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2021.11.09
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​​​協力金バブルの暴走と後始末の行方​​
​(前編) --- 前田 米​​
一般投稿
前田 米
ソフトウェア企画開発会社、代表取締役。映像制作、マルチメディアプロデューサー、ゲームソフト企画開発等を経て現職。
 2021.10.21 06:40
​​​本年1月頃から「協力金バブル」という言葉がSNSを中心にネットを賑わせ、小規模飲食店にとっては過度な支給額であること、そして不正受給の問題が取り沙汰された。​

しかし何故か報道機関はこの問題を殆ど取り上げず、与野党ともに政治課題とすることもなく、未だ世間一般には周知されないままである。​
冬から春を超え夏を超えて秋に至るも暴走を続けるこの協力金バブルの実態は如何なるものか、そ
れは絶対このまま済ませてはならない、
コロナ禍の混乱に乗じた未曾有の大問題である。
​​​時短営業協力金の一律支給は前代未聞の愚策
​​
​私が住む横浜では昨年12月から時短営業の協力金が1日2万円から4万円と段階的に増え、1月12日からは20時迄の時短要請に従うだけで1店舗ごとに1日6万円、1ヶ月31日なら186万円という衝撃が小規模飲食店を駆け巡った。​​
​うちも該当するのか? 20時に締めるだけでそんな大金貰えるの? 菅政権は狂ったのか? えっ休業しても貰えるんだ。いや、そんな制度は即刻訂正されるに違いない・・​



​この前代未聞の協力金の異常極まりない欠陥は次の通りだ。​​
有効な営業許可書さえあれば、店の規模も売上も家賃も人件費も一切関係なく、営業実態すら関係なく、営業許可書ごとに「一律支給」する。
なんと定休日も営業日数も関係ないので、ずっと休業して遊んでいようが、店を放置して他の仕事をしようが全く構わなく、とにかく要請期間の全日分が全額貰える。しかも確定申告もせず税金を払ってない不届き者でも全額OK、という思わず意識を失いそうな事態である。
これは時短要請の協力に対する補償ではない。補償であるなら時短営業による減収分が目安になるので、一律支給などあり得ない。実際に行政は「補償ではなく協力店へ感謝の意を示すものです(神奈川県産業労働局)」と全く意味不明な説明をしているが、感謝の意? ご褒美? 謝礼? それはおそらく一般市民には永遠に容認されない戯言であろう。
これは要するに「営業許可書さえあれば何もせずとも毎月大金が貰える」という驚愕のシステムであり、その運用実態は特定の個人や組織への税金の不当なばら撒きである。
しかも新規開店でも閉店舗の再開でも間借りでも何でも構わないので「できるだけ経費のかからない小規模店舗を押さえるほど大儲けできる」ということだ。実際に営業する必要はないので経験やスキルも一切関係なく、ただ営業許可書さえ手に入れればいい。
だから今年はコロナ禍のはずが小規模飲食店は閉店よりも逆に新店舗が目立ち、バブル店主は店を手放さないので、小規模店の空き物件がなかなか見つからない状況になったわけだ。
そんなことが本当にあり得るのか? いや、この国ではすでに1年近くもその状態が継続・拡大しながら今も暴走を続けている。
協力金バブルとは
飲食業界は大・中規模店よりも小規模店の方が圧倒的に数が多く7割以上が小規模店だと言われており、例えば裏通りや雑居ビル、街の外れや普段目に留まらない所にも飲み屋、カウンターバー、スナックなどが氾濫している。特に店主一人で従業員なし人件費ゼロの店は所謂ワンオペ店と呼ばれる。
​​​私が利用する横浜のワンオペ店なら月家賃が3万円から10万円程度、よって月186万円は極めて大金であり、毎月それだけの「利益」を上げるワンオペ店はおそらく存在しないはずだ。

協力金バブルとはあくまでもこのような小規模店の問題であり、従業員を雇って懸命に経営する大・中規模店は該当しない。
その規模に関わる制度の大欠陥を明らかにせぬまま、協力金バブルの実態は誤魔化されてきた。​​​
現在10月24日までの時短要請全期間の協力金総額は、横浜市なら私の試算では最低でも1361万円、東京都なら1500万円超であり、それに持続化給付金など他補助金が加わる。最低でも、と言うのは本年4月から以前の売上に則した売上高方式が導入され、より高額の協力金が可能となったからだ。(実はこの方式により大・中規模店にも協力金バブルが多発している)
