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しんどいアリスの本

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2006/04/03
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カテゴリ:カテゴリ未分類
最近、小説書いてるんすね…。
まぁ、ぶっちゃけると、TYPE-MOONに影響受けまくっているんだけどね…。

で、プロローグを作ってみたんで、読んでくれ。
前みたいに怯えたことはいわねぇ!!感想ジャンジャンよろ!
続きは、HPに掲載しとく…。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
≪プロローグ≫


昔、俺はある女の子にあった…。

その日は、山で遊ぶのに夢中になって、『闇の森』までいってしまった時のことだ。
満月の輝く美しい夜。
俺はその森で、いわゆる迷子というやつになってしまった。
帰り道もわからないので、ただ単に歩きまくった。

すると、目の前に小屋がある。
その小屋の前には一人の少女が居た。
園少女は寂しそうにひざを抱えて、座っていた。

行く当てもないので(というか、迷ってたので)俺は少女に近づいてみた。
しかし、少女は拒絶した。俺自身を拒絶した…。
いや、拒絶してるのは俺の存在ではなく、その少女以外の全てのように思えた。強い拒絶だが、別に来るなと口にしたわけではない。その少女から発せられる雰囲気が、そう感じたんだ…。

それでも、それでも俺はその子近づいて、話しを試みた。

でも、その少女は口を開けば、自分のことをバケモノといい、とても悲しそうな顔をしてうつむいていた。
自分に近づくと不幸を招く、とも言っていた。

とても、当時の、いや、今でもその子がそんなバケモノだとは思えなかった。
きれいな顔つきで、月に反射して輝いているつやつやの金髪、悲しそうに見えるブルーの目…。
どれも美しく見えた。

俺は、そんな彼女が気に入らなかった。どこがバケモノか全然理解できなかったからだ…。

そんな態度をとると彼女は、

「吸血鬼……ってしってる?」

と聞き返してきた。

「そんなの知ってるよ?首をかんで血を吸う怪人でしょ?」

「……それが私なの。」

「……?」

「だから、………私は“吸血鬼”なの…。」

「…え?そうなの?」

「うん、私は吸血鬼なの。だから、誰からも愛されないの。
それに、大事なものも失ってしまった。もう、ヒトではないの。だから、皆から嫌われてる。」

気に入らなかった。
どうして、それが幸せを奪うのか?
どうして、それが人間じゃないのか?
どうして、それが………人々を恐れさせるのか?

当時の俺にはそれを理解するもの少し難しかったからか、
いや、それ以前に、なぜこんなにきれいな女の子がみんなから嫌われなくてはならないのか、
俺にはわからなかった…。
それに、この子はあんまり悪いことをするようには見えなかった。

「でもさ、吸血鬼ってさ、怖いイメージあるけど、君には全然ないね?」

「……それは、外面だけだよ」

「う~ん、でも、僕には優しそうに見える。ヒトの心ってね、顔にでるんだよ?」

「私はヒトじゃないもの。」

「…(ムカッ)」

「あぁもう!!いい、わかった!とにかく僕ついてきて!!!」

「え?」

俺は頭にきた。
どう考えても、マイナス思考になる彼女が気にいらなかった。
だから、彼女を連れまわして、楽しい、ということを教えようと思った。

彼女も、最初のうちは乗り気ではなかったが、後のほうになると段々笑顔になり、
俺と一緒に遊ぶようになった。

彼女はその日を境に俺と遊ぶようになった。
彼女も以前のようなイジケタ顔ではなく、本心からの笑顔で、俺と遊ぶようになった。

楽しかった。
とにかく彼女と遊ぶのは楽しかった。

木にブランコをつくり、二人で遊んだり、
川で魚を釣ったり、川で泳いだり、
夜は釣った魚を焚き火にあぶして、食べたりして、
とても楽しかった。

彼女との時間は最高のものだった。


しかし、そんな楽しい日々は、
彼女の、吸血鬼の運命が打ち砕いた。


俺がいつもの時間にいつもの場所(つっても、その少女の家なのだが)で少女と会うために目的地点まで歩いていた。

少女の小屋が見え始めて、少し早歩きになった。
(当時の俺はとにかく彼女との時間が楽しく、彼女とともに過ごすことが何よりの楽しみだった。
いまさらながら思ったが、たぶん、彼女のことが好きだったんだろうなぁと思う。今でも好きなことにかわりはないんだけどね…。)

しかし、その小屋で、少女の名である“アレス”と呼んでも、返事は来ないし、中に入っても彼女は居なかった。

ただ、あったのは、

血だらけで書かれた俺宛の手紙。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

“ジュンへ”

“私はこの運命からは逃れられなくなりました。
ただ、普通に過ごしてるのに、血がほしくなり、胸が痛くなり、頭がガンガン痛くなります。
確かにつらいのです。でも、それより何よりあなたという大事な存在をなくしてしまうかも知れない。それが私にとってなにより怖い。
あなたは、私のたった一人の親友であり、たった一人の信頼できる人間だから失うのが怖い。
この体になってから母親も信頼できずに食い殺してしまった私だから、せめて信頼できたあなただけは間違っても殺したくない。
でも、この本能があなたを殺せと命じてくる。血を満たせと命じてくるのです。
だから、だから私は、この本能が抑えられるようになるまで、姿を消します。
あなたに会える日はかなり遠くなりますが、私のことを覚えていてください。
私は、あなたのことが、好きです。”

“さようなら”

“By Ares.G.G”
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

それから、俺は彼女に会ってない。

月日が過ぎるのは早いもので、あれからもう7年も経っている。
その日からいろいろあって、故郷を旅立ち、
ある魔法使いを師として、修行をして、俺は魔術師になった。

そして、故郷である『みなも町』の歴史的魔術の調査としてやってきた俺は、高校生としてこの町を捜索することになった。

懐かしい町。
懐かしい友人。
懐かしい少女との思い出。

そして――――――少女と出会ったあの森で、俺とアレスはまた出会う。

俺とアレスの狭間で止まっていた時間の歯車は、緩やかに動き始める……。





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Last updated  2006/04/04 01:31:02 AM
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