ウグル人強制労働防止法案に「反対」 ナイキなどロビー活動
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産経新聞
【ワシントン=塩原永久】
ナイキやコカ・コーラなどの米大手企業が、中国の新疆ウイグル自治区での強制労働を封じるため米議会が審議中の法案に、反対するロビー活動を展開していると報じられ、波紋が広がっている。
人権問題に熱心な名門企業が、中国での抑圧阻止に後ろ向きだとして、与野党から落胆の声が上がっている。
米紙ニューヨーク・タイムズは先月29日、9月に下院を通過した「ウイグル強制労働防止法案」について、ナイキやコカ・コーラ、アップルが議員に働きかけ、法律発効時の効果が弱まるように条文を修正しようとしていると伝えた。
法案は新疆ウイグル自治区で、少数民族ウイグル族を強制的に働かせているとみられる中国企業の工場からの製品輸入を、米企業に禁じる内容。下院ではほぼ全会一致で可決し、今後、上院通過と大統領の署名を経て法案は成立する。
同自治区の強制労働の実態を調べた米議会機関の3月の報告書は、問題がある工場と取引した疑いがある企業リストを掲載。ナイキやコカ・コーラ、パタゴニアなど服飾大手や飲料・食品大手が入った。 ナイキは同紙に対し、法案に反対する趣旨のロビー活動を否定し、議会側との「建設的な議論」をしていると回答するなど企業側の歯切れは悪い。
法案の一部条項は、強制労働に関与した企業に厳しい責任を負わせる内容だが、企業側には、調達網から完全に問題取引を排除するのは難しさもある。 ただ、パワー元国連大使は報道について、ツイッターで「良くない」と批判。共和党のルビオ上院議員もツイッターに投稿し、黒人差別問題を訴えるナイキの広告を引用しながら、「同じ企業が(強制労働阻止の法案に)反対のロビー活動をしている」と嘆いた。