ワンオペ店で人件費なしの場合、月家賃3万円なら10ヶ月間の経費は光熱費抜きでほぼ30万円、家賃5万なら50万円、8万なら80万円、自己所有店舗や自宅1階の店などは0円。そんな個人が何もせずとも1300~1500万円貰えたのが協力金バブルであり、そんな店が横浜市だけで数千軒はある。
またコロナ長者や新富裕層あるいは人生ゴールインなどと揶揄されるのは営業許可書を複数保持する者だ。店の運営や関係者が重複していようが構わないので、東京で2軒なら3000万円、3軒なら4500万円、実際にカウンターバーなどを7軒運営する私の友人なら獲得総額は1億円超になっているはずだ。
今まで協力金を申請した店は全国で約50万軒まで拡大し、おそらくその7割以上はバブル状態にあるだろう。
すでに国税・地方税入れて支出は5兆円以上に膨大してしまっているが、過度の支給分は明らかに国や地方行政の怠慢・不作為による税金の不当なばら撒きに他ならない。
そもそも不合理極まりない時短営業の要請
まず当初から大混乱を来したのが「20時迄」という運命の区切りである。
例えば閉店時刻が20:30だったら30分早く閉店するだけで月186万円、しかし閉店時刻が20:00だったら0円、そんなバカなである。
週末の金土だけ適当に営業するスナックのママは休業して遊んでるだけで月186万円、しかし毎日朝から20時まで懸命に働く定食屋さんは0円、こんな理不尽なことは時代も場所も関係なく有り得ないのではないか。
そもそも小規模飲食店にとって営業時間の設定や運用は臨機応変あるいは適当であるのに、20時という区切りで大金が貰えるか否かという運命を差配するなど絶対にあってはならない。
営業時間と違って誤魔化せないのが該当エリアの問題である。
時短要請は地方行政機関により市区町村単位で行われるので、協力金を貰えるか否かは明確に線引きされる。例えば道路の向かいの店はずっと休業して遊んでいて月186万円貰えるのに、毎日コロナ禍で懸命に働くうちの店は0円、そんなバカなである。いや余りのバカバカしさに世の中が嫌になっても仕方なかろう。
おまけにこの問題が根深いのは、非該当エリアの飲食店が時短要請への渇望を起こしたことだ。お願いだからうちの町にも時短要請して下さい、といった非条理な心理が蠢きながら、非常事態宣言や時短営業要請の拡大・継続を促すことになったのではないか。
協力金バブルの実態
SNSでは「これじゃ毎月宝くじに当たってるみたい!」など協力金バブルで贅沢三昧の話が氾濫し、協力金に与れない店や一般市民の反感・嫉妬・憎悪を生んだのは当然である。
そのバブル模様や酒池肉林の様には逐一触れないが、一点だけ申しておきたい。協力金バブルの節税対策で店をリニューアルしたり、備品を買い替えたり、新店舗を手に入れたり(これは協力金目当てもある)、開店時の借金を返済できました、等々は飲食業者として前向きでまだ許せる方だ、というのは間違いである。何故そんな資金を我々が税金で支払わねばならないのか、絶対あり得ない。
そして時短営業または休業案内が街中の飲食店に貼り出されたが、明らかに協力金目当ての不当なケース、誰もが呆れ果てるような光景が氾濫した。
例えばすでに閉店してたはずの店、しばらく休業中だった店、えっこんな所にお店あったっけ、食料品店にいつの間にかイートインが、なんと一般住居の玄関先に簡易テーブル・椅子を置いただけのかき氷屋、これってどう見てもただの廃屋なんですけど・・等々、急拵えのタピオカ屋は「協力金製造マシーン」と揶揄される有り様だ。
​​​協力金バブルが暴走・拡大しながら「史上最悪の事態」になった要因は、
1日6万円、月186万円、数ヶ月で数百万から数千万円になるという
個人にとってその金額の大きさにある。
この金額は例えば生活保護の不正受給の10倍以上、
振り込め詐欺でも高額被害に当たるだろう。​​​
ではその史上最悪とは一体どういう事態か? それはおそらくこの短期間では前例がないと思われる、不正受給という犯罪の大量発生である。
無法地帯と化した協力金バブル
都道府県の協力金の案内には必ず「虚偽申請及び不正受給への対応」の警告があり、「協力金の不正受給は犯罪」であること、「交付要件を満たさない事実・虚偽・不正等が発覚した場合は、協力金の全額返還、あわせて交付した協力金と同額の違約金の請求」が周知されている。ならば、私の友人・知人だけでも何十人も犯罪者がいるわけだ。そうか私は夜な夜なそんな犯罪店で飯を食い酒を飲み明かしているのか。しかし何かおかしい・・だって未だにお咎めを受けた者は一人もいない!
