|
カテゴリ:小説
中央公論社C・NOVELSファンタジアの新刊です。 帯のあおり文句が「奴隷となったおれを買ったのは、冷酷で名高い灰色の女王」 ここは皇血族(ブラッド)とそうでない者のいる世界。そして皇血族は、その持っている玉の色で本人の能力の序列がわかり、女王を頂点とする皇血族としての序列と必ずしも一致しない。 「女王」は国の支配者という訳ではなく、大地と交流しその土地の統治権を持っている魔女という意味なので、その単位によって郡女王や州女王などの下級女王と、領国女王などに分かれる。女王の下は、「煌戦士」、「黒寡婦」、「祭女」「癒し手」(同格)、「魔女」「戦士」となる。これより下は「玉なし」「混血」「非皇血族」となる。 玉は、ここは魔女が最高位のためか、最高は黒、最下位の白まで13色。 黒、灰黒、灰色、紅、藍、翠、虹、夕紫、夏空、薔薇、虎目、黄、白 (現在、上位3色を持つ者はほとんどいない) 主人公のジャレッドは紅玉持ちの戦士でありながら、制御の輪をはめられ奴隷にされてしまい、さらに女主人殺しの罪により、奴隷市で競売にかけられ、冷酷無比として名高い「灰色の女王」グリゼルに買われてしまう。気の強い壊れた魔女、世知にたけた少年など一筋縄ではいかない奴隷ばかり買い込んだ女王は、領国へと向かう。しかし、灰色の女王を亡き者にしようと「紅玉の魔女」ドロテアの魔手が襲いかかる・・・・・ 不思議な序列の世界と、灰色の女王の不可解な行動、おもわず一気読みでした。 ストーリーは、こんな感じなのですが、気になったのは、ジャレットと女王がチェスをするシーンがあったのですが、なにかこのストーリー自体がチェスみたいな気がしました。 チェスの世界といえば「鏡の国のアリス」がそうなのですけど。 ただチェスでどうも発想の違いを感じるのが女王の扱いです。将棋とチェスを比べると王は大して変わらないのですが、チェスにある女王が将棋にはありません。飛車と角の両者を併せ持つ行動力なのですが、それがなぜ「女王」なのか。女王は温存しておくのか、もっとも強いが故に最前線に向かわせるのか。 【本日の言葉】 p132「使い捨ての駒などというものはない」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[小説] カテゴリの最新記事
|