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記事 国内政治 「官邸で一番の嫌われ者は…」 4人の現役官僚が本音トーク AERA DOT 2018/09/06 07:00 事実上、次の首相を決める自民党総裁選を控え、ザワつく霞が関。国会で連日、論議された防衛省の日報問題、財務省の森友文書改ざん問題、文科省を揺るがした加計疑惑、局長らの収賄事件と、官僚の不祥事も続く。安倍政権に仕える現役官僚たちが語る本音と現実とは──。 【A氏 文科官僚(30代)、B氏 財務官僚(30代)、C氏 防衛官僚(40代)、D氏 内閣府官僚(50代)】 * * * ──9月7日に総裁選が告示されます。 内閣府D:安倍政権はずっと「経産省内閣」なんで嫌な感じですよ。もう5年以上になるので代わってほしい。ただ、一番代わってほしいのは、取り巻きの「安倍忖度グループ」の人たち。経済産業省出身の今井尚哉首相秘書官を筆頭に、幹部官僚人事を決める内閣人事局長の杉田和博官房副長官(警察庁出身)、和泉洋人首相補佐官(国土交通省出身)。この人たちは、パワハラと言われてもおかしくないレベルで他省庁の官僚を官邸に呼びつけ、上から目線で怒鳴るので評判はよくありません。あと経産省出身で国会議員になった西村康稔官房副長官も最悪。とにかく官邸が言うことは「今すぐ何が何でもやれ」とごり押ししてくる。指示も細かく、偉そうなので嫌われています。 文科省A:わが省は総裁選はほとんど気にしていません。一番気になるのは、改造で次の大臣が誰になるかということだけです。大臣によって、これまで丁寧につくってきた計画や、積み上げてきた行動が、ひっくり返されてしまう可能性があります。継続してきた仕事が、トップの一声でがらりと変わってしまうことは、勘弁してほしい。 財務省B:参院選、オリンピックが終わるまでは、安倍さんでいいです。でも、消費増税を先延ばししてばかりの安倍さんのままは困る。やっていけないだろうなという感覚です。今、財政赤字が相当なことになっているので、とにかく消費税を上げたい。一昔前は、日本人が国債を買っているから問題ないと言われていたんですけど、最近は国債の1割は外国人が買っています。 © Asahi Shimbun Publications Inc. 提供 官邸を仕切る菅官房長官(左)と安倍首相(中央)と杉田官房副長官 (c)朝日新聞社 防衛省C:わが省は経産省内閣と相性がいい。武器輸出、輸入などの政策にも力を入れてくれるので、大きな防衛計画の見通しをつけることができ、助かります。防衛通といわれるけど経済に弱そうな石破さんに比べると、安倍首相のほうがいいかなと思う。ただ、安倍首相の“お友達”は防衛省より極右で時々、怖くなる。安倍首相でなくてもいいけれど、安定した自民党政権がいい。防衛外交に関しては、野党はコネクションがないから機能しない。政権交代だけは勘弁です。 文科省A:確かに、民主党政権は思い出したくない……。アメリカの二大政党制とはわけが違いますからね。理想を掲げることは大切ですが、実現の可能性が低い政策は、事務方の仕事がはかどらない。現実的な路線が必要です。 内閣府D:鳩山、菅両元首相、前原元外相、長妻元厚労相、蓮舫内閣府特命担当相(事業仕分け)などはひどかったですよ。ただ民主党政権下は財務省の天下でしたが、安倍政権下では凋落が目立ちますね。 文科省A:ここ数年の経産省の躍進はすごい。 ■経産省に人事で完敗した財務省 財務省B:官邸における立ち位置で差をつけられているのは事実ですが、若手職員は財務省と経産省のパワーバランスについてはそもそも興味がないですね。上の人たちは、「われら旧大蔵省が国家を主導するのだ」と思って仕事をしていたから、苦虫を噛みつぶすような気持ちだと思いますよ。ただ、いくら経産省だって予算で制御できるわけだから、全体的には世間で言われているような差はないですし、気にしていないですね(笑)。 内閣府D:今、うちが草刈り場になっている。