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2014.11.28
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カテゴリ:火山災害

DSCF2161.jpg

25日に噴火以降、阿蘇山の噴火活動が継続しています。

昨日(27日)は噴煙が火口から1500メートル上がり、ストロンボリ式噴(噴石、火山礫、火山弾を、数千メートルの高さに達する感じで打ち上げる種類の噴火。爆発的な噴火にはならないので、山体崩壊などは起きにくいです)が起きていることも確認されました。

風向きの関係で、中岳第一火口の西側、熊本市内に降灰が起きているようです。恐らく、今後も降灰範囲は拡大していくと思います。地元の皆様は、外出の際ご注意ください。

さて、昨日の気象庁の調査で、興味深いことがわかりました。火山灰の中に、スコリアが確認されたのです。

スコリアとは、火山噴出物のひとつで、マグマが冷えて固まったものの破片(岩滓ともいいます)です。それが発見されたことの理由は、今回の噴火がマグマの上昇に原因がある事を示しているのです。

「え? 火山って、マグマが上昇するから噴火するんでしょ?」と、思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、マグマ噴火は数多くある火山噴火の一形態に過ぎません。現に、9月の御嶽山噴火は、水蒸気爆発による噴火でした。マグマは上昇していません(一部、御嶽山噴火を予測したと主張している研究者の中には、「マグマの上昇を観測した」と言っている方もいますが、上がってきていないものをどうやって観測で来たんだよ、この詐欺師め、と、口に出しませんが心の中で思っています)

今回の阿蘇山噴火ですが、残念ながら長期化の気配があります。

火山性地震は、噴火前(11月20~24日ぐらいまで)に比べると、若干減ってきましたが、孤立性微動(阿蘇山特有の火山性微動。噴火していないときでも観測されていますが、この孤立性微動の回数が急増したり、持続時間が長くなると、噴火が起きる傾向があります)はこの数日24時間ぶっ通しで起き続けています。

またGNSS連続観測(GPSを使った観測システムです。簡単に言えば、日本国内1200ヵ所以上設置された電子基準点を測位衛星で計測し、その区間距離を測測定することで地殻変動を捉えています。日本全国を網羅して観測して変動を観測できる画期的なものですが、残念ながら地震や噴火を予知できる精度はありません。実際に自分のいる場所とナビ上の位置が微妙に違うという経験のある方も多いかと思いますが、現在のGPS技術では、機器の性能や天候などに左右されるため、数メートルの誤差はどうしても出てしまいます(システムを管理している国土地理院では、誤差を補正するソフトを使って修正しています。ただし国土地理院のHPで一般公開されている日々の情報は、リアルタイム表示なので、補正されていません)。火山噴火にせよ地震にせよ、正確な予測には少なくともセンチ単位の精度(正確に言えば、ミリ単位以下の高密度の測定データが必要)なので、まだまだ精度が不足しています)による測定結果でも、噴火直前に阿蘇山の山体が膨張したままの水準を保っています(参考までに、御嶽山の場合は、マグマは上昇せず、噴火によって圧力が抜けたため、山体の膨張前の水準に戻りました)

ぶっ通しの孤立性微動とGNSS連続観測のデータから分かるのは、マグマの上昇と補充は続いており、今しばらくの間、小規模な噴火が続く可能性があるかもしれないと言うことです。

最後に、今回の阿蘇山噴火で、破局噴火の兆候はありません。

今ネットの一部では、「阿蘇山が破局噴火する!」というものも出ているようです。先日神戸大の先生が、「100年に1パーセントの確率でカルデラ噴火が起きる」という発表もあったばかりですから、どうもタイムリーな話になってしまったのも、あるんでしょうね。

9万年前の阿蘇山破局噴火のネタについては、私も3年ぐらい前に触れたことがあるので、私も煽った奴の1人になってしまいそうですが(汗)、私が言いたかったのは、「阿蘇山はかつて、人類を滅ぼしかねない規模の噴火を起こした山だったんですよ。阿蘇山は死んだ山でないので、また遠い未来に同じような噴火が起きるかも知れません」ていうことだったのですが、もし今回の噴火でそれを思い浮かべてしまった方がいたとしたら、大変申し訳ございません(多汗)。

繰り返しになりますが、今回の阿蘇山噴火には、破局噴火の兆しはありません。ついでに言うと、霧島新燃岳も、破局噴火の兆しはありません(霧島連山は、30数万年前に破局噴火を起こした加久藤火山の跡地に、新たに起きた火山です。極端なことを言えば、霧島連山のみならず、えびの市や小林市は、加久藤火山の真上にある事になります)

ですから、破局噴火を心配されているかいらっしゃいましたら、安心してゆっくりお休みください。大丈夫です。

それではまた。






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Last updated  2014.11.30 16:28:23
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