カテゴリ:🔴 【ウクライナ戦争・ロシア】
エマニュエル・トッド氏インタビュー「第3次世界大戦が始まった」 2022.6.8 日経ビジネス 大西 孝弘 ロンドン支局長 この記事は日経ビジネス電子版に『エマニュエル・トッド氏「第3次世界大戦が始まった」』(5月30日)、『エマニュエル・トッド氏「日本はウクライナ戦争から抜け出せ」』(5月31日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』6月13日号に掲載するものです。 ロシアのウクライナ侵攻が長期戦の様相を呈し、混迷が深まっている。 その問題点や打開策を見いだすためには、歴史的な視点を持つことが欠かせない。 ソ連崩壊やトランプ大統領誕生を言い当てた歴史学者であるエマニュエル・トッド氏は、この戦争をどう見ているのか。 ―――― 対談 ―――― ロシアによるウクライナ侵攻のニュースを聞き、どのような感想を持ち、どのような感情がわき起こってきましたか。 世界史の転換点だと感じました。私は地政学的な観点から物事を見ています。これまでロシア勢力の台頭、特に経済成長やロシア社会の安定化を見てきました。ですので、ロシアはようやく今、米国に挑めると思ったのだろうと感じました。目の前で歴史書が書かれているような、驚きに値する経験です。 私はロシアと米国の力関係について長らく研究をしてきました。米国はロシアの2倍の人口を抱えていますが、さまざまな基本指標を見ると、ロシアは状況が好転し始めており、逆に米国は状況が悪化していることを見いだしました。例えばロシアの乳幼児死亡率は米国以下になっています。こういうデータに基づく、ある意味冷たい分析を通して両国の関係性を見てきました。 (alex99) 最初から驚きなのは、エマニュエル・トッドのロシアに対する positive 且つ、好意的な見方で、私はこれにまず、驚いた 世界的な賢人と言われるエマニュエル・トッドだが、この対談を通して、私は、彼の認識および意見は、非常に偏った見方だと思う 私は以前からロシアの外交官や戦略家の発言も注視してきました。パリにあるロシア大使館の人たちにもよく会っていました。何年も前から彼らの歴史的な認識レベルが非常に高いと感じてきました。プーチン氏が西洋を脅かす事態において、そこに狂気じみた人物を見たのではなく、ある意味、戦略的な実践、実行というものを見たのです。 ですから、西洋側で「プーチン氏は狂っている」「ロシア人たちはひどい」などと言われている状況を見ると、非常に感情的になっているように思います。 (alex99) このトッド氏のコメントには同意し難い 私は素直に世界の大多数の人間同様、 「プーチン氏は狂っている」「ロシア人たちはひどい」と思っている それ以外の考え方ができる方が驚きである 確かに、一部のロシア人が極めて優秀なのはロシアの文学や音楽で示されている しかし、戦場におけるロシア人は、極めて野蛮で残虐であることに間違いは無い 常に略奪・レイプで悪名高い?し ウクライナは“事実上”の北大西洋条約機構(NATO)加盟国と指摘しています。なぜでしょうか。 元米空軍軍人で現在シカゴ大学教授の政治学者ジョン・ミアシャイマー氏の問題提起に基づいています。ウクライナ軍は米国と英国により再組織化され、米国のシステムを使って情報を得ています。米軍とNATOへの同化レベルという意味では、ウクライナ軍はフランス軍よりも高いかもしれません。 (alex99) これは同感 今回のウクライナの予想以上の善戦・抵抗は、こういう下地があってこそだと思う 米国は同盟国、あるいは保護国である国々を、自国側に付けることに成功しました。欧州はウクライナに武器を提供し、さまざまな経済制裁によってロシア経済の崩壊を狙っています。一方、敵側もロシアと中国という2つの大陸にわたっており、戦争が広範囲に広がっています。こうした状況から、私は第3次世界大戦が既に始まっていると考えています。 (alex99) これは妥当な認識だろう ただ、お互いが経済的に依存し、補完的な関係を築いている関係性を鑑みると、第2次世界大戦のような総力戦にはなり得ないでしょう。 「第3次世界大戦が始まった」という言い方をしたのは、この戦争が長期戦になるだろうという意味も含めました。今の時点で明確な出口は見えませんし、ウクライナ政府には現実主義的な態度が見られません。 (alex99) >ウクライナ政府には現実主義的な態度が見られません。 何を言っているのだ? 古典的で残虐な侵略を受け国土が破壊され、国外への難民700万人という空前絶後の被害を受けて必死に抵抗しているウクライナ トッドがそのウクライナに望む現実主義的な態度とは 領土割譲という実質的な敗北そのものではないのか? これはあまりにも理不尽な意見だと思う 同時に米国の態度を見てみると、交渉で戦争を終わらせることは難しいだろうと思わせるのです。というのも、米国が今の状態に満足しているように感じられます。米国はここで、ロシアを決定的に弱める機会を見いだしたのです。 真の問題は、もし戦争が今のこの状態で終われば、米国は負けたことになってしまうという点だと思います。米国はロシアに対して結局何もできなかった、という結果になってしまいます。だから長期戦になる可能性があるのです。 感情的になった欧州の指導者 戦争が終結するのは、米国の重要な同盟国のどこかが戦争から抜けることを決めたときだと思います。その国はフランスかドイツではないでしょうか。 現時点でフランスのマクロン政権は控えめな態度ですが、ドイツは態度が分かれています。ドイツには歴史的に反ロシアの感情があります。ウクライナの地でロシア軍がドイツ軍をたたき潰したという歴史がありますが、その後は平和路線を歩んできました。また、ドイツにおけるロシアに対する天然ガスの依存が(西洋の)同盟関係の弱点の一つとなっていると言えるでしょう。そういった側面から、ドイツが戦争から抜けようと決断する可能性はあると思います。 (alex99) 違うね! ドイツは一枚岩ではない! メルケルを始めとした旧東ドイツの親ロシア感情は、トッドには見えないのかもしれないが、実際には、非常に強い それは、現在もまだ消えていない ベルリンの壁崩壊以前の時代に、旧東ドイツで旧東ドイツの公団とプラント商談を何ヶ月もした私の実感だ それを最近まで具現していたのが、ロシアをここまで増長させ誤解させたメルケルだ ドイツが決めたら、最終的には今、感情に突き動かされている欧州諸国もドイツに付いていくのではないかと。ドイツの首相が「もうやめよう」とさえ言えば、米国中心のこの戦争のメカニズムが崩壊し、そこからは良い判断が次々となされるでしょう。 (alex99) オイオイ! トッドはウクライナが譲歩すべきだと考えているようだ とんでもない そんなことをすれば、ロシア・中国という独裁恐怖政治国が世界を席巻 正義という概念が喪失してしまう もちろん、日本も、ロシア・中国・北朝鮮連合軍の圧力に苦しまなければならない EU自体も、ロシアとの最前線が、ウクライナでとどまらず、大幅に西進することになる トッドには、それが見えないらしい ただもしも戦争が今終わったとしたら、ロシアは米国に挑み、領土の一部を奪える国であることが証明されてしまいます。つまり、本質的には米国が屈辱的な状況に陥らないためにはどうすべきかを考えることが不可欠だと思います。 感情的になっているというのは西洋の大衆レベルなのか、それとも指導者層も含めてでしょうか。 欧州と米国では様相が異なっています。欧州の指導者たちはショックを受けています。欧州は第2次世界大戦以降に、平和的な環境を築き、脱軍事化を進めてきました。ですから今このような事態になって感情的になり、パリ周辺のエリート層たちはショックを受けています。 (alex99) >欧州は第2次世界大戦以降に、平和的な環境を築き、脱軍事化を進めてきました。 それはEUという形で具現化した しかし、ドイツの主導によるEUは、中国とロシアに間違った接近を図り 甘やかした これがロシア似、ウクライナを侵略してもEUは、感受するだろうという語回を与えてプーチンのの侵略につながった 世界史に残る致命的な大失敗だ トッドは、これを指摘すべきだ しかしフランスの大衆層は、基本的に自分たちとは関係ないと思っているのではないでしょうか。それは先日の大統領選でもあらわになりました。ルペン氏とメランション氏というそこまで反ロシアではなく、どちらかというとロシアに対する嫌悪感が最も低い候補者たちでしたが、高い得票率を獲得しました。 ただし今後、物価高騰や経済危機が深刻になれば物事は変わると思います。