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カテゴリ:ライトノベルス
月魄霊鏡 斎姫シリーズ、「斎姫繚乱」になってから11巻目です。 はじまりは「斎姫異聞」シリーズ。 平安時代、藤原道長全盛期のころ、主人公の源義明は蔵人権頭。しかし破魔の力を宿し、不動明王の力を顕すことができる。「神の子」として式神を使役し不思議な力を宿し、先々帝の姫であり義明の妻でもある「宮」とともに、都の怪異を解決していく・・・・ という話だったのですが、「斎姫繚乱」シリーズになってから、月の姫「香久夜」が現れます。彼女は昔恋した長屋王の生まれ変わりを求めてやってきました。そして長屋王は義明なのではないかと思い、いろいろ仕掛けてきます。 今回は香久夜の持っていた「月の鏡」を持ち出したモノの仕業で、宮と道長の娘、威子の魂が入れ替わってしまいます。宮の魂が道長の娘の身体に入っていると分かった義明は、道長の館に向かいます・・・ この斎姫シリーズ、設定自体は単に時代背景を借りただけのファンタジーのようなのですが、時代背景自体が妙にリアル・・・ 今回の威子も、道長が娘3人を中宮にしたという3人目ですよね。たしかに11歳の甥っ子のところに20歳で嫁ぐ・・・というのはちょっとお互い可愛そうな。 道長に関わる政争については、皇后定子とその皇子たちの話も出てきましたが、今回は堀川院(史実では堀河院)の左大臣顕光一家の話が出てきます。 昔、中公新書で「承香殿の女御」という本があり、一条天皇の女御、藤原元子が主人公でした。元子は顕光の娘で、皇后定子の父の失脚後、道長の娘彰子がまだ入内する年齢に達しなかった間に、一条天皇の女御にあがった姫です。彼女は妊娠して意気揚々と御所を退出するのですが、「水」を産むという(早期破水?)ことになり、以後御所に戻らなかった。一条天皇の死後、プレイボーイの源頼定と恋に落ち、駆け落ちすることになる。 その妹の延子は、皇太子の敦明親王の妃となり皇子も産んだのだが、敦明親王は道長の策略で皇太子を辞退し、道長の孫に譲る。そして「小一条院」として上皇相当の地位を得、道長の娘を妃に迎えることになる。顕光は左大臣ではあるが、実権はなく、失意のうちに泣くなり、やがて「悪霊左府」という怨霊として有名になる・・・ 今回は、そこまでは出ていないのですが、主人公たちの設定以外は結構史実に忠実に進んでいるので、やがて堀河院の人々にさらなる不幸が・・・ ところで、「長屋王」の生まれ変わりについては、前の巻で長屋王の父、高市皇子の母である尼子娘の名前が出てきたことから、義明ではなかったことがほぼ確定・・・だと思います。 【本日の言葉】 p210 いつまでも物語のような恋を待ち望むのは、愚かしいことですよね。義明様と奥方様を見て、考え直しました。たとえ親が決めた縁談でも…私も、今上様を心からお慕いできるよう努力しようと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.02.10 22:57:47
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