アラビア書道とその周辺

年末になると生徒さんから、アラビア語で年末年始にあたる言葉をアラビア書道で書いて欲しいとよく言われるようになります。

ところがアラビア語にそれに相当するようなうまい文言が見当たりません。
イスラム暦での年始は今年の場合既に12月8日から始まっているのですが、特に休日ではなく、いつもと同じ生活をしています。

そこで「イスラムでは特にそのような文言は無いのですが」と言うと、何か残念そうな、そして不服そうな顔をされる方もいらっしゃるので、それに代わる文言として、毎年書いているのが、kulla aamin wa antum bi-khairin　です。
意味は「毎年、あなたがたが良き事とともにありますように」になります。

イスラム暦の第12月（Dhu al-Hijja）にイード・ル・アドハー（犠牲祭）の祭日があります。今年は11月16日～19日がそれに当たりました。
広尾にあるアラブ　イスラーム学院もその前後がお休みだったのでお稽古が一回飛んでしまったのですが、その後のお稽古日である１１月２５日に学院に行ったところ、入り口の門にアラビア語と英語で書かれた張り紙がありました。

英文の方を訳してみると、
「祝福された犠牲祭にあたり、新しい年の間ずっと、ご多幸がありますように。そして、アッラーが、我々全てが次のイードに会えることをお許しになるように」という文言になっていました。

このアラビア語文の中に例の「kulla～」の文章が使われていました。ちょうど日本語訳の「新しい年の間ずっと、ご多幸がありますように」のところにあたります。
このような文章を見ていると、kulla～の文は新年の挨拶に使えそうです。

この文言を書くと今年も一年そろそろ終わるなあと感傷に耽（ふけ）ります。