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2021.05.20
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​アメリカに帰ってわかった、日本の「コロナワクチン後進国」ぶりがヤバすぎる…!​
飯塚 真紀子(在米ジャーナリスト)
5/20(木) 7:32配信
現代ビジネス
​日本とアメリカを比べてわかった「驚きの現実」​
 これは酷い。
 日本の現在の感染状況をアメリカの感染基準に照らし合わせてみた時、思わずそうつぶやいた。

大阪(人口約880万人)の直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数=70人(NHKデータ、5月9日付)は、アメリカの感染基準に照合した場合、「very high risk=非常に感染リスクが高い」という感染段階に相当するからだ。
​​ 比較までに、現在、ロサンゼルス郡(人口約1,000万人)の直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は約21人。
大阪はもちろん、兵庫県、福岡県、奈良県、東京都など日本の21もの都道府県がこの数を上回っている。​​
 ロサンゼルス郡は陽性率も0.7%と1%を切り、感染爆発という最悪の感染状況からアメリカでも最善の感染状況へと大きく改善された都市になった。
​​​ 高い道徳観や衛生観念で感染を抑え込んできたと世界で評価されていた日本だが、ワクチン接種は大幅に遅れ、摂取率はOECD諸国の中で最下位。

一方、コロナ禍でも自由と権利を振りかざし、マスク着用率が低く、各地で感染爆発が起きたアメリカは、ワクチン接種の迅速な拡大により、集団免疫獲得に向かって歩を進めている。
​​
 日本人の精神性に頼るばかりの日本政府の政策が、ワクチンという科学政策を前に無力化してしまった感が否めない。
「後進国」から「先進国」へ…?
​ そんな日本から、先日、ロサンゼルスに戻った筆者は、様々な思いに襲われている。​
一つは、後進国から先進国に入ったという安堵感。
 アメリカならすぐにワクチン接種を受けられるという安心感だ。
 ロサンゼルス郡は毎週40万人にワクチン接種を行っており、予約なしの接種も開始、郡保健局は7月半ば~終わりまでに集団免疫を獲得すると見込んでいる。
 同時に、ワクチン接種を完了し、マスクなしで屋外にいる人々を見るにつけ、自分はまだワクチン接種未完了者なのだという、ある種の罪悪感にも襲われている。

また、ワクチン接種を完了したからかマスクなしで大はしゃぎしているグループを見ると、本当に大丈夫なの? 、もう感染しないの? とお説教したい気持ちにも駆られている。
筆者は4月の終わり、コロナ禍、2度目の帰国を終えてロサンゼルスに戻った。
今回は1度目の帰国時にはなかったものが要求された。
それは陰性証明書。
飛行機搭乗前の72時間以内にPCR検査を受け、
陰性証明書を得る必要があったのだ。
 PCR検査は成田空港や羽田空港でも受けることができるが、有効な陰性証明書を発行している日本各地のクリニックでも受けることができる。筆者は別府にあるクリニックで唾液によるPCR検査を受けた。翌日にはメールで陰性証明書を受け取り、翌々日、JALのチェックインカウンターでiPhone内に保存している陰性証明書を提示してチェックインした。
空港で
 ゴールデンウィーク直前の成田空港は混んではいなかったものの、想像していたよりは人がいた。手荷物検査場の入口には長い列ができていたほどだった。
 日本人は少なかったが、アジア系の人々の姿が目についた。中でも、インド系と見られる人々が少なくなかった。
 機内でもそれは同じだった。同じ列で、客席は一つはあけられていたものの両側はインド系の男性。折しも、インドで感染爆発が始まっていたことから、彼らは成田空港でトランジットしてアメリカへと避難しようとしていたのではないかと思われる。
 もっとも、彼らも陰性証明書を取ってから搭乗したのであろうが、それでも、同じ機内の空気を共有していることに不安を覚えないではいられなかった。
ちなみに、アメリカがインドからの入国者を入国禁止にしたのは、この数日後のことだった。
 ロサンゼルス国際空港の入国審査場では、陰性証明書の提示を求められることはなかった。流れていたのは、入国後、10日間の隔離を求めるアナウンス。ロサンゼルス郡は入国者に対して同地に入ること事前に郡に伝えるオンラインフォームの提出も要請している。
