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「FACTFULLNESS」 某南米大河通販サイトでの 今、話題のBEST SELLER 「FACTFULLNESS」のレビューの一つ --- レビュー --- めせ太 5つ星のうち5.0 偽ニュースが問題ではなく、世界に対する人々の認識こそが問題だった 私は、読む本を選ぶために「ビル・ゲイツが選ぶ今年の本ベスト10」を参考にしていて、本書は2018年のベスト10に入っていた為に購入しました。読み終わり、おかげで自分の世界観を一変させる、素晴らしい本に出会えたと満足しています。 まず著者は、国連が発表した信頼の置けるデータを元に、世界の現状について人々がどのように認識をしているか、10数問の3択クイズを出します。その正解率というのは、適当にサイコロを振った方がマシという有様で、これは回答者の教育程度は関係なく低かったそうです。つまり誰も国連の発表した統計など見ていない。見ても、自身の古い、歪んだ世界観のために世界を悪いように捉えており、それは人間が本来持つ本能のようなものだと説明します。ここで、最近流行りの?進化心理学のような話になってきます。つまりは現状の世界、人間の性向というのは進化の過程で必然的に残ったものであり、それは生存に有利に働いたために残ったが、人類史の大半を占めた狩猟採集生活では有利に働いていたそれらが、社会の急激な変化に伴い、今では不利に働いているというのです。私は「何でもかんでも『現状はすべて進化上の必要から残った』なんて、ダーウィン以降、世の中つまらなくなったものだ」と感じていました。しかし原因が分かってしまえば対策もできるというもので、世界を歪んだ形で捉えてしまう「本能」を、著者は大きく10にまとめました: 1 分断本能 →大半の人がどこにいるかを考えよう 2 ネガティブ本能 →悪いニュースの方が広まりやすい 3 直線本能 →直線もいつかは曲がる(地球の人口は増え続けない) 4 恐怖本能 →リスクを計算しよう 5 過大視本能 →数字を比較しよう 6 パターン化本能 →分類を疑おう 7 宿命本能 →ゆっくりとした変化でも変化している 8 単純化本能 →ひとつの知識が全てに応用できない 9 犯人探し本能 →誰かを責めても問題は解決しない 10 焦り本能 →小さな一歩を重ねる これら今では不合理な「本能」を抑えるのは、やはり教育でしょうか?私はちょっと違うと感じています。何か社会問題があるとすぐに「やはり教育が大切だ」などと言って分かったふりをしてまとめる人がたくさんいますけど、ではその「教育」をどのようにするのか?については誰も語っていないのです。国連の要職に就くような知的エリートでも、世界の認識についてのクイズではサイコロ以下(著者はこれを<チンパンジー以下>と表現します)なのです。教育が解決策ではない証拠です。 本能を抑えるのは、教育ではなく訓練、練習だと、今のところ私はそのように感じています。毎日、学校の校庭を5周走る運動を数ヶ月続けていれば、次の15kmマラソンは完走できるだろうとか、そういう話です。上の10の本能を抑え、世界を正しく認識するためのクイズを出しまくるとか、そういう練習問題を毎日続けて思考パターンを本能、感情から論理に変える訓練、それが効果的だと思います。 本書は難しい統計学の本ではなく、使う計算といったら掛け算と割り算だけで、語り口も軽妙でユーモアに溢れ、しかも日本語訳も素晴らしく読みやすい。著者のユーモアを知るためには「ファクトフルネス site:jp.techcrunch.com」で検索してみてください。「おばあちゃんを叩きのめそう」のエピソードが書かれています。 著者はこの本の完成を待たずに亡くなってしまい、著者の息子夫婦が完成させたそうです。本書はまさに、著者の生涯をかけた知見の集大成であり、著者から全人類への遺産だと感じました。日本語版の帯には「ビル・ゲイツ大絶賛、大卒の希望者全員にプレゼントまでした名著」とありますが、学歴に関係なく、中学校あたりの教科書にしても良いと感じました。
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最終更新日
2020.08.31 13:51:46
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