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【解説】ロシアのウクライナ侵攻、五つのシナリオ 3/6(日) 14:15配信 AFP=時事 【AFP=時事】ロシアによるウクライナ侵攻について、西側政府筋やシンクタンクが想定している、今後数週間から数か月間の五つのシナリオをまとめた。 1. こう着 先月24日の侵攻以来、ウクライナ軍は首都キエフを防衛、ハリコフ(Kharkiv)など主要都市もなお統制下にある。 西側の情報提供や軍事支援を受けて首都を死守し、一種のこう着状態に持ち込める可能性がある。 西側による対ロシア制裁が強化されれば、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は計画を変更せざるを得なくなるかもしれない。 米シンクタンク、ランド研究所(RAND Corporation)のサミュエル・チャラップ(Samuel Charap)氏は「西側の制裁がてことなり、ウクライナの現政権を排除し、親ロシアのかいらい政権を樹立するという、この戦争における核心的な目的をプーチン(大統領)が放棄することもあり得る」と述べた。 そのためには習近平(Xi Jinping)国家主席の下でロシアとの同盟関係を深めている中国の圧力が必要になるかもしれない。 2. ロシア国内が変化 プーチン大統領は、ロシア国内の反対意見に目を光らせている。 独立系メディアや外国メディアに対する取り締まりは、侵攻に関する多様な情報を排除し、自身に忠実な国営メディアを通じた統制を強固なものにしようとするものだ。 しかし、首都モスクワやサンクトペテルブルク(St. Petersburg)など各都市では、小規模ながら反戦デモが行われている。地元人権団体によると、少なくとも6000人が逮捕された。 エリート層にも亀裂の兆しは見られる。一部の新興財閥(オリガルヒ)や国会議員だけでなく、石油大手ルクオイル(Lukoil)も公然と停戦や休戦を求めている。 国内世論の反発やクーデターでプーチン政権が倒れる可能性も排除はできない。ただし、現時点でその可能性は低い。 3. ロシアの軍事的勝利 西側の軍事アナリストは、ロシア軍の装備の優位性や空軍力、火砲の威力などを考えると、進撃は今後も続くと予想している。 プーチン氏と3日朝に電話会談したフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の側近は、プーチン氏は「ウクライナ全土を掌握したい」と考えていると語った。 ただ、ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領を退陣に追い込み、各地の抵抗を制圧したとしても、4000万人超の人口を擁する国を占領下に置くという難題がプーチン氏を待ち構える。 英ロンドン大学キングスカレッジ(King's College London)の戦史専門家ローレンス・フリードマン(Lawrence Freedman)教授は「侵攻と占領は別物だ」と述べている。 4. 戦火拡大 ウクライナは、北大西洋条約機構(NATO)に加盟している旧ソ連構成国4か国(ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ブルガリア)と国境を接している。NATOは、加盟国が攻撃されれば集団で防衛する義務を伴う軍事同盟だ。 プーチン氏はかつてのソ連に郷愁を抱いており、バルト3国に住む少数派のロシア系住民の保護を打ち出している。さらなる領土的野心の存在を疑わせるものだ。ウクライナの次は、モルドバが眼中にあるのではないかとの見方もある。 NATO加盟国に直接的な攻撃を加えれば核戦争につながるリスクがあり、プーチン氏もさすがに控えるだろうとみられている。ただ、それ以外の挑発行動はあり得る。 ランド研究所のチャラップ氏は、誤爆やサイバー攻撃などをきっかけとした「事故、事件、誤算によってNATO、ロシア間の戦争に発展するリスク」を警告する。 5. NATOとの衝突は 互いに核兵器を保有するロシアとNATOの衝突は、あり得ないと考えられていた。 だが、プーチン氏は先月末、核戦力を「特別態勢」に移すよう指示した。 欧州外交評議会(ECFR)のミサイル防衛専門家グスタフ・グレッセル(Gustav Gressel)氏は「こうした発言は主に西側に向けたものだ。われわれをおびえさせ、社会を不安に陥れることを狙っている」と指摘。「核抑止力を情報戦の一環として使っているだけで、実際に使う気はない」と分析した。
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最終更新日
2022.03.07 13:56:17
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