 空港からは普通のタクシーで自宅に戻った。ウーバーで戻ることも考えたが、提示されたウーバーの料金80ドル超はタクシーの料金よりはるかに高かったからだ。
 比較までに、日本では空港と14日間の隔離場所間での公共交通機関の使用が禁止されているので、事前に迎えを頼むか、専用のハイヤーを予約しておく必要があり、帰国時、このハイヤー代が2万円以上(関空ー大阪府内の待機場所間)もかかった。
「ワクチン未完了者」である私に向けられる目
 タクシーの運転手は白髪でいっぱいの高齢男性。彼が乗客の筆者にまず話してくれたのは、彼がワクチン接種をすでに完了したということだった。
 乗客がそれだけ運転手がワクチン接種を受けたかどうか気にしているからだろう。運転手もまた筆者にワクチン接種したか尋ねてきたので、日本は接種が非常に遅れているので未接種だと伝えた。それが気になったのだろうか。今度は「機内では食事を食べたのか、マスクを外したのか」と心配そうに聞いてきた。
 「搭乗前にPCR検査をして陰性だったし、食事の時はマスクを外したけど、みなしゃべらずに黙々と食べていたよ」と言うと、「しかし、それでもね」と運転手の不安気な様子が変わることはなかった。
​運転手から伝わってきたのは、ワクチン摂取未完了者である筆者に対する不信感だった。​
 もちろん、隔離を終えたらすぐに接種しようと考えていた。
 問題はどのワクチンを打つか。
ワクチン供給量が需要を上回っているアメリカでは今、どのワクチンをうつか選択できる状況になっている。

10日間の隔離期間中、筆者は、どのワクチンを打とうか考え、迷った。​
​ 現在、ファイザー、モデルナ、ジョンソン・エンド・ジョンソンの3つのワクチンが接種可能だが、血栓問題が指摘されているジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは選択肢から外し、ファイザーにするかモデルナにするかで悩んだ。​
​ ちなみに、バイデン大統領夫妻はファイザーを、ハリス副大統領夫妻や米新型コロナ対策チームのトップであるファウチ博士はモデルナのワクチンをうっている。​
 ​注目したのは、それぞれのワクチンの有効率と副反応だ。​
ーーーー
アメリカで「ワクチン接種」して分かった、これから日本で起きる「意外な結末」
飯塚 真紀子(在米ジャーナリスト)
5/20(木) 17:01配信
現代ビジネス
​ファイザーか、モデルナか​
 注目したのは、それぞれのワクチンの有効率と副反応だ。
 有効率を見ると、ファイザーが95%、モデルナが94.5%と大差はない。しかし、副反応を比較すると、日本で認可されようとしているモデルナは2回目の摂取による副反応の強さを指摘する声が少なくない。
 「モデルナ・アーム」と呼ばれる、接種箇所の腕が赤く膨れ上がる副反応を訴える人々もいる。ファイザーの場合、治験参加者の3.8%が倦怠感を、2%が頭痛を訴えたのに対し、モデルナの場合は9.7%が倦怠感を、4.5%が頭痛を訴えている。
ロサンゼルス・タイムズが報じたこと
 このワクチンをうったベテラン看護師の友人が、2回目を摂取した後の副反応の強さについて、こんなふうに話した。
 「2回目の摂取を受けた日の夜は、打ったところと左肩、腕、股関節が痛くてよく眠れず、翌朝には全身の痛みがかなりありました。慢性痛のある部分は普段の3倍くらい痛みが強まり、ひどい頭痛もして、やっとの思いでベッドから起き上がりました。
 それでも無理して仕事に行ったら、お昼頃には熱まで出て、午後には吐き気も催したので、早退しました。その翌日はだいぶ良くなりましたが、それでも頭痛は2~3日続きました。2回目を摂取した後の副反応はかなりのものでしたが、私の免疫が反応してワクチンがよくきいている証拠なのだと思い込もうとしています」
 友人の体験談をきいて、モデルナを打つことに恐怖感を覚えたが、それでも、筆者はモデルナに後ろ髪をひかれた。というのは、​ロサンゼルス・タイムズ(2020年12月15日付)が“モデルナはアジア人には100%有効”と示唆する記事を紹介していたからだ。​
 その記事は、人種によるワクチン効果の比較が行われた、モデルナの第3段階の治験では「ワクチン接種後に新型コロナに感染した5人は全員白人だった。モデルナは黒人、ラテノ、アジア系、混合人種には100%有効だった」と伝えていた。
 一方、ファイザーの第3段階の治験では、ファイザーのワクチンの有効率は黒人が100%、ラテノが94.5%、白人が94.7%で、アジア系は74.4%と他の人種と比べると低かった。ワクチン「有効率」って、なんだ…?
