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【かんべえの不規則発言】より引用 6月9日>(水) 〇昨日発表の「景気ウォッチャー調査5月分」は、現状判断DIは前月比1.0p低下の38.1でした。先行き判断DIは前月比5.9p上昇の47.6であって、こちらはまあまあだった。まあ、常識的な判断ではないかと思う。 〇この調査は毎月月末(25日から最終日まで)に行われるので、これが1週間遅れて6月第1週であったならば、かなり上振れしていたのではないかと思う。それというのも、ワクチン接種が劇的に進みだしたのがこの辺りだから。 〇ちなみにコメント欄を見ると、以下のようにワクチンに関する記述が多かった。商売をしている人たちの感覚は、こういう感じなんでしょうね。 ・ワクチン接種が進むことによって、新型コロナウイルスの感染状況が少しは収束してくることで、景気が良くなると期待している。また、旅行が多くなるシーズンであることもプラスである(北海道=観光型ホテル)。 ・緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の解除を始め、新型コロナウイルスのワクチン接種拡大により人流が回復すれば、消費マインドは改善される(北関東=百貨店)。 ・ワクチンの普及で第4波が落ち着き、経済回復を期待している。東京オリンピックが開催されることで、家飲みの需要増加に期待している(九州=コンビニ)。 ・働き盛りの人へのワクチン接種開始が鍵になるとみている。売手市場だった雇用情勢に戻っていくことができれば、県内への企業の誘致、工場の増設の話もあり、期待が持てる(東北=職業安定所) 〇今日の菅首相の党首討論によれば、今年10月から11月までには希望する全員に打ち終えるとの話しである。まあ、1日100万人ペースを毎日続けられたとしても、1億2000万人に打つには120日かかる計算なので、ここはまあ年内に終われば御の字と言ったところではないかと思う。 ちなみにワクチン接種で先行しているイスラエルやアメリカでも、全体の5割を越えたあたりから急速に速度が落ちるという現象がみられる。いろんな理由で「打ちたくない人」が一定数いるので、それは致し方ない現象と言える。 〇いろんな意味で、日本経済正常化の先頭に立つのは、ワクチンを早く接種した高齢者なのかもしれない。何しろこの1年、貯蓄は溜まっておりますし。ペントアップ需要はまずはそこからですな。 <6月10日>(木) (前略) 〇特にバイデン大統領とジョンソン英首相の二人の会談は真剣勝負となろう。なにしろ新大西洋憲章を作ると言っているくらいだ。チャーチルがルーズベルトの元へ駆け込んだ1941年は、まさしく大英帝国が危機の最中にあった。だから「民族自決の原則」や「恐怖と欠乏からの自由」などの原則に乗った。乗らざるを得なかった。 〇2021年の英国は、EUと離婚した直後で、「私にはもっといい人がいるのよ」と言わなければならない。だから大西洋同盟に賭ける。それどころかTPPに入ろうとして、虎の子の空母を日本に派遣したりもする。少々「痛い」風景でもあるのだが、それでも米英が一致することの意義は小さくない。 〇1941年の大西洋憲章には、多くの国が相乗りして「連合国」を形成し、それが今日の国際連合に至っている。2021年の米英による新大西洋憲章も、出来栄え次第によってはいろんな国が相乗りしてくるだろう。問題は今の米英に、そんなソフト・パワーがあるかである。 <6月11日>(金) 〇かくしてFDRが大好きなバイデン大統領と、「チャーチル命」のジョンソン首相がノリノリになって、新大西洋憲章に署名した。80年前と今はいろんな形で重なるから面白い。 〇1941年の大西洋憲章のときは、ナチスドイツが全欧州を制圧しつつあって、さらにソ連にも侵入しつつあり、大英帝国も明日をも知れぬ状態であった。アメリカの助けを得たいが、ルーズベルトは国内の孤立主義に対してなすすべがなかった。この米英の窮地を救ったのは、わずか3か月後の真珠湾攻撃であった、という事実は覚えておくべきだろう。 〇大西洋憲章には多くの国が賛同し、それがやがて連合国を形成し、今日の国際連合に至る。その敵に回った側は、なかなか「旧敵国条項」を外してもらえない。敵味方を間違えると高くつきますよ、というのは昔も今も変わらぬ歴史の法則である。あのときは確かにファシズムが優勢に見えたのだが、錯覚いけない良く見るよろし。1941年は民主主義陣営にとって、間違いなく"Darkest Hour"であったのだ。 〇そして2021年の新大西洋憲章は、やはり民主主義陣営が不利な状況で結ばれた。コロナ対策ひとつとっても、民主主義国はなかなか上手くいきませんわね。中国やロシアのような強権体制の方が、ひょっとしたらうまくやってるんじゃないのか、民主主義に明日はあるのか、と悲観的になりがちである。 〇ただし今回、日本は明らかに新大西洋憲章の側に位置している。だって民主主義なんだし。今さら中国やロシアになびくわけにもいかないし。かくして価値観を同じくするG7サミットが開催され、われらが菅首相はその一員ということになっている。 〇もっともわが国の民主主義とは、さほど威張れたものではない。コロナ発生から1年以上もたつのに、この不条理な医療システムにはまったく手を付けられず、その間に外食産業や観光産業に「お願いベース」の自粛を強要している。つまり「対面のサービス業」を犠牲にする方が、厚生行政全体を改革するよりは政治的コストが低いと思われているわけで、そんな風に柔軟性に乏しい民主主義である。 〇このままいくと、人口1000人当たり1~2人もの死者を出した米英が「俺たちはコロナに勝った!」と変な自信を持ち、国全体でわずか13000人くらいの死者しか出していない日本が、奇妙な敗北感を引きずるという結果に終わるかもしれない。この上はせめて東京五輪くらいはちゃんとやってほしいと思うなあ。
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最終更新日
2021.06.14 08:22:44
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