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うたたねの詩

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2020/09/27
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カテゴリ:BLACKLIGHT 再起
数日後、フューリッドにようやくイグリスからの知らせが届く。
判断は任せるという言葉が、余計に悩ませる原因になっている。
「噂とは状況が違う。これを出したあとで急変したとも考えられる」
まず、噂が真実とは限らず、バフタールが意図的に出したものとも読める。
それでも、急変したと仮定して対抗策を考えたほうがいいのではないか。
そのときのために前もって準備しておく必要があるわけだが、
それで間に合うのか、という疑問はぬぐい切れない。
たとえ間に合わなかったとしても、とレイトは前置きしてから、
「国境沿いを斬り取れれば、最悪の場合になっても交渉材料にできる」
レイトの話を聞いたゲイドモールは、別の考えを口にする。
グラッカ王国を押しのけるのに時間がかかるだろう。
イグリスも一時的に奪われたとしても、それで引き下がるわけではなく、
取り戻すための余力は十分に残しているはずだ。
「だとしても、同盟を破ったことを黙って見ているわけには・・・」
むしろレイトの方が出兵に意欲的だ。しかし、ゲイドモールたちは慎重になっている。
不用意に戦禍を広げるのは得策ではない、というのが根本にはある。
戦争には金がかかる、その割に得られるものは少ない。
滅ぼして自国に取りこめられればいいが、そう簡単にはいかない。
「今回は守る戦い。これくらいのことなら任せておいても問題ない。
 我々がやるべきことは、国力を高めることだと思います」
レイトは納得できる部分もあるが、不安に思うところもある。
「長引くくらいなら、一気に終わらせた方が費用はかからないかと」
これにもゲイドモールは持論がある。
費用とは出兵にかかる費用だけではなく、
その間、普段できることができずに手つかずになってしまうということ。
今、出兵するということは、水路計画にも影響を与えるのは必然で、
これと比べれば、不利益を被るとみて間違いない。
「多少、状況が悪くなったとしても援軍を出す必要はありません。
 お気遣いは感謝いたしますが、これで負けるようでは、
 今後のイグリスに未来はありません」
レイトは今までに見たこともないゲイドモールの気迫に圧され、
これ以上は何も言わず、この話を終わらせるしかない。
(まさかここまで拒否してくるか。これからどうするべきか・・・)





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Last updated  2020/09/27 12:00:11 AM
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