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米国国債の危機 国別保有残高1位の日本は、米国債保有額1兆2,128億ドル 2022/07/27 これが紙くずになるなんて可能性は、考えるだに、恐ろしい ま、第二位が確か中国だった 「かんべえの不規則発言」より <1月20日>(金) 〇今年のアメリカ政治における最大の焦点は、債務上限問題ではないかと思う。イエレン財務長官によれば、ちょうど昨日、上限であるところの31.4兆ドルに達した模様。これから先は、米財務省があらゆる手練手管を使って資金ショートを防いでいくのであるが、6月上旬くらいにいよいよ誤魔化しきれない瞬間がやってくる。これは税収の多寡や米国債の支払金利などにもよるので、前倒しもあれば後ろ倒しもある。まあ、いつものチキンレースである。 〇アメリカ政府が資金ショートになって、米国債がデフォルトするというのはほとんどの人にとっては「悪い冗談」である。世界で最も安全なはずの金融資産が、突如として紙くずになってしまうのであるから、これはもう国際金融界にとっては悪夢そのもの。それでも米連邦議会というのは魑魅魍魎が跋扈する世界なので、ときどき発作的にそういうこともありまっせ、というのはこの世界における「初歩」である。 〇前回の卯年であるところの2011年夏には、やはり債務上限問題をめぐる与野党対立がヒートアップした。そのときは史上初めて、米国債が格下げになってしまった。ムーディーズはトリプルA(Aaa)を維持したが、S&P社がAA+に下げてしまったのだ。そうなればドル金利は上がるし、米国債の担保価値は下がるし、市場には筆舌に尽くしがたい混乱状況が訪れた。もうあんな馬鹿なことは2度と起こるまいと思ったのであるが、干支が一回りする頃にはみんな忘れてしまっているようである。 〇2011年と2023年を比較してみるといろいろ面白い。2011年当時には、債務上限は14.3兆ドルであった。なんと今の半分以下である。当時はそれで大騒ぎしていたし、実際に欧州は債務危機であったから、間違っていたわけではないのであろう。日本では東日本大震災があって、震災復興税が導入された時期である。その翌年には、野田政権下で2段階の消費増税が決まる。2008年にリーマンショックがあったことにより、「金融危機の後は財政危機が来る」ということがしきりと語られていたのである。 〇アメリカにおいても、国際金融危機のために大型の財政刺激策が取られ、なおかつ当時の米民主党政権は「オバマケア」を成立させた。このことが財政状態を悪化されるという危機意識が働いて、2010年の中間選挙では「ティーパーティー」と呼ばれる過激な共和党議員が多数誕生した。2011年の議会においては、彼らが強烈な瀬戸際戦術を駆使してオバマ政権に挑戦した。余計なことながら、当時のことを思う出そうとすると、なかなか適当な資料が見当たらないのだが、自分がその頃に書いた溜池通信の記事が役に立ったりする。 〇2023年の場合は、コロナ危機対策で何度も大型の財政刺激策が取られた後で、それによるインフレも猖獗を極めている。2020年から22年前にかけての財政出動額は、ざっくり7兆ドルに達する。そして今回は「フリーダムコーカス」と呼ばれる過激な共和党議員たちが火付け役である。となると、これはもう歴史の記憶というかDNAというのか、是非に及ばず、という気がしてくる。今年はやはり、債務上限問題でひやひやさせられるべき年なのだ。 〇ちなみに米財務省には「とっておきの秘策」があって、それは米造幣局に命じて「1兆ドルのコイン」を作らせることである。そのコインをFRBに預ければ、1兆ドルの資金を調達できる。もっともこの可能性、イエレン議長は「そんなギミックはダメ!」と言明しているらしい。真面目な方ですからねえ。 〇ということで、今年の米国政治はこれが最大のリスクとなりましょう。2022年財政年度では、歳入が4.9兆ドルで歳出が6.3兆ドル。差し引き1.4兆ドルの財政赤字である。日本も全然他人のことを言えた義理ではありませぬが、「パンデミックの後は財政危機が来る」というのもいかにもありそうな話ですから、もうMMTなどという寝ぼけた話をしている場合ではありませぬ。この点、最近の日本も金利上昇に対する警戒がやや薄いような気がいたします。
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最終更新日
2023.01.21 13:38:59
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