 アジア系において、「モデルナ100%vs.ファイザー74.4%」の有効率となると、大きな違いがあるように思える。
 実際、アジア系の親たちはこの記事を子どもたちに送り、モデルナのほうを打つよう勧めたという。ニュースサイトを見ても、アジア系には有効だからという理由でモデルナを打ったとするコメントが散見された。
 しかし、モデルナはアジア系に対して本当に100%有効なのか? 
 実際に、データを見てみる。モデルナの臨床試験に参加した1300人のアジア系の人々のうち616人がモデルナの摂取を受け、摂取後に感染した人は0人。一方、摂取を受けなかった684人中感染した人は3人だった。これを、ワクチンの有効率を算出する計算式に当てはめると100%の有効率になるという。
 一方、ファイザーの臨床試験に参加した1604人のアジア系の人々のうち796人がファイザーの摂取を受け、摂取後に感染した人は1人。一方、摂取を受けなかった804人中感染した人は4人だった。これを計算式に当てはめると74.4%の有効率になるという。
 報道バイアスや誤情報を監視しているFAIR.comはこの数字では評価ができないと指摘している。
 「治験参加者全体に占める有色人種の割合が小さいため、有色人種に対する有効性を評価するのは難しい。特定の人種に対するワクチンの有効性について有意な評価をするには、何千人ものアジア人や黒人など多数の人種的マイノリティーの参加者が必要だ」
 つまり、治験に参加したアジア人が少数なため、モデルナが100%アジア人に有効とするLAタイムズの報道はミスリーディングだというのだ。
 また、カリフォルニア大学アーヴァイン校教授のアンドリュー・ノイマー教授は指摘している。
 「一般的に、ワクチンは70%有効なら非常に効果があるとされています」
 つまり、アジア系に対するファイザーの74.4%の有効率は非常に効果があるわけである。
 だとすれば、懸念すべきは副反応か。
 しかし、ファイザーであれ、モデルナであれ、副反応には個人差がある。発熱して寝込む人もいれば、全然副反応が出ない人もいる。結局、どんな副反応が出るかは打ってみないとわからない。
 筆者のように、接種に際してファイザーかモデルナかで悩む人は少なくないのだろう、アメリカではファイザーとモデルナを比較する記事が散見される。しかし、結局のところ、効果の点では両者に大きな差を見出しておらず、できるだけ早く打って、集団免疫を獲得することが重要だと結論づけている。
 投資面では、モデルナのほうが副反応が強く出る傾向があることからファイザー株に軍配を上げる記事や、その反対に、モデルナはファイザーよりさらなる低温での長期保存が可能になったことからモデルナ株に軍配をあげる記事もある。
 筆者は、迷った末、より早い日時に予約を入れることができた、最寄りのドラッグストアチェーン「ウォルグリーンズ」でファイザーの1回目の接種を受けた。ロサンゼルス郡は、ワクチン接種を受けられるロケーションを専用サイトで紹介しているが、大規模接種会場や医療施設以外に、大手ドラッグストアチェーンやスーパーでもワクチン接種を受けることができる。
私の「副反応」
ドラッグストアには新型コロナウイルスのワクチン接種受付用カウンターもある(著者撮影)
 各チェーンの各ロケーションでどのワクチンが提供されているかサイトに掲載されているので、市民は打ちたいワクチンを選ぶことができるのだ。
 接種した「ウォルグリーンズ」にはワクチン接種用の受付が設けられており、問診票に記入後、ブース内で接種を受けた。接種時は、自撮りをする余裕があったほどの軽いチクリとした痛みだけだった。アナフィラキシー反応が出ないことを確認するため、接種後は15分間待機した。
 その間に、ウォーターボトルを1本提供され、「接種後は、脱水しないように、水をたくさん飲んだ方がいい」とアドバイスされた。
 接種の5~6時間後には、接種した左腕と左肩の筋肉痛に襲われ、腕を高くあげると痛みを覚えた。副反応としては、一般的に、発熱、疲労感、筋肉痛、悪寒などが指摘されているが、筆者の場合、左脇の下のリンパ腺や左股関節のリンパ腺にも痛みがきた。
 左腕は翌日も重たく、リンパ腺にも断続的ではあるがピリリとする痛みがきたが、翌々日には左腕の重さもリンパ腺の痛みも消失した。
 CDCのデータによると、女性のほうが男性よりも副反応を報告している。リンパ腺の腫れという副反応は女性に多く、乳がんの兆候だと勘違いしてマンモグラフィー検査を受けた結果、「ポジティブ、精密検査の必要あり」という間違った判定を受けた例もあるという。
 副反応の中には、過去に感染していたことを示唆している可能性があるものもある。
リンパ腺の腫れもその一つだ。
 英国で、ファイザーのワクチンを接種した1000人の医療従事者を対象に行った調査では、過去に感染したことがある医療従事者の4%が摂取後リンパ腺の腫れを訴えたのに対し、感染したことがあるか不明な医療従事者では1%しかリンパ腺の腫れを訴えなかったというので、もしや、過去のある時点で無症状感染していたのではないかという疑念にも襲われた。
 実際、CDC(米疾病対策センター)は、無症状のため感染に気づくことも検査も受けることもなく回復した人々が多数潜在していることから、アメリカの累計感染者数は公表感染者数の約4倍、全人口の3分の1にあたる1億1000万人以上に上ると推定している。
 1回目のワクチン接種では深刻な副反応に襲われることはなかったが、2回目のワクチン接種後は副反応が強く出ると一般的に言われているので、今から戦々恐々としている。
米国に「ワクチン接種ツアー」…!?
