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カテゴリ:BLACKLIGHT 再起
レイトの思惑では出兵をきっかけに、どちらにつくか見定めようとしていたが、 方法を変えなければならなくなる。 レイトは窓の外を見つめてもどんよりとした雲が広がっているだけだ。 雨が降り始めた頃、戦況が変わり始める。 「報告っ!南東方面より敵が侵入!」 南東にはグラッカ王国との国境があるが、攻め込んできた軍隊は違うようだ。 「わざわざ山を越えてきたのか、ご苦労なことだ」 もちろんこれは想定内であり、あらかじめ部隊を配置してある。 多少苦戦するかもしれないが、食い止められると高をくくっている。 危機感は持っていても、心のどこかでは気が緩み、ここに付け込まれることになる。 それぞれから不利な戦況が報告され、応援を要請される。 詳しい報告によると、敵個々の力が強化されており、 特にグラッカ王国方面は激しく押されているという。 「してやられたな。おそらく高山訓練でもしてきたんだろう」 「とにかく予備兵を送りましょう。至急、増員の手配もしなければ」 拠点を奪われれば、取り返すのも手間がかかる。が、 「逃げ場を無くしてすりつぶすのも悪くないな」 高山訓練をしているのであれば、今争うのは厳しい。 強化効果がずっと続くわけではなく、時間が経てば弱まっていくはず。 その作戦は前線に伝わり、あきらめたように見せかけて拠点から退く。 喜ぶ敵をしり目に、バフタールの補給路を断つように軍隊を配置する。 バフタール軍は二つの拠点を結ぶために出撃する。 それに対してイグリス軍は補給路を断ちながら、 余力ある部隊が拠点をつついていく。 強化効果が薄れてきたのか、補給路を断たれた焦りからか、 戦力は拮抗し始めていく。 だが、バフタール軍もこれで全兵力を出し切ったわけではなく、 グラッカ王国方面からの第二陣が参戦する。 再び士気を取り戻したバフタールが南東の補給路を回復させる。 それでも、バフタールへの直接的な補給路を取り戻せないまま、時間が経つ。 イグリスにとっては予定通りに事が進み、 各地からの応援が続々と流れ込んでいく。 「逃げるそぶりが見えたら迷わず追いかけろ。ひとりでも多く仕留めるぞ」
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Last updated
2020/10/04 12:00:04 AM
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