カテゴリ:🔴 B 【ブログ 過去ログ復刻】
【再復刻】 古本屋で夏目漱石の印鑑が押してある古い夏目漱石本を四冊ほど求めた (41) 2009.01.09 2009.01.09 と15年前の古い過去ログである この頃は、まだブログブームが残っていて この私の記事にも 41ものコメントを頂いた (私からのレスがそのうちの半数ではあるが) そのコメントが 今では望むべくもないほどの レベルのあるコメントばかりで あの時代は良かったな~と 思わず遠い眼つきになる(笑) このコメントは 別稿で独立復刻記事として ポストする ーー 再復刻過去ログ ーー 古本屋で夏目漱石の印鑑が押してある古い夏目漱石本を四冊ほど求めたが、これが果たして価値のある本なのかどうかがよくわからないまま悩んでいること 先日、古本屋で夏目漱石の本を4冊買った。 夏目漱石全集はすでに角川書店のものを持っている。 といっても一冊200円均一の古本だが。 それなのにまた買ったのは 今回買ったものは年代ものの本らしくて 面白そうだと思ったからだ。 近所のなじみの古本屋に立ち寄ったら、まるでゴミのような外観で古本屋の片隅に転がっていた漱石の本があって、革表紙だったり、布張りだったりなのだ。 ボロボロとまでは言わないが、古本の程度で言うと状態ははっきり「悪い!」。 会社のポケット手帳の大きさしか無いから、縮刷版というやつだろう。 紙ははなはだしく黄ばんでいるし、字も小さいし、フォントが非常に古くて、読みにくいことおびただしい。 おまけに「ふりがな」が振ってあるのが昔の本らしいのだが、その「ふりがな」さえも読みにくさを増している。 と言って、漱石の作品だから私には「ふりがな」が無いと読めない字も多いのだが。 さすがに古本好きな私もちょっとひるむ本だったが、最後の奥付を読んでみて、その古さに納得が行った。 発行年代が恐ろしく古いのだ。 なにしろ著者名が「夏目金之助」(本名)というのも二冊ある。 その四冊を順に書いて行こう。 1)我が輩は猫である 著者:夏目金之助 発行所:大倉書店 明治四十四年七月二日発行 大正七年四月十日 四十二版発行 正価:金壱圓三十銭 2)坊っちゃん 二百十日 虞美人草 著者:夏目金之助 発行所:春陽堂 大正二年十二月十日発行 大正十四年十二月二十五年 九十版 正価:金弐圓七十銭 3)道草 著者:夏目金之助 大正三年九月二十日発行 大正六年六月一日 縮刷版発行 大正六年十一月二十五日六版発行 定価:金壱圓十銭 4)行人(友達 兄 ちかてつ駅 塵労) 著者:夏目漱石 発行所:大倉書店 大正五年五月三日発行 定価:金壱圓三十銭 初めは買おうとは思わなかった。 しかし、奥付というのか? そこに押してある「漱石」または「金之助」の「夏目」という印鑑に惹かれた。 今は著者の印鑑の捺印はなされないが、一昔前はみんな捺印だった。 特に明治・大正の書物なら当然だ。 漱石本人が押したのではないかもしれないが、印鑑は間違いなく漱石のもののはずだ。 ひょっとしたら漱石自身が一冊一冊押し捺印したかもしれないのだ・・・(と思おう!)。 古本屋の話では、昔はこういう本を買う人もいたが、この頃はさっぱりだという。 初版版は4)だけで、これだけは少し値打ちがあるという。 しかし、この古本屋さんは人がいいものの、ときどき私の方がくわしい場合もあるのだからあまりあてにはならない。 それにこの人は古本屋にあるまじき性癖を持っていて、「古い汚い本」をいやがって、安値で早く売りたがると言う、古本屋としての致命傷がある。 おまけに腰痛がひどいので、「重い大型本」も早くさばこうと懸命だという致命傷が重なる。 こういう汚い本や重い大型本をこの店で値切ればイチコロで、むしろ渡りに舟と安値を付けてくれる。 これらの漱石本も「え~~い!」とばかり、一冊平均400円の値段をつけてきたがそれが高いのか? 安いのか? 私にはわからない。 漱石の「生」印鑑があるだけでも、買う価値はあるかもしれないとは思う。 しかし、クズなのかもしれない。 読む本としては縮刷版だから、活字派小さいわ、フォントは旧式な読みにくいものだわ、綴じ糸がほつれていて状態は悪いわ・・・、とても読書には適していない。 迷うところである。 100均、200均に慣れた身体には、400均は初体験でどうも勘がはたらかない。 しかし、ある考えがひらめいた。 考えてみるとこの本も実際には読まなくても、利用価値がありそうなのだ。 ―――― ◇ ―――― こーゆー古いすり切れた革表紙のポケット版の古希本をポケットにしのばせて、英国製のツイードのジャケットにカシミヤのマフラーだけの軽装で一人旅にでるのもいい。 (「だけ」といっても、下半身にはズボンをはいている) 葉巻かパイプも携行しよう。 葉巻はキューバ産のロメオ・イ・フリエータ。 高価だから一本しか買えないな。 ライターはダンヒルのオイル旧型がいい。 ウヰスキーは骨董品の英国陸軍のガラス製革張りのポケット水筒に入れよう。 オーデコロンはエルメスのEQUIPAGEにしよう。 アラミスでは、ただでさえセクシーな私が目立っていけない。 使い捨てカイロもポケットにしのばせておけばよけいにいい。 成人病の持薬はとりあえず置いて行こう。 これできっと旅先の軽井沢の暮れなずむ夕闇の中に文学をこよなく愛する若い「菜穂子」のような髪の長い美女が現れて、私のディレッタントぶりにおどろいて、「何をお読みなの? とてもめずらしいご本ですわね? 私の別荘で紅茶でもいかが・・・」と、麦わら帽子を脱ぎ、長い髪を振り払いながら声をかけてきて、それから、いろいろあって・・・ ついには「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という風になるのではないか? ―――― ◇ ―――― こういう複雑な計算を灰色の脳細胞であっと言う間に終えて、決断を下した。 ついに、ルビコンの河を渡って、400均を四冊買い求めたのだ。 もう一つルビコンの河を渡った古本がある。 「修養全集 金言名句人生画訓」 編集兼発行者:野間清治 発行所:大日本雄弁會講談社 昭和四年一月二十日発行 目次を書いてみよう。 道歌、禅の悟りの歌 俚諺 和歌・狂歌・歌物語 俚諺、数え歌、いろは画訓、唱歌 俳句、川柳、川柳絵噺、狂句 名言名句物語、警句、風姿諧謔 金言 家憲名訓、祈りの言葉、辞世 故事物語 十訓類 番付 とにかく面白い。 絵入りで滑稽な句・短い物語がいっぱい これはポケット本ではなかったので、古本屋さんは500円の値を付けた。 500円 ま、いいか。 しかしこの本は古希本とはいえ、滑稽本なのでその性質上「菜穂子さん」風美女の誘惑用には使えない。 しょうがないから、これをネタにして、これからちょいちょい日記に書き込もう。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.11.10 01:15:50
コメント(0) | コメントを書く
[🔴 B 【ブログ 過去ログ復刻】] カテゴリの最新記事
|
|