協力金バブルが生んだ不正受給という大量犯罪における二大看板の一つが「営業時間の捏造」である。
そりゃ誰でも月186万円貰えるなら貰いたいから、閉店時刻の情報を修正しちゃえ、どうせ営業実態は関係ないし、わざわざ調査もしないだろう、とりあえず申請してみっか、あっ入金された。
SNSでの不正の指摘や、おそらく行政への通報でも営業時間の捏造は数多いだろう。例えば同じ店舗内で20:00以降に複数の店が順番に営業する荒業まで出現したり、ある観光立県などは昼メインで夕方まで営業の飲食店が多いのに、もの凄い数の不正申請で頭を悩ましたようだ。
そして二大看板のもう一つが、言わずと知れた所謂「闇営業」である。そもそも小規模飲食店の多くは看板を消して入口ドアを閉めていれば、表からは営業しているか否かは分からない。
よって恒常的に闇営業する店もあれば、平気で20時以降に開店して朝方まで、遠慮がちに1~2時間だけ、換気のため堂々と窓を開けて大騒ぎしていたり、週末だけとか、たまに貸切でとか、闇営業で以前より繁盛してます! 等々そのスタイルは千差万別だが、とにかく小規模店の闇営業はあちこち当たり前に存在し、その全店主が抜け抜けと協力金を貰っている。
もう誰にもお分かりだろう、要するに時短営業の協力金など最初からデタラメだらけで狂気の沙汰だったのだ。そして国や行政がその余りに稚拙なデタラメさを何ら改めないため、協力金バブルが今日まで暴走・拡大を続けながら大量の犯罪行為を誘発したのである。
では何故ここまで狂った暴走を誰にも止められなかったのか? そこにこそ、この協力金バブルの救いようのない闇がある。
(後編に続く)
協力金バブルの暴走と後始末の行方(後編) --- 前田 米
一般投稿
 2021.10.31 06:30
 
拙稿の前編を投稿した直後に時短営業要請の一旦終了が決まり、巷では協力金バブルの終焉、飲食店バブル崩壊だと揶揄されたり、TVを席巻した似非コロナ専門家達も出番が急減したかと思えば、総選挙突入もあって世の中の雰囲気は一変したように思える。
協力金バブルは暴走中と記した私もちょっと気持ちがメゲそうになったが、迂闊なバブル店主の「このままコロナ禍が続いてくれれば大金持ちになれる」という夢は破れ去ったのか、はたまた第6波を待望しながらの一休みで異常は続くよどこまでも、なのか。一方すでに閉店告知して逃げ切る小規模店も出始めており、その割り切りの早さには息を呑むばかりである。
私が最初に協力金バブルの衝撃を受けたのは、本年1月に新年挨拶で寄った行き付けバーのマスターの言葉「ベイちゃん協力金の話聞いた? とんでもないお年玉、うち1ヶ月で1年分の利益が貰えちゃうよ」だった。
そこはマスターが昼の仕事を終えてから地元の常連相手に道楽でやっている5席だけのカウンターバーで、利益が月平均15万円ぐらいなら確かに186万円貰えたら1年分だ。その後この店は闇営業タイムには立ち飲み客も出るほど繁盛し、マスターは店の売上も激増で頗る上機嫌、いつしか昼の仕事は辞めて夏は念願の長旅を満喫していた。
そのマスターの見解では、今後は今年のような常軌を逸した協力金バブルは起こらないのではないか。確かにそうかも知れない。いくら傍若無人に失態を演じ続ける行政でもこれほどのモラルハザードを煽動してしまっては、それなりの反省や見直しを行なうはずだ。第6波が来ずとも次なるパンデミックや非常事態への対策を講じ、今回のコロナ禍であからさまになった余りに支離滅裂な各種補償や税金ばら撒きという行政の大欠陥の総括と、早急にそのルール作りや法整備を行わなければならない。
でなければここまで異様なモラルハザードが続けば、我々の平々凡々な格差社会は跡形もなくズタズタに分断されてしまうだろう。何故かどの政党も政権公約には入れてないが。
協力金バブルの暴走を煽ったのは、地方行政機関の徹底的な怠慢・不作為である
とにかく営業時間の捏造や闇営業等の不正を通報しても行政・都道府県庁が殆ど用をなさない。これは虚偽申請が多過ぎて行政も手が回らない、ということでは断じてない。なぜなら全てを摘発する必要などなく、犯罪行為を抑止するには常套手段として見せしめに摘発・検挙し、その事実や店名・氏名を公表するしかないのだ。
確かに不正受給が氷山の一滴ぐらいは報道されており返金させられたケースもあるが、当初から抑止効果が出るまで摘発を怠ってはいけなかったのである。
