私は9歳の時に負った膝の怪我がもとで、24歳まで左股関節の痛みと不自由さに悩まされました。
怪我をして一月ばかり、左足にギブスを嵌めていたせいで、膝のみでなく股関節までも固まったのです。
中学、高校と部活でバレーボールに汗を流していましたが、走ることも飛ぶことも出来ましたし、曲がりが悪いということ以外、股関節痛を気にするということはありませんでした。
ただ一つ、日常生活においては、和式のトイレがとても大変でした。
私が中学校卒業まで住んでいたアパートは和式トイレで、股関節の曲がりが悪い私にとっては、和式便座で腰を落とすのがきつくて大変でした。左足はしゃがむと膝と胸が約25センチ位離れていて、曲げていることの痛みに耐え、右足に体重を掛けているので、すぐに腰が重くなり、バランスを取るために、パイプに掴まって用を足していました。そして、用を足した後、立ち上がるのが一苦労。歯を食いしばって腰と股関節を伸ばす辛さに耐えて立ち上がり、腰と股関節の痛みが落ち着くのを待ってから、トイレから出ていました。
高校に入ってすぐに引越して、洋式便座になったので、トイレの苦痛からは開放されました。
そして高校卒業後、治療の世界に身をおいてから、再度股関節の痛みに悩まされることになりました。
父の許に弟子入りし、治療という世界に足を踏み入れた私ですが、いきなり、股関節の不自由さによるハンディキャップを痛感しました。
治療は布団で行うのですが、指圧をするときの姿勢、これが私には苦痛でした。指圧による指が慣れるまでの親指の痛みもさることながら、股関節の曲がりの悪い私には長時間患者さんの体を指圧し続けること自体、耐え難い痛みだったのです。
ですが師匠である父や、弟子仲間の従兄弟に治療してもらっていたお陰で、痛いながらも何とか日々の修行に耐えることができました。
その後、父の師の許で修行をさせていただくことになりました。
修行先は、骨盤調整法では有名な治療所で、私がお世話になっていた当時は骨盤を中心とした治療を行っていて、骨盤のズレからくる股関節痛には効果があったと思われますが、私のように股関節自体にも問題がある状態には、効果があったかは疑問でした。
現に、毎日のように弟子同士で治療を行っていたのですが、股関節自体へのアプローチは少なく、私の股関節は日に日に痛みが増していき、弟子入り後、約半年後には、10分から15分位歩くと痛みに耐えられず、しばらく休憩をとり、自分で出来る範囲で治療をして、またなんとか10分位歩けるという状態でした。
会長先生に、直に治療していただけていれば、良かったのかもしれませんが・・・。
修行先は、先生の治療を教わる場なので、私が父から教わった股関節の治療法を口にする事は憚られ、弟子同士にも話せる雰囲気ではありませんでした。
そこで、当時付き合いだしたばかりの家内に治療を頼み、ケアをしてもらうことにしました。
週に1回の家内の治療のお陰で痛みがだんだんと改善されてきて、あまり痛みを気にすることなく仕事をすることが出来るようになりましたが、痛みが消えた=曲がりが良くなったというわけではありません。
痛みの再発防止のためには、出来る限り股関節の可動範囲を広げる、ベストはどの方向に動かしてもスムーズに動くようになることではないかと考えていました。
そもそも、治療を行なう立場としては、股関節も曲がりが悪い(可動範囲が狭い)というのは、大きなハンディキャップでした。
やはり、股関節を根本的に治さなければならない。
そして独立後、治療技術の見聞を広げる事も兼ねて、股関節の可動域を広げる治療を行っている施術所、もしくは股関節の治療を行なっているという施術所を探しては行ってみたのですが、残念ながら私が訪ねた施術所は、どこも「?」という所ばかりでした。
股関節の治療を行っていますと謳っていても、首を治療してお終い、腰を伸ばしてお終い、などの治療に終始され、こちらが股関節の情況を訴えても、一箇所を除いて、どこも体のバランスを整えることが大事とありきたりな説明に終始され、股関節には触れることすらしないところも多々ありました。
股関節に触れた唯一の治療師は、臀部に触るだけで結局は筋トレを行なってくださいという説明でした。
私が求めていたのは、痛みを緩和・取るだけではなく、可動範囲を広げる為の治療だったこともありますが、私が通わせていただいた施術所は、どこもこれでは痛みを取る事も出来ないのではないかと疑ってしまうような施術ばかりでした。
10軒近く訪ねた後、股関節治療出来ますという治療院より、家内に治療してもらうのが一番楽になるという事を明確に意識しました。
ということは、家内にやってもらっている治療を発展、昇華させていけば、私が目指す股関節の状態になるのでは・・・?
その考えに達した私は、治療院探しを止め、自分自身での治療法の研究を決心しました。
そして、自分自身での体操とストレッチ、家内の治療と二人三脚で努力した結果、半年も掛からないうちに、足を揃えて両踵を床に着けたまま屈伸をして両膝が胸につくようになりました。
9歳の時から15年間曲がる事のなかった股関節が僅か半年も経たずに膝が胸に着いたのには、本当に驚きました。
もちろん、股関節の痛みも、股関節の柔軟性が高まるにつれ気にならなくなりました。
今現在も毎日の体操とストレッチ、定期的な家内のケアにより、股関節の痛みに悩まされる事はありません。
股関節痛と不自由さから開放された私の様に、一人でも多くの方に楽になって頂ける様、さらに治療を進化させるべく、日々精進しています。
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