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ロシアの政権瓦解は確実? 戦況次第ではクーデターの可能性も 3/14(月) 5:59配信 「週刊新潮」2022年3月17日号 掲載 暴走を続けるプーチン大統領に対し、ロシア国内でも“異変”が起きているという。今後、クーデターが起こる可能性などについて専門家に聞いてみると――。 *** 「外敵を異様におそれ」、「病的な外国への猜疑心」「潜在的な征服欲」「火器への異常信仰」を持つ――司馬遼太郎は著書『ロシアについて』の中で、かの国の根底にある精神をこう特徴づけた。これはそのままプーチンの深層心理にも重なるところがありそうだ。 その彼の犯した罪については現在、国際刑事裁判所(ICC)が捜査を開始している。ロシア軍がウクライナで行う無差別攻撃が、戦争犯罪や人道に対する罪に当たるというものだ。イギリスなど加盟国39カ国の付託によって開始されたが、当のロシアはICCに加盟していないため、実効性は保証できない。しかし、確実にプーチンへの包囲網は狭まっているようで、 「現在、ロシアでは、千人規模のデモが頻発している。これは既に異常事態です」 と述べるのは、元産経新聞モスクワ支局長で大和大学教授の佐々木正明氏である。 「ロシアでは許可なく大規模集会を開いたり、デモを行ったりすること自体が禁止されています。プーチンは取り締まりを激化させていて、『NO WAR』というプラカードを持っただけの5歳の子どもまで拘束し、親から親権を奪おうとしている。それでもデモの波は止まないのです」 30代後半以上にとっては「救世主」 しかも、その参加者の顔ぶれに“変化”の兆しが見えるのだという。 「プーチンの岩盤支持層は、30代後半以上でソ連崩壊以前を知り、国営メディアで情報を得、ウクライナの今を知らない人たち。彼らにとってみれば、崩壊前後の苦しい時代を体験しているため、再びロシアを豊かにしてくれたプーチンは『救世主』なのです。しかし、今回のデモを見ていると、そうした人たちまで顔を出し始めている。 ロシア人はウクライナ人に対して同族意識が強く、血縁者も多い。ロシア正教の聖地でもあり、乱暴な言い方をすれば、モスクワにとってのキエフは、東京から見た京都のような位置付けです。そこを爆撃するとなれば、プーチン支持者からも嘆きと怒りの反応が一気に噴き出すでしょう」(同) 実際、オリガルヒと言われる新興財閥も公然と侵攻を批判し始めたのは報道されている通り。 「ソ連崩壊以来、30年経ってロシア社会に地殻変動が起きつつある」(同) 反対派によるクーデターの可能性 さらに、SWIFT排除に続き、諸外国は続々と経済制裁を進めている。 となれば、今後、戦況や経済状況の悪化によっては、プーチンがロシア国民から排除される日が来るのか。 独裁者の末路といえば、ルーマニアのチャウシェスク大統領の例が有名だ。チャウシェスクは1989年、民主化を求めた人民の暴動とそれに同調した軍部が反旗を翻したことに慄(おのの)き、宮殿から逃亡。捕えられ、公開の場で銃殺された。 「可能性は非常に低いですが、もしあるとすれば、この軍事作戦が完全に失敗し、ウクライナからの全面撤退というような事態に追い込まれた場合でしょう」 と述べるのは、元防衛大学校教授で、国際問題研究家の瀧澤一郎氏である。 「その場合も国民の蜂起というよりは、クレムリン内部の反対派によるクーデターになるのではないでしょうか。そうなれば、クレムリンを数十万の民衆が取り囲むような光景が現出するかもしれません」 政権が瓦解に向かっていくのは確実 一方、 「チャウシェスクになるかはともかく、今回の戦争がプーチンにとって、“終わりの始まり”となるのは間違いないでしょう」 とユーラシア21研究所の吹浦忠正理事長は語るのである。 「尊敬を集めない権力が潰れていくのは、世界史が教えるところです。 いくら上から押さえつけようとしても、『シロビキ』と呼ばれる軍や警察、情報機関の関係者がサボタージュを起こせばそれもかなわなくなる。 かつてのソ連が崩壊したように、権力、統治能力が次第に低下し、やがて政権が瓦解へと向かっていくのは確実なのではないでしょうか」 プーチンが取った選択はやはり破滅への道。 “最狂の皇帝”自壊の末路を、我々はいま目撃しているのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.03.14 11:40:20
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