわらのきよすけあそん。1104~1177) 百人一首79番の藤原顕輔(あきすけ)の次男でしたが、父とはず っと仲が悪く、若い頃は不遇で位も正四位下・太皇太后大進にと どまりました。中年になってからは評価が非常に高くなり、博学 で歌学(和歌の研究)に優れて、王朝歌学の大成者と言われてい ます。二条院に重用され、「続詞華集」の撰者となりましたが、 院が死去したため、勅撰集にはなりませんでした。 ■□■ 鑑賞 ■□■ 仲が悪かった父と子というと、自動車王ヘンリー・フォードと フォード2世が有名です。フォード2世は父譲りの有能な働き者 でしたが、なんと実の父フォードが激しく嫉妬し、2世は報われ ないまま早逝してしまいます。 清輔と父親・顕輔も仲の悪い親子だったようで、息子・清輔は 才能に恵まれながらも、何かと挫折の多い人生を経験しました。 正四位という意外な位の低さも、父親の横やりのようです。 ◆◇◆ この歌は、過去の辛かった思い出も今は懐かしいのだから、き っと今の辛さも将来懐かしく思えることがあるだろう、という内 容の歌。 原典は中国の詩人・白楽天の詩集「白氏文集(はくしもんじゅ う)」の 「老色日上面 歓情日去心 今既不如昔 後当不如今」 ではないかと言われています。 この歌の持つどことない諦めの感覚は、父との争いに疲れ切っ た清輔の心境を表しているようです。定家がこの歌を選んだのも 清輔のいる環境をよくわかっていたからかもしれません。 ただ、その清輔も40代を過ぎてからは二条院に深く信頼され、 重く用いられました。歌の通り、辛い時代を懐かしく思い出せる 日がきたのでしょう。 ◆◇◆ 作者・藤原清輔は多彩な作風で知られた人で、 ももつての波路に秋やたちぬらん瀬戸の汐風袂すずしも などの歌もあります。 冬近い、寒い毎日が続く昨今、暖かい瀬戸内海沿岸は、旅をす るのにもってこいかもしれません。 今は四国八十八カ所めぐりが 静かなブームですので、巡ってみられるのもいいかも。 八十八カ 所は、徳島県鳴門市にある霊山寺が一番札所です。 JR高徳線坂東駅から700mの距離にあります。 あなたもチャレンジしてみてはい かがでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.06.11 09:29:08
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