しかも実態はそれどころではない。例えば私の友人が働く東京都某区の居酒屋は勇猛果敢に闇営業を続け、なんと4回も地元行政の職員や警官がやって来たのだが、その都度三文役者の台本棒読みのように注意して退散するだけで、店の協力金受給には全く何の影響もないのだ。おそらく通報が重なれば無視するわけにもいかず一応注意したという体裁だけだが、これは決して珍しいケースではなく東京都以外の各地でも頻発している。
同じ台詞の反復で申し訳ないが、要するに時短営業に対する協力金など最初からデタラメ極まりなく、ただ行政が税金を不当にばら撒いただけである。
但し地方や市町村によっては行政の動きに違いがある。不正に対して担当職員で手に負えない場合は警察のお出ましだが、例えば数千軒の虚偽申請が発覚している某観光立県では、摘発に乗り出しても店主が非対応で連絡も取れないため警察が本格的に動き出していたり、また大阪府では吉村知事が悪質な不正受給に対する怒りの会見を開き、警察に対処を要請した。
しかしここ横浜では警察は全く無頓着なようで、深夜まで窓を開けて大騒ぎの闇営業店が交番の真ん前だったりする。
行政による節操なき不作為は不正受給に対してだけではなく、今回のコロナ禍に関わる対策全般に見え隠れする。
例えば神奈川県で飲食店の店頭に掲示されてきた「感染防止対策取組書(その店の感染症対策の取り組み項目の明示)」や「感染防止対策に係るステッカー(感染症防止対策宣言! )」はなんと、その店の感染防止対策の実態とは必ずしも関係がなく、忠実に取り組んでいる店もあれば、明示項目の幾つかは該当している場合もあるが、要するに店側が勝手に貼っているだけなのである。
だから感染防止対策優良店だと思って入店すると、カウンターの端に消毒スプレーが一応あるだけで感染対策は一切行なっておらず、店主がマスクもせず酔っ払って大声で唾飛ばして喋り倒しながら闇営業に引き摺り込まれる超危険店だったりする。
これでは感染拡大防止どころか逆に行政が市民を危険な店に誘導して、感染拡大を推し進めているだけではないか。
当然この実態に気付いた市民は行政に問い合わせるが、言わずと知れた役人の対応は「そのような場合は県に連絡をいただくことになっており(神奈川県政策局)」である。おまけにだ、県HPには感染防止対策事業者一覧と称する検索可能な名簿があり、事業者名・所在地・その店が実施している感染対策の詳細項目を公開しているのだが(笑い事ではない)勿論先ほど登場した超危険店も感染対策の全てを実施している超優良店として登録されているのだ。
これは一体全体何のキャンペーンなのか? こんなデータベースを開発運用してる暇と税金があるなら不正受給の協力金を一軒でも多く回収して欲しいと思うのは私だけだろうか。
マスコミによる実態の無視と偏向報道には絶望的にうんざり
行政と二人三脚で協力金バブルの暴走を煽ったのは勿論マスコミである。
協力金バブルが世間一般に周知され難い一因は、ワンオペ店の利用経験がないなど小規模飲食店の世界とは縁がなかったり、そもそも殆ど外食しないとか、そういった人達も結構いることにある。しかし行政による協力金バブルの暴走を食い止めるには、その実態を生々しく報道して民意を動かすしかなかったのではないか。第4の権力改め実は第1の権力と目されるマスコミにとってそれは容易いことだったはずだ。
しかし協力金バブルは殆ど報道されず、たまに一部メディアで取り上げられても、それはどこにも連鎖せぬまま消え失せていった。とにかく一部の飲食店の窮状と協力金支給の遅れだけを連日大々的にアピールし、協力金で助かってる店の方が多い事実やバブル問題に関しては無視を決め込んだ。窮状とバブルは背中合わせの同じ問題であり、当初から道理にかなった協力金を支給していれば窮状もバブルも発生しなかったし、協力金支給の遅れは申請の多さに対する人手不足だけではなく虚偽申請の多さにも原因がある。
これは実態を無視した明らかな偏向報道である。それが証拠にネットにおける時短営業等の記事へのコメントには協力金バブルに対する不満や怒りが渦巻いていたし、報道各局にも同様の意見が多数寄せられていたはずだ。
だから協力金バブルを認識している者は今年ずっとマスコミの偏向報道にはうんざりし続けていたし、ワイドショーに毎度繰り返し登場する居酒屋店主のぼやきに辟易して、TV画面に生卵でもぶつけたい気分になったかも知れない。なのに今日までマスコミが報道姿勢を改めなかったのは何故か。単純過ぎて申し訳ない気もするが、私の答えは次の通りだ。
