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【中国とEU】
メルケルは人権よりも商売を取った… 世界の中国問題専門家が猛抗議する理由 1/29(金) 7:02配信 川口 マーン 惠美(作家) 現代ビジネス メルケルが強引に押し切るとは… 1月8日付の本コラムで、 EUと中国が昨年12月30日、投資協定の大筋合意に至った話を書いた。 現代ビジネス編集部が、 「日本人が理解していない『独メルケル政治』の恐ろしすぎる本質」 というおどろおどろしいタイトルをつけてくれたが、 確かに私も、今回、メルケルはやりすぎたと感じている。 そして案の定、今、EUでは、その余波が轟々とうねり始めている。 まず、この投資協定について、もう一度、ざっと説明したい。 ---------- ●これまで不平等であった中国とEUの投資条件の是正を目的に7年前に始まった交渉が、昨年12月30日に大筋合意に至った。 強引に進めたのがメルケル首相と言われる。 ●EUの理事長国は半年ごとの輪番制で、昨年の後半はドイツであった。つまり、12月30日というのは文字通り、理事長国の期限が切れる2日前。メルケル首相が影響力を行使できる最後のチャンスだった。 ●協定はまだ正式に起草されていないが、これにより、自由貿易と相互投資が進み、EUと中国の信頼が深まり、経済の相互発展が促がされると言うのが、双方の見解。 ●ただし、人権問題についてEUは大幅に譲歩したと言われ、中国は改善のための努力をすることを約束したが、守れなくても制裁はなし。 ---------- 合意が決まった後、フォン・デア・ライエン欧州委員長(ドイツ人)が朗らかな笑みで、「この合意は我々(EU)の対中関係にとって(略)最も大切な一里塚」と語ったが、それを見ながら人々は不自然さを感じた。「なぜ、今?」と。 2020年は中国の様々な暴力が顕著になった年だ。しかも、この時点では、まもなくバイデン政権が成立することはほぼ確実で、そうなれば、EUと米国で共同の対中政策が敷かれるとのかなり確実な予測もあった。 なのに、なぜ、今、EUはそれを待たずに中国に擦り寄るのか。それも、メルケルが強引に押し切るとは……。 EUの中国依存度はすでに要警戒レベル EUでは重要な案件は、たいてい首脳たちが決定する。それが欧州議会に回されても、覆されることなど滅多にない。つまり今回の案件も、正式に起草された後、EUの欧州議会で批准され、22年初頭に発効という手筈だ。 しかし、「世界経済の回復を牽引し、グローバル貿易や投資の自由化を促す」と胸を張る習近平国家主席を見ながら、国民は、メルケルは人権よりも商売を取ったと感じたのではないか。そして、それはおそらくドイツ人のプライドをいたく傷つけた。 そのせいか、普段ならメルケル批判も中国批判も遠慮がちのドイツの主要メディアまでが、この時だけは一斉にこのニュースを否定的に報じた。 さて、ここからが本題。 1月25日、ドイツの大手ニュース週刊誌『シュピーゲル』のオンライン版が、『専門家たちが、EU・中国投資協定の停止を要求』というタイトルの記事を載せた。 https://www.spiegel.de/politik/ausland/eu-und-china-experten-fordern-stopp-des-investitionsabkommens-a-8f4c7f9e-1373-4750-b65f-937c9bcd4fbd これによれば、世界中の100人以上の著名な中国問題専門家が、投資協定の中止、もしくは凍結を要求する文書をEUに提出したという。彼らはその理由として、当然のことながら、中国の人権侵害と民主主義の抑圧を挙げている。 シュピーゲル誌が入手したその文書には、次のように記されているという。 「民族浄化や強制労働その他、乱暴な人権侵害の証拠が出ているにもかかわらず、ヨーロッパの指導者たちは中国政府と、人道に反するこれらの犯罪や奴隷労働の中止を保証させるための有効な義務を一切求めることのない協定の締結を決めた」 文書の起草者いわく、この協定は「中国共産党の性格についての幼稚な思い込みに基づいたもの」であり、EU側が、中国が労働法において大幅な譲歩をしたと主張している部分に関しても、表現が玉虫色で、実際の効力は疑わしい。 また、民主主義の抑圧については、香港、ウイグル、台湾と並び、オーストラリアに対する制裁についても触れ、中国共産党のやり方は、ヨーロッパの基本的価値に反すると主張。 さらに、「中国の国営企業が2008年のリーマンショックの際、経済的に脆弱になっていたヨーロッパの国々でかなりの規模のインフラを買収している」ことを指摘し、今回、結ばれようとしている協定では、「すでに警戒すべきレベルであるEUの中国依存が、さらに動かぬものとなる」と警鐘を鳴らした。 