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イリスの『始まりの合図』に反応したかのように、辺りに突風が吹き始めた。 「ど・・・どうする?」 あまりの風の強さに、フレイアは息を呑んだ。おそらくはイリスが風を操っているのだろうが、風が強いということは、風を操っているイリスも相当強いということなのである。 強大な力に肌がピリピリするのをこらえ、ルクスは肘でフレイアをつついてこそっと耳打ちした。 「このままやってもおそらく勝機はない・・・だったら・・・」 「だったら?」 「逃げるぞ」 「うん、逃げ────えっ!?」 突然の逃走宣言に、フレイアは驚いて後ずさった。 「でもどうやってこいつから逃げるわけ!?」 「そこはホラ、お前の魔法で何とかなるだろ」 「空間転移系の魔法は苦手なんだよ!」 「どっちにしろこの場から逃げるにはそれしかないだろ!」 それを聞くとフレイアは返事に困ったような気の抜けた声を出し、分かったよ、と小さく頷いた。 「言っとくけど、どこに飛ぶか分かんないからな。宇宙空間とか湖の底とかでも文句言うなよ」 「はいはい」 というよりそこだと空気ないから文句言えないじゃん、と一瞬考えたが、それは顔に出さずに返事をした。 「手、離すなよ」 それだけ言い、数秒後に二人の足元に魔法陣が展開し、そこからとても強い光が溢れた。 「あ!待ちなさいよ!」 イリスが空間転移の魔法だと気付いた時にはもう遅く、二人はその場から消えていた。 「もう、覚えてなさいよー!」 「何とか逃げ切ったな」 「ホント、宇宙空間じゃなくて良かったよ」 二人が空間転移の魔法で飛ばされたのは、銀色の機械が立ち並ぶ奇妙な建物だった。 「でも・・・人の気配がたくさんだな」 もしかしたら魔王かオートマータの基地なんじゃないかと一瞬嫌な考えが頭をよぎり、ルクスはその考えを振り払うように頭をぶんぶんと振った。 「お前達、何をしている!」 突如背後から聞こえた声に振り返ると、片手でダブルセイバーを構えた少女がもう片方の手を腰に当てて立っていた。 肩につくくらいの長さできれいに切りそろえられた桃色の髪を揺らし、少女はツカツカとルクス達の方に歩み寄ってくる。二人は息を呑み、少女の反応を待った。 彼女はダブルセイバーを振り上げ────ルクスの目の前でそれを止めた。 「いろいろと聞きたいことがあるからな。とりあえず部屋に来てもらおうか、お二人さん」 少女は人差し指を突きつけ、いたずらっぽい笑みを浮かべた。 あとがきと言う名の言い訳 ちょっと間が開きましたが、無事第五話up完了です。 第五話にしてようやくヒロイン登場・・・しかもRPGなんかの正統派ヒロインとはあまりにもかけ離れたタイプ(笑) あと、友人から誤字の指摘が数ヶ所・・・ すんませんっ!!!!!! 次回の更新はまだ未定です。今週末に英検の二次試験があるので、更新は日曜の夜くらいになるかもです。 H18.11.8 Melon.Tsukigase お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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