この7月人事でも首相直轄の経済財政諮問会議、一億総活躍、働き方改革など看板政策を官邸と組んで仕切る内閣府経済財政部局の政策統括官(局長級)のポストをまたもや経産省に取られました。財務省が将来の内閣府事務次官に送り込んでいた官房審議官は競い負け、そのポストが取れませんでした。内閣府プロパーに回ってくるポストは官邸から疎まれているものばかりですよ。 文科省A:首相直轄の総合科学技術会議を仕切る内閣府の科学技術・イノベーション担当の政策統括官も経産省に取られました。これまでポストはうちの旧科技庁系が座っていたのに……。東京医大の汚職事件で局長らが逮捕されるなど不祥事続きなので仕方ないですけど。官邸に近いポストは必ず介入してきますし、さすが経産省内閣というところでしょうか。 内閣府D:今井秘書官とべったりなのは、安倍首相だけでなく、菅官房長官もそう。ただ、官房長官周辺の指示はわれわれにもわかりやすい。政策重視の的確な指示が多く、「あ、これは菅さんの指示だな」というのがよくわかる。その一方で、首相周辺は、「首相のご意向」と言う割には、「本当に安倍さんが言っているのか?」「自分たちに都合よく忖度して言っているだけだろう?」と勘繰ることが多いですね。 財務省B:安倍内閣は安倍首相、菅官房長官ら政治家主導と言うけど、実際は官邸主導ですよ。安倍内閣になって、これまで各省庁が縄張り争いをやりながら、バラバラにやっていた政策を官邸に入った官僚たちが「首相の意向」を錦の御旗にして優先順位を決め、やりたい放題にやる官邸主導に変わったという言い方がしっくりきます。 内閣府D:しかし、政治案件の不祥事も多かったです。 防衛省C:うちの日報問題は、内部でも真相はよくわかりませんよ。稲田元防衛相が国会でないと言ったおかげで、全く関係ない私たちの部署でも日報の書類が机にないか捜せと指示され、ずっと捜させられました。こうして仕事が滞ることはおかしいです。ただ、普通、文書なんて捨てませんよ。隠し通せるはずがありません。結局、稲田さんが辞め、小野寺防衛相になったけど、ダメージはそんなにありませんでした。その後、安倍昭恵首相夫人の森友疑惑で財務省が火だるまに、さらに加計学園の疑惑で文科省に飛び火し日報問題は埋没していったので、仕事に影響が出ず、助かりました。 財務省B:森友問題に関しては、関係する理財局と、理財局以外では空気がまるで違いました。財務省の中でも理財局は当事者で、なんとしてもこの難局を一丸となって乗り切らなければという空気でした。一方で、問題をごまかしてはいけないという気持ちはありました。少なくとも室長より下の人は。課長より上はわからないけど(笑)。理財局以外、例えば主計局とか、主税局とか、税金を扱う部署は「何してくれているんだ」と思っているはずです。さらに、これで麻生財務相が更迭されでもしていたら、頭を抱えたと思います。財務省の立ち位置が下がるし、麻生さん頼みでここまで何とか官邸に対抗してやってきたので。ただ、今回の問題では安倍首相のために文書改ざんまでしたワケだから、大臣が更迭されるのも理不尽な話です。 内閣府D:それにしても、あの近畿財務局の、あれだけ昭恵夫人や政治家の名前を書き込んだ決裁文書って普通じゃまず考えられないですよね。これを言ったら問題になりそうだけど、公文書ってあそこまで詳細に書かないです。公文書以外に、備忘録メモとして別の紙に残すことはよくあります。それなのに保存期間が設けられている公文書にあれだけ書き込んだということは、よっぽど近畿財務局は、安倍首相、夫人案件について頭にきていたのでしょうね。文書に怒りが込められていたような気がします。自殺者も出ました。 (構成 本誌・田中将介) ※週刊朝日 2018年9月14日号 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.09.06 12:03:07
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