先週のことですが、
70キロ離れた実家がある茨城県M市に行ってきました。
実家も地震でブロック塀が崩れたり、家の中にも少し被害があり、
年老いた親の様子も気になっていました。
いつもはのどかな田園風景の一般道を通るのですが、
道の状態がわからなかったので、
少し遠回りになる高速道路を使って向かいました。
高速道路も被害を受けていて所々デコボコ。
インターを降りると、屋根のブルーシートが目立ちます。
M市に行ったのにはもうひとつ、
長年おつきあいのある車のディーラーに用事があったからです。
夫がサービスマンと話をしている間、私はショールームの方で待っていました。
このショールームの壁にも亀裂が入り、地震の大きさを物語っています。
ショールームからガラス越しに外を見ていたら、
1匹の犬が目に入りました。
茶色の雑種の中型犬。
すぐに青い首輪が目についたので、
飼い犬だな、お客さんが犬を連れて来てるのかな?と思ったのですが、
その犬はキョロキョロと落ち着きがなくうろうろしています。
営業マンに「あの犬、なんだろう?知ってますか?」と聞くと、
「いいえ。今気がつきました」。
迷子だ。地震で迷子になったんだ!
すぐにショールームを出て、道路の方に走って行く犬に声をかけました。
ディーラーは交通量の激しい国道に面しています。
道を渡ったら危ない!
しゃがんで、「こっちにおいで!」と手をたたいて犬を呼んでみました。
犬は振り返って立ち止まり、
「誰だろう?」という顔をしながら近づいてきてくれました。
「どうしたの?どこから来たの?」と声をかけながら
頭を撫でることができました。
首輪に迷子札か鑑札がついていないか確かめようとすると
飛びのいてしまいます。
(今思うと、もしかしたら首が痛かったのかも)
「大丈夫、怖かったね、なんにもしないよ」と話しかけてやさしく撫でているうちに
首輪を見ることができましたが、なんと、そのベルト式の首輪は
金具のところが引きちぎったように切れていて、
かろうじて繋がっている状態だったのです。
鑑札も迷子札もその時にはずれたのかついておらず・・
地震で驚いてパニックになり、繋がれていた鎖?を力いっぱい引っ張って
逃げてきたんだろうか・・
とりあえず、ディーラーの人に水をもらって与えたところ、
すぐゴクゴク飲んでくれました。
営業マンたちも犬を囲んで「どうしたんでしょうね」と心配しています。
犬は少し安心したのか、やっと腰をおろして脚をのばしました。
「君は迷子?どこの子なの?」と聞く私の顔をペロペロ舐めたりして
人懐こい子です。
毛並みも良く、きっとお手入れされて可愛がられていたのだろうな。
私を見上げる犬の目がとても不安そう・・。
とにかく警察と保健所にこういう犬がいると連絡したほうがいいかな。
でもここで保護してもらうことは無理みたいだし・・
70キロ離れた我が家まで連れて行ったら飼い主さん探しが大変だし・・
保護する場所がないまま保健所に連絡したら捕獲されてしまうし・・
どうしたらいいのかな、、、と案じていたら
急に、まるではっと気がついたように犬が道路の方に駆けだして行ったのです。
危ないよ!
すぐに営業マン二人が追いかけます。
私もあとを追ったのですが、犬は道路を渡らず、
住宅のある裏手の方に走っていったのか
すでに姿が見えませんでした。
飼い主さんが呼ぶ声が犬に聞こえて戻ったのかもしれない・・
営業マンも私もそう思うしかありませんでした・・。
この犬、どうなったと思いますか?
結果から言うと、犬は飼い主さんのもとに戻ったのです!
後日談はこうです。
私は犬が気になりながらも実家に行き、そして帰宅しました。
その頃(その日の夕方)、犬はディーラーに戻って来たのです。
営業マンはやはり私が言うように迷子だと確信したそうです。
そして所長に経緯を話し、
「そういうことなら飼い主が見つかるまでここに置いてやるしかないだろう」
と保護する許可をいただきます。
(犬も猫も動物が大好きな方なのだそうです)
すぐにホームセンターに行き、ドッグフードと、
つけているのと同じ青い首輪と、係留するためのリードなどを買います。
犬はドックフードを出したら貪るようにワシワシ食べたそうです。
きっと8日ぶりの食事だったのでしょう。
それから取れそうな首輪をつけ替え、どこかへ行かないように繋いで、
段ボールで簡単な小屋まで作ったそうです。
翌日は散歩に連れ出して近所に家がないか見て回ったそうですが
犬のおうちはなさそう・・。
散歩の時に、犬は嬉しくて興奮して尻尾を振り振り。
一度も吠えることもなく、懐っこい犬は
ディーラーのみなさんから可愛がってもらったそうです。
その日、別の営業マンが
飼い主さんを探すのはどうしたらいいだろうと調べたそうで、
地元のラジオ局で迷子犬を預かっていることを放送してもらうことになったそうです。
これが幸運でした。
放送直後、なんと飼い主さんから連絡があったのです!
迎えに来た飼い主さんが「ポッキー!」と呼ぶと、
犬はそれはそれは狂わんばかりに全身で喜んで、
尻尾を千切れんばかりに振ったそうです。
そしてポッキーはめでたくおうちに帰ることが出来ました。
やはり、地震のあった11日、庭から逃げ出してしまったそうです。
ディーラーのある隣の町で、数キロ程度の距離ですが
ポッキーは8日間彷徨っていたことになります。
飼い犬の帰巣本能はアテにならないのです。
庭に犬を繋いでいる飼い主さん、
今一度、しっかり繋がれているか確認してください。
首輪に犬鑑札や連絡先の電話番号を記載して付けてください。
発見の翌日に戻ることが出来たポッキーはとてもラッキーでしたが、
保護しても連絡先がわからないばかりに戻れない犬がいます。
街を徘徊している犬は通報されれば保健所が捕獲しに来ます。
飼い主が迎えに行かなければ待っているのは殺処分です。
今回、私はなにも出来ず、
ボランティア団体に身を置きながら何をやっているのかとお叱りをうけそうですが、、、
迷子にさせてしまった!迷子を保護をした!という場合は、
保健所、収容施設、警察に必ず迷子届けを出して下さい。
飼い主さん、そのうち戻ってくるから・・という考えは絶対ダメですよ!
詳しくはこちらが参考になります。
地震の影響によるペットの迷子に注意
(獣医師広報版)
ポッキーを保護し、飼い主を探して下さった
○ャ○ー茨城のみなさん、ありがとう!