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アラビア書道とその周辺

アラビア書道とその周辺

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2011.06.02
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出発時刻は18:10になっていましたが、切符を売ってくれた窓口で3時半ごろに列車が遅れているかどうか分かるよと言ったのを思い出し、17:00ごろ駅に戻ると、駅のホームに列車名と発車時刻、それに備考欄(多分)として実際の出発時刻らしき数字が書かれている小さめのボードがありました。

それを見ると、14時台の列車が1時間半ほど遅れた以外は遅れの情報は書かれていません。ところが、16時半ごろ出発予定の列車が今目の前から出発しています。おそらく1時間以内は遅れにカウントされないのでしょう。
18:10発の第38特急列車の欄には何も書かれていません。
ところが、ふとホームを見るとハジャイ発バンコク行という列車の客車が止まっています。こんな時間にバンコクに行く列車は時刻表になかったはずだし、確か38列車はハジャイから4~5時間かかるスンガイコロクという駅出発のはずなのでこんなに早く到着していないはずと思ったので、近くの駅員にチケットを見せて聞くと、駅の後方を指差し、あちらの車両に乗れとのこと。
良く見ると同じホームの後方に3両ほど別の車両がポツンと止まっています。てっきり回送車か何かと思っていたので、列車標識を確かめると乗る予定の車両番号が連結されています。

多分この38列車はスンガイコロク発の車両とハジャイ発の車両を連結してバンコクに向かうのだと判断しました。タイ国鉄の時刻表をコピーしてきたのですがそのような説明はありませんでした(少なくとも英語では)。

車内はまだ寝台は準備されておらず、少し広めの座席が向かい合わせにあるだけです。細い通路をはさんで二段寝台が並んでいるのですが、やたらとこの四角いパイプが通路にはみ出しています。一部はハシゴ段になっているので上段の客が登るのに使うのは分かりますが、そのパイプの上段と下段に大きな荷物置場が付いています。バンコク駅で大きな荷物をかかえている、いかにも今田舎からでてきました風の人々を良くみましたが、実情に合わせて荷物置場がかなりでかいということです。

乗客は何となく怪しげです。
後方にいるのはサングラスをかけ、耳にイヤリングを付けた小柳トム風あるいは伊武雅刀風の体躯が大きい人相の悪い男が座っています。恐らく何かの密輸商でしょう。荷物がかなりあります。更に反対側に座っている少し若い女性はしきりに携帯電話で話し込んでいるのですが、全て英語です。タイ人は概して英語をしゃべる人が少ないのですが、彼女の英語はかなり流暢でした。みかけは普通の女性です。かなり怪しいです。
また前方には明らかにマレーシア人とわかる服装の親子とまだ乳飲み子を連れています。時々赤ん坊が泣くので、大きい布切れをハンモックのようにフックと足場の角柱に結んであやしています。どう見ても場違いなルイビトンの大きなバッグが怪しい。

日本人と思われる姿は皆無でした。隣の車両にはヨーロッパ人らしい若者の一団がちらっと見えました。
ハジャイからバンコクには飛行機なら1時間半ほどで着くのに16時間もかかるこの列車に乗る客というのは、酔狂な鉄道ファンを覗けば、何かいろいろ理由がありそうです。

多少は遅れて出発するだろうと予想していましたが、結局わずか5分遅れで列車は出発。
先頭車はディーゼル機関車で排気ガスが車内にも少し入ってきます。揺れも結構大きいです。スピードは60キロぐらいでしょうか。停車駅のたびにかなりのショックがあります。

しばらくすると食事担当のおばさんがメニューを持って夕食の注文を取りに来ます。
タイ料理がメインで、カオパット(チャーハン)、パッタイ(平麺の野菜炒め)などが並んでいます。ハジャイ駅で非常食としてバナナを買っていたのでそれで我慢しようと思ったのですが、注文をとりにきたおばさんが新宿の最長老の生徒さんに何となく似ている感じがしたため、思わずカオパット定食を頼んでしまいました。他には余り注文している人はいなかったようです。
おばさんはおもむろに座席の横から板を取り出して少し広めのテーブルを作ってくれます。そして拭かないほうがましかもしれない雑巾(布巾?)で丁寧に拭いてくれました。
しばらくすると揺れの激しい中をよろよろしながらおばさんが料理を持ってきました。チャーハン(=カオパット)に具が多い春雨スープが付いて80Bです。街中よりちょっと高めの感じですが、車内で調理しているようで、熱々でした。

迷った時のカオパットという格言?通りで、エビがたっぷり入って普通に美味しかったです。ところが春雨スープは今まで食べたことがある具だくさんスープの中でもかなり美味しかった部類に入ります。鄙にはまれ的なおいしさでした。