 バイデン大統領は、7月4日の独立記念日までに70%の米国民が少なくとも1回ワクチン接種をすることを目標としているが、懸念材料もある。
 カリフォルニア州やニューヨーク州のようなリベラル系がマジョリティーの“青い州”ではワクチン摂取率が高く、トランプ氏を支持していた保守系がマジョリティーの”赤い州”ではワクチン摂取率が低いというワクチン接種格差が生じており、目標達成は難しいとする指摘がある。
 2回目のワクチン接種を受けない人も増加している。アメリカ西海岸のオレゴン州やワシントン州でイギリス変異株が拡大し、経済制限へと後戻りする動きも起きている。
 ​ワクチン接種完了の安心感からか、各地で経済再開が進み、人流が増加している状況も懸念される。空港では、空の旅に出かける人々の姿も増加している。強い変異株の出現やワクチンがいつまで有効かわからないことを考えると、アメリカで始まっている人流の増加は懸念されるところだ。​
 前述のタクシーの運転手もため息をつきながらこう話していた。
 「今や、ビーチは人で溢れている。ラスベガスにも人々が押し寄せている。規律正しい日本人とは大違いだ」
日本政府の失策
 しかし、規律正しい日本人も、ワクチン接種の遅れと度重なる緊急事態宣言という日本政府の失策の前では、いつまでもお行儀良くしていられない。その証拠に、今回の緊急事態宣言後の人流は、昨年の緊急事態宣言時のようには減少していない。
 それに、今後は、日本のワクチン摂取の遅れに業を煮やした人々がワクチン摂取のために出国する動きも起きるかもしれない。ニューヨーク市は早速、ワクチン接種によって観光客を呼び込むワクチンツーリズム作戦に出ているし、タイのツアー会社はカリフォルニア州へのワクチン接種ツアーを企画している。
 ロサンゼルス郡の場合、接種するのに米国市民である必要はなく、必要なのは写真つきの身分証明書と16歳以上であることを示すドキュメントで、それは、米国以外のパスポートや運転免許証でも可だ。
トンネルの先の光
 ワクチン接種完了による人流の増加やワクチン接種のための人流の増加。ワクチンをめぐって起きる人流の増加が、新たな感染や変異株を誘発する可能性もあるのではないか。そんな疑問も頭をもたげる。
 しかも、CDC(米疾病対策センター)は、オハイオ州のようにワクチン摂取者に抽選で1億円を付与するという奨励作戦でワクチン接種数の鈍化を食い止めようとしている地域があるにもかかわらず、ワクチン接種完了者は室内でもマスク不要とする指針を出した。
 アメリカでは、6月から夏休みシーズンに突入し、ワクチン接種完了者を中心に人流の大移動が始まる。変異株に対するワクチンの有効性もまだ不透明であり、学者からは室内でのマスク不要を警戒視する声もあがっている。筆者は、ワクチン接種完了後も当分マスクを着用し続けるつもりだ。
 また、ファイザーは変異株のためのブースターワクチンの開発をしており、3回目のワクチン接種が必要になる可能性もあるが、我々はいつまでワクチンを打ち続けることになるのだろうか? ​
 ​ワクチンは感染状況を確実に改善させてはいるものの、トンネルの先の光はまだ見えない。​
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最終更新日  2021.05.20 20:14:21
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