宇宙船「地球号」における人類の運命
日記の日付はどうあれ、書いている日付は2004年の大晦日。このごろは平成何年という、元号での年を意識することが少なくなった。 ~~~~~~~~~年末の一週間、見続けていたNHKスペシャルの【地球大進化】1~6集。――――――「あなたのなかには、地球46億年の大変動が隠されている」"母なる地球"と思われてきたこの星は、大変動を繰り返す"荒ぶる父のような星"で あった。 生命はその大変動による絶滅の危機を何度も乗り越えてきた。 私たちの祖先が微生物から人類へと進化してきた背景にも、地球大変動というドラマ が隠されてい たのだ。 このシリーズは、最新の科学と映像技術を駆使して描く、人類へと至る壮大な旅である。――――――実にすばらしい番組で、人間の歴史より大きい生物の歴史のおおよその案内をしてもらって、新しい知識に興奮した。 ~~~~~~~~~余談ながら私はテレビで見るチャンネルは、ほぼNHKだけという人間だから、海老原会長に表彰してもらえるかもしれない。NHK以外で見る番組って、あまり思い浮かばない。民放の番組は、総じて痴的な時間泥棒だと思う。 ~~~~~~~~~昨日の日記の内容とも関連するのだけれど宇宙船「地球号」は、二酸化炭素ガスなどの温室効果で、地球温暖化がもう止められないところにまで来てしまったと考えられている。つまり、今から温暖化をストップしようとしても、もう遅すぎるということ。この温暖化が進むにつれて、二酸化炭素ガスの20数倍の温室効果を持つ、メタンガスが海底から、シベリアの凍土から溶け出して、温暖化暴走状態に入って、地球は金星のような灼熱の惑星になってしまうというシナリオが予想されている。ほとんどの科学者はそういっている。しかし、火事場の馬鹿力で奇跡の科学技術が開発されるかもしれない。努力をあきらめては、可能性がゼロになる。と思うものの、それでも人類は目先の安楽を求めて、とうぶんは温暖化阻止の努力をほとんどしようとする姿勢も見せない。京都議定書にサインしなかった国とその指導者は、のちのち人類を破滅にみちびいたA級戦犯と見なされると思う。 ~~~~~~~~~本当は、イラク戦争などを論じている場合じゃないんだ。アフリカのスーダンの黒人たちが大量に餓死していること、およびアラブ系国民に大量虐殺されていること等の方が、スケール的に恐ろしい問題だと思う。 ~~~~~~~~~少子化対策として、もっと子どもを産もうといわれているが、この宇宙船「地球号」は、もう満員通勤電車的過密状態だから、人類の人口をこれ以上増やしてどうするのだ?と思う。悪いシナリオはいくらでもある。温暖化が進まないままでも、食糧不足はもうすぐ到来して、人口を養いきれなくなる。つまり餓死者が、北朝鮮のように、大量に発生する。水だって同じように不足して、人口が減る。 ~~~~~~~~~最悪のシナリオもあると思う。危機になると、無秩序・モラル無視の生存競争になって、強食弱肉状態になる。過剰人口を間引くために、大量虐殺が意図的になされる。そうなると戦力的に米国がだんぜん有利になる。私はそこまで米国は考えていると思う。インド・パキ・中国なんかの有色人種大人口国は、米国から核汚染無しの大量殺戮兵器による攻撃を受けるかもしれない。放射能汚染すると、そこに将来住めなくなるから。 ~~~~~~~~~お国の出生率に貢献しようというしてセックスする夫婦がいるとは思えない。しかし人類の先行きが暗くなるほど、DNAに命じられて、本能的に子づくりに励むはず。セックス版禁煙パイポみたいに、セックスが嫌いになる薬を開発すべきかな? ~~~~~~~~~有名な絵画で「メデューズ号の筏」というものがある。これは実話を題材にしたもの。筏に乗った漂流者たちが、通りがかる船?を見かけて必死に助けを求める場面。1816年に遭難したフランス船「メデューズ号」の遭難者149名が、筏を作って漂流、救助された時は15名だった。死亡者に加えて、食料を巡る殺戮が起きたりで、最後には人肉まで食べたらしい。とてもわかりやすい、究極のサヴァイヴァル・ゲームだと思う。なにがなんでも生き残った方がよかったのか?むしろ早めに死んだ方が幸せだったのか? ~~~~~~~~~似た様なケースに「アンデスの聖餐」事件がある。1972年10月、ウルグアイのラグビーチームのメンバー15名その他の25名が、標高11,500フィートの雪中の山脈に墜落。救助の見込みは無いように思われ、生き残るために墜落で死んだ人々の肉体を食べて生き残ったという事件。この結果、25人が生き残って救助され、一方これを拒否して死んでいった人もいた。彼らはカトリック教徒で、これらの人肉を神の与えた「聖餐」とみなして食べている。これは、しょうがないと思う。「聖餐」と、考えてもいいと思う。殺人を犯したという事では無いし。 ~~~~~~~~~他にも「光り苔」という題名の、実話を基にした武田泰淳の小説がある。時は太平洋戦争末期。舞台は北海道、知床半島の番屋(漁師の小屋)。遭難した貨物船の生き残りの船長が、もう一人の生き残りの船員が死亡した後、その死体を食料として生き残り、裁判で有罪になる。 ~~~~~~~~~大岡昇平も「鬼火」で、太平洋戦争末期の南の戦場での、同様の出来事を書いているし、インパールや様々な南方の戦場で同じような状況はいたる所であったようだ。 ~~~~~~~~~ちょっと前に正月を迎えたような気がしているのに、もう、また、大晦日になっている。時間の流れが恐ろしく速い気がする。光陰、矢のごとし。朱熹 偶成少年易老学難成 少年老い易く 学成り難し一寸光陰不可軽 一寸の光陰軽んずべからず未覚池塘春草夢 いまだ覚めず池塘(ちとう)春草の夢階前梧葉已秋声 階前の梧葉(ごよう)已(すで)に秋声こういう実感が迫る。 ~~~~~~~~~一年の締めという事で、気を引き締めるために、残りの人生を無駄な日々にしないでおこうと、敢えて書いてみた。それに「お医者の車」のような書き方になってしまった。つまり、「悪い方へ走る」。今夜は近所の寺の梵鐘が呼応するように鳴るのを、聞きながら、煩悩を消して行きたいと思っている。正月はめでたい話題を探そう。