千住真理子サンのヴァイオリンリサイタルv
N市で今日行われたヴァイオリンのリサイタルへ行ってきた。僕はレッスンの帰りで、大慌てで行ったにも関わらず開演ギリギリだった。それでも胸を弾ませながら席に着いた。今まで何度も夢にみた千住サンのリサイタル。彼女のリサイタルは多分あちらこちらで行われているのだと思う。ただ、僕が開演時間に間に合うように行かれるだろう所で行われるのは僕が千住サンを知ってから初めてのように思う。リサイタルはアヴェ・マリアから始まった。緩やかなテンポで優しい音。ゾクゾクした。それも鳥肌が立つほどに。昼食を食べたのを最後に6時間以上何も食べず、レッスンを渾身をこめて受けた後会場までの道のりを一気に駆けたにしてはお腹が空かない。もうそれどころではなかったのが現状だった。弾いている千住サンを見ているだけでも心が穏やかになる。その上、ストラディヴァリウスの柔らかい中にもハリのある落ち着いた音。もうこれ以上にない幸福感だ。僕は、自分が創りたいバイオリンの音色を探しに、上手く弾けるようになるためのコツを探しに、リサイタルやコンサートめぐりをしている。めぐり、とは云っても近隣で価格の安いものだけに絞られるけれど。今回もそうだった。でも、リサイタルが始まって暫らくすると、僕はもう最初の趣旨を忘れて聴き入った。生演奏の魅力、音の魅力、楽器の魅力・・・・。すべてがそこにいる人間全員に幸福の時を配って回っているようだった。音楽は顔をしかめて聴くものではない。心から感情を受け取って音楽の物語をさ迷いながら聴くのだ。書き尽くせていないが、今回のリサイタルで僕は本当に学ぶべきものを学んだような気がした。たった一つのことからにも見方が限りなくあるように、学ぶべきことも一つではない。もう少し生きてみようと思った。なんとかなるのかもしれないと思えた。パズルのピースの一つ一つが何らかの意味を持っている事を知った。それで十分。後は 脚を踏み出すだけ。