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カテゴリ:ライトノベルス
角川ビーンズ文庫
少年陰陽師シリーズ 天狐編

平安時代、藤原道長の時代。稀代の大陰陽師、安倍晴明の孫、半人前の陰陽師、安倍昌浩が主人公。

今回は、天狐同士の争いと、藤原氏に一族を皆殺しにされた怪僧の復讐が絡み合い、天狐・凌壽(りょじゅ)と怪僧・丞按が手を組む。そして藤原一族の長、道長への呪詛をことごとく打ち破った陰陽師であり、天狐・晶霞(しょうか)が一族の一員と認めている安倍晴明を狙う。それぞれの思惑は違うが、安倍晴明以外にも、天狐の血を受け継ぐ孫の昌浩がいることに気が付き、今度はより狙いやすい昌浩を狙う…

一方、藤原彰子姫の身代わりとして「彰子」として中宮になった異母姉妹の章子は、自分を救ってくれた若い陰陽師に心を奪われ、彼が「中宮を守る」と約束した相手は自分ではなく彰子であることに気が付き、彰子に嫉妬する。その心の闇に丞按が忍び寄って…

今回は、最初、章子の視点から物語が語られます。藤原道長の娘として生まれながら、正室の産んだ長女と同じ日に生まれたために、父からも顧みられず、母も早く亡くなり、隠されるようにひっそりと母の館に住んでいた。正室の娘である彰子が入内直前に妖に攫われ、呪詛を受けることがなければ、たぶんそのままひっそりと暮らしていただろう。(もっとも、身分の低い女の娘であっても、藤原道長の娘であれば母親が死んだ時点で引き取るなどして、そのような蔭の暮らしをしていたという設定自体が変じゃないかとも思いますけど。)それがある日突然、正室の娘「彰子」として入内しろと言われた。お付きの女房たちも新しく雇い入れたものばかりで、だれも昔の「彰子」を知らない。ただでさえ、気疲れする宮中の暮らしでしかも自分を一生偽らなければならない。なまじ異母姉妹の彰子とそっくりだったためにおこった出来事だった。

自分はこんな哀しい思いをしたのに、こんな恐い思いをしたのに、のうのうと育ってきた異母姉妹は、自分が愛しいと思った者のそばにいる。それが憎らしかった。
彰子が何故入内できなかったのか、見鬼の才を持つ故の恐ろしさ、何度も妖に狙われ生き延びてきた彰子のつらさを知らずに、ただ自分が不幸だと思った章子。天狐編はまだ続きます。

【本日の言葉】
p90「お前が一番しなきゃいけないのは」
「俺たちに、あれをやれこれをやれそれもみんな全部やれ、とわがままを言うことだ」
「些細なことでも他愛ないことでも命令だ、と言われたら否とはいえないのが式だからな。それで、一番大事なときに俺たちより危ないことを引き受けて、大変な重荷を背負って、絶対に膝をつかないで前だけをみていればいい。」

昌浩と彰子、歴史はどうあれ、けっこううまくいくかなと思っていたところに、こうなりましたか…。







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Last updated  2005.01.06 23:51:23
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