カテゴリ:🔴 【ニュース・時事・政治・経済・社会】
ーーー 記事 ーーー チュートリアル徳井が申告漏れ 金融のプロが答える 「これってどうなの?」4つの問題点 (花輪 陽子) 吉本興業は10月26日に公式ホームページで申告漏れが発覚したチュートリアルの徳井義実さん(44)の当面の芸能活動自粛を発表しました。人気芸人がこのようなことになってしまい残念でなりません。「税理士がついていたのになぜ申告漏れ?」「法人を作ると何の節税ができる?」と そもそものところが分からない人も多いと思いますので解説したいと思います。 その1)なぜ申告漏れが起きた? 会社で年末調整の用紙が回ってきたという人も多いかもしれません。会社員だと企業が税金の源泉徴収を行ってくれ、年末調整で1年分の税金の精算をしてくれるために一部の人を除いては確定申告をする必要はありません。源泉徴収や年末調整によって、会社員は面倒な確定申告を自分でする必要がなく、国も確実に税収を取ることができるメリットがあります。フリーランスの場合も報酬から10.21%が源泉徴収されるのが一般です。テレビに出演する芸能人や文化人に対する報酬などもそうです。その後、確定申告をして正しい税額で精算をします。 しかし、法人を作ると話は別になります。法人に対して支払う報酬や料金は一般に源泉徴収不要となるからです。そして期末(決算)日から期限内に法人税、消費税等を納めなければなりません。また、法人から役員報酬を受ける場合は年末調整で所得税額を確定させて納税を済ませていれば確定申告の必要はありませんが、年間収入金額が2000万円を上回ると確定申告をする必要があります。今回、徳井さんは法人の納税と個人の納税と両方が申告漏れだったと推測されます。 その2)なぜ決算が複雑なのに法人を作ったの? 会社員だったら源泉徴収されるのに、なぜ決算が複雑になる法人を作るのでしょうか? 節税のために法人を作る場合も多いようです。 所得税は累進課税で課税所得金額が4000万円超の場合、45%の所得税が課せられます。これに加えて住民税が10%なので合わせて55%の税率になります。また、会社員の場合、給与所得控除など経費となる部分が少ないです。 これに対して法人を作ると、法人税の実効税率は30%前後と下がります。加えて自宅もオフィスにしているのであれば一定面積までは経費にできるなど売上から経費を引くことができます。会社員の場合、手取りから家賃を支払わなければならないので大きな違いになります。また、法人で経費となる役員報酬も株主が一人だけの会社であれば原則的に自分で金額を決められます。所得税があまりかからない金額にして、医療費控除などの控除をたくさん使う人もいるようです。 一般企業の場合、会社員としてではなく、法人や個人事業主として雇用契約をしてくれる会社は少ないですが、芸能事務所などの場合は融通が利くのでしょう。社会通念の範囲内で節税をして、きちんと税務処理を行っているのであれば通常は節税の範囲で収まります。売れている芸能人なども法人にしていることは多いです。 その3)「申告漏れ」に刑事処分はないの? しかし、数年間に及んで法人税も個人の所得税も申告をしていなかったために、無申告加算税、延滞税に加え、重加算税が課せられた可能性が高いのです。また、売り上げを隠すなどの悪質な脱税行為だと最大で10年以下の懲役や1000万以下の罰金もしくは併科となることもあります。 今年2月12日、約1億8000万円を脱税したとして、法人税法違反などの疑いで東京地検特捜部に逮捕された“青汁王子”こと株式会社メディアハーツ前社長の三崎優太氏(30)の場合、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を受けています。記者会見で徳井さんは「想像を絶するルーズさ」が原因だったと話していましたが、こちらはあくまで「申告漏れ」。一方、三崎氏は悪意がある「脱税」と判断されての刑事処分と考えられそうです。 日本国憲法第30条にも「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」という規定があります。つまり、たとえ悪意がなかったとしても、納税義務を果たしていないということは非常に深刻な問題なのです。知らなかったでは済まされないのです。 その4)なぜ税理士がいるのに申告漏れは起こってしまったか では、なぜ税理士がついていたのにこのようなことになったのでしょうか。税理士も銀行の入出金明細や領収書などの資料を出してもらえないことには勝手に処理をすることはできません。おそらく税理士が再三にもわたって催促をしていたけれど必要となる資料の全てを出さなかったと考えられます。
税理士や公認会計士などの士業やプライベートバンカーなどで芸能人やスポーツ選手に特化している専門家もいます。カネ守りのプライベートバンカーに取材をしたことがありますが、ファイナンシャルリテラシーが低過ぎることも多く、マネージャーと話をするというパターンが多いそうです。 売れっ子で想像を絶するほど忙しく、マネージメントをしてくれる家族がいなかったということは大変気の毒です。今後、このような残念なことがないためにも、芸能事務所でも社内研修をしたり、マネージメントを指導するなども必要なのではないでしょうか。また、芸能人やスポーツ選手などは社会に出る年齢が若いために十分なファイナンシャルリテラシーを持たずに社会人になるケースも多いです。中学や高校など公教育の場で金銭教育が受けられる機会が増えることを願います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[🔴 【ニュース・時事・政治・経済・社会】] カテゴリの最新記事
|
|