|
カテゴリ:火山災害
今、ちょっとした新島ブームが起きているようですね。 舞台となっているのは、東京都小笠原村、西之島近海です。 西之島は無人島で、一番近い人里は、東側に約130km離れたところにある父島です。 距離的には小笠原諸島に近い西之島ですが、地理区分的には火山列島(硫黄列島)北端に位置する火山島です。 海に隠れているため分かり難いのですが、西之島は富士山より大きい4000m級の成層火山の山頂が、海から顔を出している姿なのです。 火山列島は日本で一番火山活動が盛んなエリアです。昭和48(1973)年にも、やはり西之島が噴火して、西之島新島が出来ています。この時は噴火活動はその後も続き、西之島新島は西之島と繋がり地続きとなって、噴火前より一回り大きい現在の西之島になりました。 西之島の海域は、その後も火山活動は続いており、海面に変色が確認されるなど、たびたび注意報が出ています。 今回の噴火ですが、11月20日頃から噴火が始まり、本日22日現在まだ活動が続いています。 もし新島が誕生となれば、西之島新島誕生から40年ぶり、鹿児島県鹿児島郡三島村の昭和硫黄島(昭和9(1934)年誕生)に次いで、日本では3例目となるかもしれません。 島が出来れば領海も広がり、経済水域の拡大や海洋資源の開発エリアも拡大しますから、わくわくしながら見ている人も多いようです。 噴火で出来た火山島の多くは、火山活動が終了するに地殻が崩れて陥没したり、波に浸食されて消えてしまうことが多いですが、今回はどうなりますかねぇ。 もし無事新島が誕生した場合、気になるのはどこの国の領土となるのかですが、西ノ島近海は日本の領海内のため、国際法で日本領土となります(隣の中国ではネットで「新島が出来たら、そこも中国の領土だ」といっている人が早くも出たようですけどね・苦笑)。 さて、今回の噴火を、結構唐突だなと思った方も多いかも知れません。 前に桜島や阿蘇山の火山情報を触れたことがありましたが、そちらは警報や注意報でした。今回の西之島は警報や注意報をすっ飛ばして、いきなり噴火から始まったからです。 しかしそれも無理はありません。西之島は東京から約1千km、一番近い父島から130km離れた無人島ですから、観測態勢は全く出来ていません。 当然噴火周期も不明で、噴火規模の予測も出来ません。 今回の噴火も今日明日で終息するのか、それとも数年にわたって続くのか全くわかりません。 また今回の噴火が短期間で終息したとしても、すぐに再度の噴火が起きる可能性もあります。 あとネットでは、「今回の噴火で、M9の直下型大地震が起きる」「南海トラフを誘発する可能性がある」といった情報が出ています。 それについては直接的な影響はないと考えられていますので、この手の根拠のない情報に振り回されないように注意してください。 確かに西之島は、南海トラフを引き起こすことで知られるフィリピン海プレート上にある火山ですが、南海トラフの震源地と距離も離れており、連動しているかどうかの確証は全くありません。つまり科学的な根拠はないのです。少なくとも現在の噴火規模では誘発するほどの影響はないでしょう。 また西之島周辺でM9レベルの大地震が発生した場合、東日本大震災のような大津波が発生するのかどうかも、ハッキリとしたことはいえません。 ただ仮にその規模の地震が発生した場合は、津波は来るものという意識で、落ち着いて避難するのが最善の行動でしょうね。 それではまた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[火山災害] カテゴリの最新記事
|