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ばあチャルさんの読書 『遠い接近』松本清張 ばあチャルさんの読書ノートである ーーー ばあチャルさんの記事 ーーー 2019年11月05日 『遠い接近』松本清張 https://plaza.rakuten.co.jp/bookmokko/diary/201911050000/ (相変わらず、松本清張さんの未読作品をつぶしています。本当に作品を多く残された・・・!) ***** 昭和17年、主人公は徴兵検査で第二乙種不合格だったのに32歳にして召集令状が来てしまった。入隊後のいじめ、残してきた家族への思い、朝鮮への転属、死なずに復員してきたのに家族6人は広島の原爆で死に、たった一人になってしまった。戦後の混乱そして赤紙を書いた人たちへの恨みに凝り固まって、復讐を目指す。 ***** そんなことを言ってはなんだが、ありそうなストーリ、だが、清張さんにかかると迫真だ、ご自身の経験もあるそうなのだが。 主人公はちょうどわたしの実父と同じくらいの年齢、父も教育招集は受けたが、その後、乙種だったからなのか、役所勤めだったからなのか、ツテがあったのか戦争中ずっと父はいた。ま、わたしは昭和16年生まれだからなにせ幼児、後から聞いた話。でも、母は、家族は心強かっただろう。わたしたち幼い姉妹も苦労してないはず。 それに比べてこの主人公色版画工の職人は自営業ゆえ、自分がいなければ商売ができない。その苦労を残った家族にさせ、あげく帰還しても、何もかも失ってしまったことがわかる。なぜ自分がこうなるのか、不公平への悔しさ、恨み。 この不条理を述べないでなるものか!という意気込みがひしひしと伝わる。 しかし、作者は「かたきを撃って」ストーリをおしまいにしない。 だいたい「かたきとは何か?」戦争というものか、政治家か、軍人か、国家なるものを憎むべきか。大きく言えば人間の営みの矛盾か。 小説の最後、主人公の頭の中で 「・・・・・マモナク、ソチラニイク。ヨシコドノ」 という電信文の想起に、泣いてしまった・・・・・・・・・。 解説に代表作の大作『昭和史発掘』がこの小説と同時進行とある。氏が何に情熱をかけたのか伝わるではないか。 ーーー 私のコメント ーーー ばあチャルさんへ また、松本清張ですか いいですね 松本清張氏の作品は すでに読んだ作品を読み返しても新たな発見がある 私は、松本清張氏のハードボイルドな文体が素晴らしいと思います ヘミングウェイのように 短文で素っ気ない、余計な装飾の無い DOWN TO THE EARTH な文体 それでいて想像力をかき立てる 私は松本清張は日本のハードボイルドの代表作家でもある と思っています 本質的には大藪春彦などとは違った 社会派・推理小説作家ではありますが 「ハードボイルド文体」という横串を刺すことも可能だと思います それに、あれほど超多作だったのに どの作品も、導入部からすぐにワクワクドキドキさせる カメラ好きであったように、旅行先の風景などの描写がすごい 平凡な庶民が、思わぬトラブルに巻き込まれる底知れぬ恐怖感 特徴の無いフラットな人格に見える人が 実は深刻な人生を抱えているのみならず その人格も、奥深く、時には醜悪で複雑なものであったり 平凡な人間が、実は深刻な悲劇の主人公である そう言う切り口 目の問題から もうあまり読書は出来ない私ですが ハードカバーの古本の松本清張全集を持っているだけで 幸せを感じます ーーー ばあチャル さんのレス ーーー alex99さんへ >また、松本清張ですか いいですね それにすでに読んだ作品を読み返しても新たな発見がある もう、性懲りもなく・・・再読もしております 昨日『ゼロの焦点』を三度目の再読し終わりまして 底辺に流れる占領軍統治時代の混乱と悲しみの歴史はもちろんですが、 新たな印象として、新婚早々夫が失踪してしまう若き妻の描写がものすごくよく描けているのに感心してしまいました そうです! お見合いだろうと、恋愛だろうと他人同士が、結婚という枠の中でその人をだんだんと知っていく過程は並大抵ではありません 他人を知るということは一生をかけても十分ではありませんね そんな毎日です、、、なんて身につまされてます(笑) >それに、あれほど超多作だったのに どの作品も、導入部からすぐにワクワクドキドキさせる カメラ好きであったように、旅行先の風景などの描写がすごい 平凡な庶民が、思わぬトラブルに巻き込まれる底知れぬ恐怖感 特徴の無いフラットな人格に見える人が 実は奥深い深刻な人生を抱えている 平凡な人間が実は深刻な悲劇の主人公である そう言う切り口 ↑↑すばらしい~~!↑↑ おっしゃるように 再読するとますますそれがわかってまいりますね お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.11.11 03:37:59
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