フランスでは中流階層以上の反ロシア派の人たちがロシアとの戦争状態を強める方向に向かっていくかもしれませんが、その態度がウクライナの場所すら分からない大衆層との対立を招く可能性もあります。 一方、米国の指導者層はショック状態ではないように感じます。それは米国がこれまで他国に侵攻することを常にしてきたからです。イラクやアフガニスタン、ベトナムもそう。 ただ各種の報道を見ると、米国もこの戦争にある種の不安を感じていると気が付きました。戦争が極端な形で進んでいってしまうこと、ロシアの抵抗が何年も続き、それが米国のシステムを崩壊させることへの不安です。消耗戦になってくると、一つのシステムともう一つのシステムの対立という構図になっていきます。 (alex99) 私はこのウクライナ戦争は、最低、二・三年は続く消耗戦になると思う プーチンとしては、現在の戦況以上の戦果を挙げないと国民に説明できない 一方、ウクライナ側にしても これほどの被害と残忍な大量殺害が明らかになった以上 安易な妥協を国民が許さない 長期消耗戦になって双方、これ以上の戦闘継続が不可能になるまで 終結への可能性は見えないと思う 戦いを終わらせるためにはどのような方策が考えられますか。 第1次、第2次世界大戦が何年も続いたのは、それが相手が死ぬまで続ける、完全勝利を目指す戦争だったからです。ですから、第3次世界大戦から抜け出す、あるいは拒否するというのは、まず誰にとっても完全勝利はないと理解することから始めないといけない。そして交渉を実現するためには、西洋の側もロシアも、敵が怪物であるというような表象をやめること。精神的、道徳的、倫理的な努力なのです。 (alex99) >西洋の側もロシアも、敵が怪物であるというような表象をやめること。 よくこういう事を言えるものだと思う トッドは偏っている ロシアの残虐さ・怪物ぶりは、改めて世界中が再認識したではないか? そうすると交渉が始まります。ウクライナにとってひどい戦争であることは間違いありませんが、ロシア側も犠牲者が出ているため、ロシアは獲得した領土から二度と出ていかないでしょう。それがよいと言っているわけではありません。しかしその現実を受け入れることから始めなければならないと思います。 そのため交渉の場では、ロシアが出ていかない代償として何を出せるかが焦点になります。非常に難しいのですが、ロシアはウクライナの主権を認め、キーウ(キエフ)はウクライナの独立した首都であることを認めるべきでしょう。同時に西洋とウクライナは、今の黒海沿岸地域やウクライナ東部地域の一部がロシアの領土であることを認める必要があります。そうすると交渉が成立するかもしれませんが、私は楽観的ではありません。理由はいろいろあります。 まず私の見方が、西洋側のメインストリーム(主流)と全く違うということはよく理解しています。私はロシア問題というのは存在しないと考えています。侵攻前のロシア社会は安定を見いだしていました。領土は人口に対して大き過ぎ、その中でNATOの拡大に脅威を感じており、これを阻止すべく戦争に乗り出したという意味では、ロシアは合理的な態度を見せていたのです。 ロシアはウクライナのNATO加盟を許容できないと言い続け、ドンバス地方の自立やロシア語話者の権利などを要求していました。西洋人やウクライナ人たちがそれを認めていればこのような戦争は起きなかったはずです。 (alex99) トッドのこれほどのロシアびいき ロシア人自身が驚いているのではないか? 真の問題、世界の不安定性はロシアではなく米国に起因しています。米国は世界的な軍事大国で、中東などで戦争や紛争をする、あるいは維持し続けている存在なのです。ウクライナ軍を再組織化したのと同じようなことをアジアでも起こそうとすると私は見ています。ウクライナ戦争が終わっても、世界は安定化には向かわないでしょう。 (alex99) 米国はアフガンからも撤退した トッドの考え方は、10年以上、現実から遅れている 世界の不安定性は ロシアより米国に起因 アジアで同じ事が起こる 私が『帝国以後』(2002年)を書いた時期はイラク戦争と重なります。その後、米国が合理的になってきたと感じた時期もありましたが、ウクライナ戦争では世界を不安定にしていることが明らかになってしまいました。世界の問題は米国なのです。 ただ、欧州連合(EU)の国々がある日突然、目を覚ますこともあると私は思っています。