結論を簡潔に言うなら、「絶えず約束を破り続けてきた中国が、投資や貿易についての約束を守ると想像することは、錯覚である」。 自動車メーカーが儲けるための下地作りか では、起草者たちとは誰か? まず、英ノッティンガム大学のアンデレアス・フルダ(Andreas Fulda)教授。彼のことは、2020年6月12日付の拙稿でも取り上げた。専門は民主主義政治で、中でも独中関係に特化。中国の横暴に歯止めがかからなくなっているのは、メルケルの対中政策が原因であるというのが彼の見方だ。 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73261 しかし、ドイツ人学者であるのにもかかわらず、ドイツでは無視されており、ドイツ語では著書も出ない。それどころか、しばしば殺人予告をも含めた脅迫を受けているという。 さらに、ジャーマン・マーシャル・ファンドのアジアプログラムのシニアフェローを務めるマライケ・オールベルク氏。彼女は、「この協定を成功のように売り込もうとしている」EUは、現実を見る力が欠如していると批判。 また、プラハのEuropean Values Centerの所長であるJakub Janda氏は、この交渉におけるドイツの役割を、「一定のコンツェルンのエゴイスティックな金銭欲を、ヨーロッパの地政学上の安全よりも優先させた」元凶と見ており、それにより、ヨーロッパの主権が危機に陥っているとする。 その他、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスやプリンストン大学の研究者たち、世界ウイグル会議のドルクン・エイサ議長、ジュリオ・テルツィ・ディ・サンタガタ元イタリア外相、英ウェストミンスター大学の中国の人権、およびジェンダー問題の専門家ハリエット・イヴァンス教授等々、錚々たる面々が署名しているという。 メルケル独首相ほど中国共産党と良い関係を保ち、中国から誉めたたえられている先進国の首脳はいない。ゆえにドイツは今までも、厳しい中国制裁を行う米国とは一線を画してきた。ただ、これまでは、それをトランプ大統領のせいにすることができたが、バイデン大統領になったら対中政策での協働が必至だ。 メルケル首相は、だったらその前に、ドイツ企業、とりわけ自動車メーカーが、中国で確実に利益を上げられるための何らかの下地を作っておく必要があると考えたのだろうか。 つまり、「なぜ、今?」という問いについての答えは、アメリカ新政権の対中政策の本気度が不明だから念の為、と言うことになるかもしれない。 結局、最後に笑うのは中国 これまで、中国に進出する外国企業はさまざまな制限に縛られていたが、この協定が正式に締結されれば、EU企業に対する合弁会社の要件は段階的に廃止される。フォルクスワーゲンなどは、すでに新エネルギー車の中国での製造を決めているので、そのビジネスに弾みもつくだろう。 しかし、では、同じく中国進出の機運が高い米国の自動車会社はどうなるのか。アメリカのメーカーが、ドイツの自動車メーカーが漁夫の利を得るのを、指を咥えて見ているはずはない。 だったら、ドイツと中国が開けてくれるかもしれないこの風穴は、実は、アメリカ企業にとっても僥倖なのだろうか。そして、それが最終的にアメリカの対中政策の軟化に繋がるのだろうか。バイデン政権の本音も、メルケル首相の本音も、まだ霧の中だ。 いずれにせよ、ドイツ国民の怒りは、いつもそれほど長くは続かない。今年の秋にメルケルが退場し、皆が投資協定のことなど忘れた頃、静かに署名される可能性はある。そうなれば、これはドイツの自動車産業へのメルケル首相の形見? どう転んでも、一番笑うのは中国だろう。 投資協定をめぐる複雑怪奇な動きには、今後も注目したい。 ―― 私の意見 ―― 対共産圏ビジネスの経験があり 旧共産圏諸国における滞在の経験がある私は メルケルの本質を見逃せない メルケルはあの共産独資のホーネッカー書記長の国 東ドイツ出身なのである 私は東ドイツの公団とのプラントビジネスの交渉を 約二カ月にわたって毎日、9時間、行った 共産主義体制がいかなるものかも身をもって感じたし 秘密警察の恐ろしさも知ったし プロイセンの血を継ぐ東ドイツ人の石頭ぶりにも悩まされた メルケルの本質は「旧共産東ドイツの女」のである それがわかれば ― EUの中のドイツの一人勝ちも ー EUの中の南諸国への搾取も ー 対中国における妥協も 何ら不思議な事では無い お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.02.01 23:41:26
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