一時間ぐらいするとベッドメーキング担当者?(車掌とは別)が準備にとりかかります。まだ7時過ぎでちょっと早すぎるので、乗客によっては断っています。
車掌は手際よく、上段のベッドは引っ掛けてあるフックを外して引っ張りだし、下段は向かい合わせの椅子を引っ張ると平坦なベッドになり、シーツを敷いて、枕を置き、タオルケットを一枚置いてお終いです。ベッドができるとカーテンが付くのでプライベート空間ができます。
足を十分伸ばせる長さで巾も1メートルぐらいあり、意外にゆったりとしています。

列車はほとんど暗闇で車外が見えないなか、淡々と走ります。
時刻表と見比べていると遅れは15分ぐらいしかなく、十分想定内です。

夜の9時過ぎになるとどこも寝台の準備が整って皆カーテンを引いています。
途中何カ所かの駅に止まって人の出入りがあったような記憶はあるものの気がつかず、真夜中2時ぐらいにトイレに行こうと思って靴の方を見ると若い女性が履くサンダルが置いてありました。いつのまにか上段に乗客が乗っていたようです。昔、国語の先生が教えてくれた、桜という字の旧字(櫻)を覚える方法、”2階(貝)の女が気(木)にかかる”とはこのことでしょう。

列車のトイレは懐かしいステンレス製金隠し付きのボットン便所です。廃棄物がダイレクトに線路に落ちるタイプです。だから列車が停車中は使用不可のはずですが、走行中使用するのは列車の揺れが大きいのでなかなか難航します。

夜行列車はエアコンが異常に効いていて寒くて寝れなかったという情報がインターネット上にいくつかあったので上着を用意していましたが、室温は25度ぐらいに保たれており、湿度も70%程度でそれほどではありません。確かに女性は皆薄手のカーデガンのようなものを羽織っていましたが、タオルケット一枚でもなんとか寒さはしのげます。

6時頃に夜が明けていたようですが、何度か目が覚めながらも列車はほぼ順調に動いているようです。時々通過する駅では既に朝の活動が始まっています。

ベッドメイキング担当者がベッドを座席に戻して良いかとジェスチャーで示してきます。強制的に決まった時間に戻さないシステムのようですが二階の女性は洗面に行っていたようで、座席に戻してもらいました。

さっそく新宿の生徒さんに似た例のおばちゃんが愛想良く、朝食を食べないかとメニューを持ってきます。それほどお腹は空いていなかったのですが、何となく洋食のモーニングを注文。なぜかディナーメニューより高いB100します。
内容は二つの玉子の目玉焼き、ウインナー、ハム、ポテトチップ、オレンジジュース、コーヒー、トースト、果物というなかなか本格的風です。

トーストは焼きが足らなく少ししとっとしていますが味は悪くありません。バターとパイナップルジャムが付いています。オレンジジュースは懐かしい粉末ジュースの味がします。コーヒーは当然のように砂糖がたっぷり入ったミルクコーヒーですが、カップギリギリまで入っていたので、持って来る間に10%はこぼれていました。果物は薄いスイカ一切れです。ハムの味がベロ検査機に反応し少しヤバいかもというレベルでしたが、大した量ではないので食べました。後で特に問題はありませんでした。

このあたりの駅から物売りが乗り込みいろいろな朝食用の食事などを売り始めます。
制服を着ていないので地元の人が勝手に売っているものだろうと思います。列車が走り初めても売っているので次の駅までこの列車で売って、反対の列車でまた売りながら戻るようです。タイの列車はほとんど検札がないので多分無賃乗車でしょう。車掌もそれは分かっていると思いますが、目くじらを立てて運賃請求のような細かいことを言わないのがタイ流で優しいです。

大きな特徴のある寺院の屋根が見えるナコンパトム駅に到着しました。実はここからバンコク駅までは一度乗ったことがあります。ここから、ナムトク行きの線が分岐しているのですが、”戦場に架ける橋”で有名になったクワイ川鉄橋のあるクワイ駅が途中にあるからです。有名な観光地なのに列車は一日数本しかなく、帰りはバスに乗った記憶があります。

バンコクに近づくと急にカラフルな色のタクシーが目立ちはじめます。
もう少しで終点という時に、何度も停車して、遅れがだんだん大きくなってきました。バンコク駅のホームが混んでいてなかなか入線できないようです。それでも11:05には無事バンコク駅に到着しました。一時間以内の遅れですので、多分”遅れなし”ということになります。まあ16時間以上も走っているので良しとします。

バンコク駅は頭端式ホームになっており、上野駅のように全ての列車が行き止まり式になっています。このためホームに降りると先頭車両の方まで歩くことになります。一等寝台から三等車まで全部10両編成でした。食堂車も連結していました。ディナーとモーニングは多分ここで作られたのだと思います。次回は試してみたいです。

16時間はかなり退屈するかなと思いましたが、寝台車両だったので、結構良く寝ることができ、車窓からの風景、車内の様子などを見ていると楽しく過ごせました。
















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最終更新日  2011.06.04 03:47:02
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