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「民主主義よりも専制主義」? 「かんべえの不規則発言」より <12月3日>(土) 〇年初の頃に、盛んに言われていた議論に「民主主義よりも専制主義体制の方が優れているのではないか」というものがあった。パンデミック対策が典型的だけれども、為政者が世論に気兼ねせずに問答無用で政策を実現できるのなら、こんなに結構なことはない。民主主義国は何をやるにしても説明責任があり、しかも結果責任も負わなければならない。つまり失敗したら首になってしまう。 〇それだけではない。社会の分断が広がるにつれて、2大政党の政策が極端なほど違ってしまい、政権交代のたびに前政権を全否定する、ということが繰り返されるようになった。増税と減税が代わる代わる行われるくらいはまだいいのだが、「Anything But XXX」を外交でやらかすと、相手の国が困ってしまう。JCPOA(イラン核合意)などはその典型で、トランプさんのちゃぶ台返しの後では何を言ってもイランに信用してもらえない。 〇しかも民主主義はこれだけ手続きにコストをかけているのに、国民の満足度も高いわけではないのである。むしろ着実に経済成長を実現してきた中国や、自分たちが西側と伍している存在であるということが重きを増すロシアの方が、よっぽど満足度が高かったりする。逆にアメリカは「内戦」などという言葉が使われるほどであった。その上、民主主義の基本的手段であるところの選挙に対する疑義も絶えない。まったく困ったことであった。 〇ところが師走を迎えてみたら、景色が変わっているように見える。まず、ロシアは戦争を始めてしまった。確実に短期で勝てる「良い戦争」にするつもりであったが、これがどえらい失敗となりつつある。いつの時代も同じことだが、戦争を始めることは簡単でも、終わらせることは難しい。始めてしまったプーチン氏としては、「や~めた!」と言いたいところだが、それを言った瞬間にご自分の地位が危うくなる。 〇中国も困っている。「ゼロ・コロナ政策」は2021年中は上手くいっていたのだが、今年になったら重荷になり始めた。そろそろ引っ込めたいのだが、それを言い出すと習近平氏のメンツに傷がつく。そして全国各地で反対デモが始まった。そしたらそろりと政策変更が始まったようなのだが、こういうのを見るとあのデモも実は「やらせ」でなのではないかという気がしてくる。いやもう、あの国のことですから、何があっても不思議はないです。 〇こうなるとロシアも中国もどうするつもりなのか。プーチンは辞めるに辞められず、習近平は次の指導者の決め方がわからなくなってしまった。それに比べれば、民主主義国はなんと有利なことか。駄目ならクビになる。自分で辞めてもいい。だからと言って、投獄されたりはしないのである。 〇そしてアメリカでは、例の「復元力」が機能し始めた。中間選挙後の様子を見ると、トランプさんが「オワコン」になりつつあるらしい。まずはメガ・ドナーが出資を取りやめ、マードック氏などの保守系メディアが応援を止めつつある。「2024年米大統領選はデサンティス氏かもしれない」ということになっている。 〇今日でワールドカップの16強が出そろったが、ものの見事に民主主義国ばかりである。(どうでもいいことだが、ワールドカップの情報はFIFAのサイトが見にくいので、ワシはもっぱらNHKのサイトでチェックしているぞ)。 〇専制主義国家は、五輪のメダル争いには強いけれども、ワールドカップで勝つことは不得手であるようだ。まあ、五輪は不人気な種目にカネをかけるなどしてメダルを稼ぐことができるけど、サッカーはもともとが人気種目で、しかも最高峰選手は皆が欧州リーグに所属していて、4年に1度だけ国家を背負ってプレーするのだから。 〇てなことで、民主主義の良さを痛感する年の瀬なのであった。
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最終更新日
2022.12.11 08:40:52
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