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★★ 復刻日記 ハーフムーン・ストリート カテゴリ:【英国】での思い出 歴史 2009.01.14 復刻するにあたって (前略) (復刻するには無駄な冒頭部分を削除した) 私は読書中に傍線を引くタイプである 「三色ボールペンで読む日本語」というベストセラーも買って 一時はこれを実行しようとした ○ 重要事項にはブルーのボールペンで傍線を ○ もっと重要な箇所には赤、レッドの傍線 ○ 個人的興味の箇所にはグリーンの傍線 こういう傍線の引き方をすれば読書が効率的に深く分析的に行え、 再読の時の効率がまるでちがう・・・という理論 私は原則的に、これを実行している 今はこういうことを実行する以前に ただ私の場合グリーンの傍線はめったに引かない もしれいがいてきにひくとすれば、それはフィクション、つまり文学書関係である その文章や、表現法に、参考になる部分、リサイクル出来そうな個所に グリーン・ラインである 普通の実用書や科学書、歴史書などでは もっぱらその内容である新知識を吸収する受け身になってしまって 私個人の意見・感じ方、反論などはほとんど浮かび上がらないから グリーンの傍線を引くケースはほぼ文学関係に限られる 興味ある小説などの中で 作者の観察眼やコメントに同感な箇所に引くのだけれど ときどき引きまくりの小説もある そのひとつが、これから紹介する 「ハーフムーン・ストリート」である ―――― ◇ ―――― 私は米国人ながら英国生活が長く英国人と言っても言いい ポール・セロー(Paul Theroux)という作家の本が割合に好きなのだが 彼の「ハーフムーン・ストリート」という小説を最近読んだら グリーン・ラインが一杯になった 特に前半部分である この小説の概要は次のようなもの : 米国人の若い女性がロンドンの国際政治研究所で働く内に (だからインテリ女性) あるきっかけから副業として、いわゆるエスコート・ガール(一種のコールガール) をするようになり、英国やアラブのお金持ちやインテリのお相手をする そのうちにハーフムーン・ストリートというロンドンのウエスト・エンド(高級商業地区)にある ある通りにあるフラットをパトロンのひとりからプレゼントされる 話はまだそれから続くことにはなるのだが・・・ この小説は、この若くて知的で魅力的で・・・ それでいて、とても冒険好きな女性の目を通して 色々なことが語られるわけだが この女性の目というのは 実際には、性を超越して「作者、ポール・セローの目」でもある訳で 普通の小説ではそれほど主人公の思考が語られることが無いように思うけれど このセローは実に鋭いしなやかな分析や観察をして、この女性に語らせている しかもなんていうか、実に私ごのみの思考なのだ だからグリーンの傍線が増えることになる ―――― ◇ ―――― このハーフムーン・ストリートは 先に言ったようにウエスト・エンドという まあ日本で言うと銀座のような高級商業地区にある ウェストエンドの中心にピッカディリー・サーカスと広場がある そこからまっすぐにハイド・パークに伸びる大通りがピッカディリーである そのピッカディリーに対して直角に いわば櫛の歯のように平行にいろいろなストリートが延びている たとえば有名なボンド・ストリートなどもそんなストリートの一つで それこそ世界の一流ブランド、グッチとかシャネルとかカルティエだとかが軒を連ねている それなのに、そのボンド・ストリートの一つ隣のハーフムーン・ストリート このロマンティックな名前を持つ通りは なぜかひっそりとした人目につかない、気配の無い通りである もちろん、一流店などは目につかない だからこそ、あの主人公の女性のおしゃれな隠れ家と言う設定がうまれたのだろうし 本当に、そんなフラットなどがあってもおかしくない ーーーー ◇ ーーーー 私は以前からこのハーフムーン・ストリートという通りの名前が 何となくロマンティックな気がして気にかかっていた この通りを歩いてみると 通りの中程に 通りの名称そのままのハーフムーン・ホテルというホテルがあった ある時、日本からの来客の宿泊用に、このホテルを初めて予約してみた 念のために下調べとして訪問してみると、決して大きなホテルではない むしろこじんまりしている しかし内部のインテリアなどにある種の古風な優雅さがあって 私としては気に入ったと言ってもいい 日本からそのお客が到着してそのホテルに送り込んで そのホテルから出てみると、ちょうど夕刻だった このストリートからピッカディリー大通りをながめると その上空あたりの空が赤く染まっている そうして、その低く沈んで行く、紅くて北国特有の大きな夕陽が このストリート全体をあまねく照らしていて まるで私の人生に、何か荘厳なことが起きたような、一種特別な気持ちがした ―――― ◇ ―――― 追記 この記事の最後の部分の文章を 気取ったキザな表だと思ったのか あるコメントが入ったので その関連で、私のレスを追記しておこう ーーーー コメント その1 この記事の最後で、こういう事を書いたら、OLIVE さんから「その後何か荘厳なことが起こったか?」と茶化された (笑) >このストリートからピッカディリー大通りをながめると、その上空あたりの空が赤く染まっている そうして、その低く沈んで行く、紅くて北国特有の大きな夕陽が、このストリート全体をあまねく照らしていて、まるで私の人生に、何か荘厳なことが起きたような、一種特別な気持ちがした ただ、この文章は、口から出任せに書いたわけでもないのである 緯度の低い欧州では、季節によって、太陽が非常に低くなって、非常にまぶしい それが、雲の切れ目から地上を照らすと、エル・グレコの絵にあるような、神の光臨のような雰囲気に包まれることがある エル・グレコはその名前からギリシャ系の先祖を持つ人かなとは思うが、一応、スペイン人のハズである スペインではそれほど緯度が低くないから、そのような現象は起きないはずだと思うのだが、どうなのだろう? エル・グレコが北欧に行ったことがあるのか? それとも、単に、彼の宗教的インスピレーションなのだろうか? コメント その2 私、結婚式は欧州で挙式したのですが、 その帰り道で、重いどんよりとした厚い雲が、突然途切れて、 そこからエル・グレコの光が地上に降り注ぎ・・・ (笑) だから、実感です そこから、「荘厳」な現実が始まりました(涙) ―――― ◇ ――――
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