ジャンゴは許さず(1966年 西・伊) 未公開
自己解決してしまったのですが、以前紹介した"Kitosch, l'uomo che veniva dal nord" (キトッシュ、北から来た男)の、大量の人数による戦闘シーンは、他の作品からの流用だという話を書きましたが、作品を特定することができていませんでした。今回、"Django non perdona" (ジャンゴは許さず)を見て、そのオリジナル・シーンを発見しました。二つの作品のシーンを重ね合わせてみました。微妙にキャプチャしたフレームがずれていたので、ゴーストのようになっていますが、ベースが"Django non perdona" (ジャンゴは許さず)で、黄色い枠内が"Kitosch, l'uomo che veniva dal nord"です。確かに考えてみれば、カナダ騎馬警官隊が登場するマカロニはそれ以外では、"I tre del Colorado" (コロラドから来た三人)、"Giubbe rosse" (深紅のコート)ぐらいでしょうから、想像はできたのかもしれませんが... さて、今回はその"Django non perdona" (ジャンゴは許さず) a.k.a "Mestizo"を紹介します。イタリアのタイトルだとどんな作品か全くわかりませんが、スペインのタイトル"Mestizo"(白人とアメリカ先住民とのハーフブリード)である主人公 ピーター・ランブロックが、暴行され自殺した妹の復讐のため、カナダ騎馬警官隊にガイドとして入隊し、犯人を捜すといったストーリーです。"Django non perdona" (ジャンゴは許さず) 監督:フリオ・ブックス 出演:ヒューゴ・ブランコ、スザンナ・カンポス、グスタフォ・ロホ 音楽:アントニオ・ペレス・オレア右の画像の左から、騎馬警官隊の同僚 レックスの婚約者 ヘレンを演じる、スザンヌ・カンポス、右は主人公 ピーター・ランブロックを演じるヒューゴ・ブランコ。しかし、ヒューゴ・ブランコはレナード・マンをさらにショボくしたような風貌の俳優ですね。「ガンマン無頼」「ガンクレイジー」「嵐を呼ぶプロファイター」に出ていますが、あまり印象にないのですが...この作品、主人公を演じる俳優が全て、南米出身(ヒューゴ・ブランコ、スザンヌ・カンポス=アルゼンチン出身、レックス演じるグスタフォ・ロホ=ウルグアイ出身)ということなのですが、何か意図でもあったのでしょうか? 冒頭でも触れましたが、 正直マカロニではお目にかかれないぐらいの大量のエキストラを使った壮絶な戦闘シーン(砦の襲撃シーンと最後の平原での戦闘シーン)は、かなり見ごたえがあり圧巻です。一説によると、スペイン軍の協力を得ているそうです。 武器密輸業者と結託した先住民たちの襲撃を受け、形勢不利になったカナダ騎馬警官隊への援軍として、イギリス・フランス連合軍が駆けつけ、撃退するという中、ピーター・ランブロックは妹の仇を倒します。左の画像では結果的に恋敵になってしまった同僚 レックスが撃たれ、ピーターも左腕を撃たれながら、右腕一本でライフルを回転させ装填しながら、連射して、仇を仕留めるシーンです。脇役ではマカロニでお馴染みメンバー(ルイス・インデュニ、フランク・ブラニャ)が出ているものの、主人公たちはマイナーな俳優が多いのですが、さすが「つむじ風のキッド」(67)、"Quei disperati che puzzano di sudore e di morte" a.k.a "A Bullet for Sandoval"(69)といった、マカロニ秀作を手がけているフリオ・ブックスの作品なので、哀愁に満ちた、なかなかの出来のマカロニ作品に仕上がっていると思います。おそらく作品を見ていなければ、「何じゃ、こりゃ?」 と思うような、ムード音楽チックなアントニオ・ペレス・オレアの主題曲も、切ないイメージの作品になかなかマッチしていると思います。