我が国の報道機関は、全国民だろうが不特定多数だろうが一部の個人や組織に対してだろうが、補償や支援と称して税金をばら撒くことには極めて寛容もしくは歓迎あるのみである。
よって今回の総選挙もマスコミ主導で分配合戦の様相を呈しており、本来論じられるべき主要テーマは悉く埋没してしまっている。勿論これが由々しき事態であることは選挙民の多くが察知しているが、経済復興の見込みがない限り、今後もマスコミの攻勢は続くだろう。
挙げ句の果てには不当だろうが違法だろうが分配至上主義が暴走し、人々の不満や嫉妬や憎しみを増長させながら異次元の分断社会に突入してしまうのではないか。
何れにせよ補償や助成でもなく「感謝の意」と称する飲食店への協力金は常軌を逸したばら撒きであり、不正受給という前代未聞の大量犯罪が発生した事実は決して看過できない。
税金対策もしくは逃亡、そして後始末の行方
すでに今春頃から協力金バブル店主の関心事は当然税金対策であり、不正受給でなければ全く合法的な雑収入なので、後は世間一般的な節税対策のみとなる。店のリニューアル、備品の買い替え(と思いきや使わず転売してる店主もいるんだが)、旅行やグルメ、慌てて共済に加入、あるいは今年急増した車の買い替え需要はコロナ禍の金余りだけじゃなく協力金バブルも一因だ。
例えば私の友人夫妻は法人で小規模飲み屋を2軒やっており、御多分に洩れず協力金独り占めのため早々にバイトは解雇して店はずっと休業中。当初は繰越欠損金で相殺できると高を括っていたが、協力金だけで2,500万円超の利益になると流石に税金対策に奔走しだした。
早くバイトを戻して店を再開したらと言いたくなるが、このように協力金バブル店主は想定外に膨らんだ収入による深刻な税金対策に見舞われており、その奮闘もそろそろ最終コーナーに差し掛かる時期だ。そう言えば納税もしてなかった不届き者は協力金のために税務署に口座情報を掴まれて困惑しているに違いない。皆んな余計な対策は控えてそのまま納税してくれれば一番助かるのだが。
協力金目当ての新店舗が営業せぬまま閉店したり、もぬけの殻と化した幽霊店舗、突然現れては突然消えたイートインスペース、協力金製造マシーンと呼ばれた簡易店舗はどことやら、一般住居の仮装かき氷屋は秋になったから当然店仕舞いですわぁ、なんて頭に来るが、不正受給でない限り支給済み協力金の例外的な回収は不可能である。できることは不正受給の摘発による回収ぐらいだろうが、今さら行政機関が本気で乗り出すことはあるのだろうか。
詐欺行為とはいえ例えば1千万円を超える金額の返金は只事ではない。意地でも返さない者もいれば、すでに散財済みなら返そうにも返せないわけだし、前述した通り非対応で連絡が取れない行方不明者も出現しており、数千万円となると最悪そのまま逃亡する者もいるだろう。
しかも皆が口をつぐんでいるが、協力金バブルには言わずと知れた最悪の闇がある。それは我々の税金が協力金と称して堂々と反社会的勢力に流れ込んだことである。
おそらくの結論を言ってしまうと、協力金バブルの暴走により発生した不正受給という大量犯罪は、その殆どが摘発されずに終わるだろう。
何故なら国も地方行政機関もマスコミも、税金の不当なばら撒きなどは重要視しておらず、それが数千億や数兆円規模であろうが、明らかな詐欺行為が満載であろうが一向に構わないだろうし、まあ普通に考えてばら撒いた張本人やそれを煽った者が回収に乗り出すことはない。
そうか良かった、私の友人知人から何十人も逮捕者が出ることは無さそうだ、めでたしめでたし。
最後に、ワンオペ飲み屋をやってる私の親しい友人は見かけによらず機転が利くせいか、年明け早々から店は放置して他の仕事をしながら夫婦でグルメ三昧に興じていた。彼は以前から国内片隅の田舎で地産地消レストランをやりたいと言っていたが、今回あっという間に念願通りの場所で空き店舗を契約し、夫婦で田舎に引っ越すことになったのだ。旧店舗はしばらく様子を見て、再び協力金が入る見込みがなくなれば解約するだろう。
協力金バブルが人の人生を変え、人の夢を叶えたケースもあるという話だ。何のことだがよく分からぬが、まあそれも協力金バブルの一端である。
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最終更新日  2021.11.09 17:59:08
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