戦争では実際に建物が破壊され人が死んでいますが、始まった理由は非常に不条理です。この悪夢から目を覚ますべきです。 日本では、ロシアの勝利を認めると、中国の力による領土拡大の恐れが高まることへの懸念があります。こうした考え方をどう受け止めていますか。 米国がイラクなど世界中でしてきたことが現実なのです。日本は自身の環境を見渡し、どこに脅威があるのかを見極めなければなりません。例えば中国が台湾を侵攻できるのかという問題があります。 侵攻や軍事介入をしてはいけないという原則は非常に不条理な話で、西洋でもそれは守られてこなかったのが現実です。西洋では米国が他国への侵攻を続けてきました。今、起きていることに関していえば、ロシアは米国の生徒だというふうにすら言えます。これまで米国が行ってきたことに倣い、ロシアが侵攻したという流れがあると思います。 私は戦争を忌み嫌っていますし、侵攻が良いと言っているわけではありません。ただ言いたいのは、西洋の陣営の中でも特に米国は、ロシアに対し原則を破っているなんて言う権利はないだろうということです。 日本は戦争から抜け出せ 軍事面や経済面などで米国に依存する日本はどうすべきでしょうか。 安全面での解決策があるとすれば、核兵器の所有でしょう。これが実現するかどうかは分かりません。 日本の問題は非常に簡潔に言えば中国です。中国では人口減少が始まっており、脅威度は大きく下がるとみています。そして、日本の問題は例えば中国にある日本企業の工場をいかに維持していくかというような観点になっていくでしょう。 米国との同盟関係は理解できるし、ロシアとの良い関係性も長期的に重要だとも言ってきました。これは今も有効な話です。というのも、地理的にロシアも中国も日本も同じ場所に存在し続けるからです。 しかし、このウクライナ戦争に関しては、日本の問題ではないことを認めるべきだと思います。ウクライナから離れた日本がなぜ、世界大戦に巻き込まれなければいけないのか。 私の日本への助言は、「抜け出せ」ということです。ウクライナの危機は欧州全体を巻き込み、ブラックホールのようになっていますが、日本はNATO加盟国ですらありません。日本が取るべき立場は、中立国という立場ではないでしょうか。 ポーランドやリトアニア、ベラルーシ、ウクライナなどの地域は、世界大戦中に最もひどい出来事が起きた、「Bloodlands(流血地帯)」とも呼ばれる場所です。そのようなとてもリスクが高い地域から、日本は遠のいてほしいと思います。 聞き手より トッド氏が指摘しているように、欧州メディアでは感情的な報道が多い。欧州における戦争であり、殺害されたウクライナ市民や避難民の姿を見ていれば、感情が揺さぶられるのは致し方ない。ただ、トッド氏は感情論だけに焦点が当たることの弊害を指摘している。互いを怪物のように扱うことで交渉を難しくしている側面は確かにあるだろう。冷静な分析は、戦争終結への道筋を探るためでもある。 英ロンドンで中東やアフガニスタン出身の人々に話を聞くと、米国への激しい憎悪を表す人が多い。「米国の軍事介入が祖国をめちゃくちゃにした」と。我々が接する情報は米国側の視点が多いために忘れてしまいがちだが、そうした側面があるのも確かだろう。 もちろん日本が同盟国である米国の方針に反した行動は取りづらく、中国などアジアの強権国家を刺激する可能性もあるロシアの侵攻を看過することはできない。ただ、どの程度ロシアを追い詰めるかは議論すべきだ。過剰に追い詰めると、戦争は泥沼にはまっていく。 トッド氏は自身の意見が「西洋側のメインストリームと違うことを理解している」と語る。西洋側にはプロパガンダではなく、様々な意見を検討する強みがある。様々な知識や見識を総動員して、ウクライナ戦争の打開策を探りたい。 ―――― 私の感想と意見 ―――― はっきり言って、トッドは、ロシアびいきで、必要以上に反米である 私はロシアに与するこの意見に全く賛同できない 全ては米国の責任だという意見も偏っている エマニュエル・トッドはこれから無視しようと思う
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最終更新日
2022.06.22 14:35:42
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