カテゴリ:🔴 C【中国】 尖閣 台湾有事
【中国の見方 エコノミスト誌と日経【経済教室」 「かんべえの不規則発言」より引用 <6月28日>(月) ○今朝の日経新聞「経済教室」には感心したな。今週号のThe Economist誌のカバーストーリーなんかよりもよっぽど深いと思う。 ●対外強硬、背後に「国内不安定」 中国共産党100年(日経・経済教室) ●Power and paranoia: The Chinese Communist Party at 100(The Economist誌) ○The Economist誌は西側の対中観がこれまでずっと誤ってきた。畏れ入りましたと懺悔しつつ、でも大衆は騙せても党内はだまし切れないので、習近平の次の代替わりには苦労するだろう、という捨て台詞を吐いて終わりである。彼らには所詮、新興国を経綸する難しさは理解できないのであろう。その辺が今の欧州インテリの限界なのだと思う。 ○今朝の日経・経済教室における加茂具樹教授の議論は、それよりはずっと中国という対象に接近している。やはり日本における対中研究は欧米よりも深いのだ。この論考から伝わってくるのは、中国共産党がいかに自分たちの生き残りのために必死であって、そのために突き詰めた議論をしてきたかということである。だからこそ彼らは1世紀にわたって生き延びてきた。 ○ちなみにThe Economist誌は、中国共産党が予想以上の長寿となった理由として、①天安門事件のような冷酷さ、②鄧小平に代表される思想の柔軟性、③国民に適度に見返りを与えてきた、の3点を挙げている。彼らは所詮、いわゆる西側的な価値観が傷つかないような認識しかできないのであろう。 ○中国共産党が人民に経済成長という果実を与えることで、自らを正当化できる時代はとっくの昔に過ぎた。成長は必ず鈍化する。そして多くの新興国はハンチントン・パラドックスに直面する。すなわち、「国家が不安定なのは貧しいからではなく、豊かになろうとしているからだ」。世の中が進歩するにつれて、人々は「社会的挫折感」に直面することになる。それこそが今の中国にとって真の脅威となり得る。以下は本文から引用。 そうであるがゆえに、中国の自己主張の強い対外行動は続く。いま指導部は大国外交を「世界の平和に決定的な影響力を持つパワー」と理解し、大国を形作るパワーの強化が経済発展に必要な国際環境の構築に貢献すると信じている。 指導部はいわゆる構造的権力の強化を目指し、「制度性話語権」(制度に埋め込まれたディスコース・パワー=発言内容を相手に受け入れさせる力)の確立に邁進している。中国は世界貿易機関(WTO)など国際経済秩序を形作るルール形成の分野で自己主張を強める。また国際社会は「2つの奇跡」の実現やコロナ対策の成果など、「成功した一党支配」という「物語(ナラティブ)」を国内外にアピールする中国と向かい続けることになる。指導部は「物語」が支配の正当性を支えると考えるからだ。 ○7月1日以降の中国は、「戦狼外交」路線の軌道修正を目指すかもしれない。みずからの間違いに気づいた時の彼らは、けっして対外的な謝罪はしないものの、こっそりと修正を図るのが常である。しかるにそれをやると、「成功した一党支配というナラティブ」を損なう恐れがある。ということは、やっぱり彼らは辛い立場なのである。それこそが成功のジレンマというものなのであろうけど。
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最終更新日
2021.07.01 07:40:33
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