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カテゴリ:音楽の力
今日はどこの教会でも、待降節のクリスマスコンサートが行われていることでしょう。
私の大好きな合唱団に、東京ハインリッヒ・シュッツ合唱団があります。 何が良いかって? まず、声が自然で無理なく美しいことが挙げられます。そして皆さんが自己解放しているので清潔感があり、声が澄んでいるのです。 それには指揮者の淡野弓子先生の古楽に対する造詣の深さと、音楽の伝導者としての魅力が、団員にしみわたっていることが大きな要因と思われます。 在籍20~30年の団員が中心です。今年11~12月にかけてドイツ公演に行ってきました。向こうの新聞でも話題になったそうです。 話題が変わって18世紀になり、オペラも大きな会場を舞台とするようになって、声も大きな声が要求されるようになり、美しさの基準が変わってしまいました。美的感覚がシフトしたのです。 それまでの古典唱法といわれる発声法は、ひびきを重要視した繊細なニュアンスが魅力的でした。その為に調律法も現代のA=440ヘルツでなく、415とか420へルツを採用していました。 東京ハインリッヒ・シュッツ合唱団は、ルネッサンス、バロック時代の発声法を実践していて、その声で現代曲も演奏しています。 レパートリーは、ルネッサンスから現代物まで幅広く、澄みきった透明な声は他のプロの合唱団の声より深く心に沁み入ります。 今日のプログラムは、 Zoltan Kodaly(1882~1967) ゾルタン・コダーイ 「Veni Emmanuel] 来れ、エマヌエルよ Johann Walter(1496~1570) ヨハン・ワルター 「Joseph,lieber Joseph mein」 ヨセフよ、愛する私のヨセフよ、 Michael Praetorius(1571~1621) ミヒャエル・プレトリウス 「Psallite]賛美せよ、 G F Handel ヘンデル 「メサイア」第一部 預言と降誕 武久源造 新作 「詩編第二編」ア・カペラ合唱曲 「なにゆえ国々は騒ぎ立ち、人々はむなしく声をあげるのか」 初演は、今年12月11日 ドイツ、ヒルデスハイム 聖アンドレアス教会 日本初演です。 私は開演直前に駆けつけ、団員の皆さんが待機している中を礼拝堂に入れて頂きました。席に付くやいなや、後ろから歌いながら入ってくるという演出でした。 どの曲も生命感が溢れこころが躍動し、エネルギーがここち良く、心と身体の深くまで入ってきて元気溌剌になり、発想が豊かになりました。 とりわけ、メサイアはバロック独特の立体感、この世から天国まで届くような構成、構築感は至福の空間でした。 武久作品は「Warum なにゆえ」をテーマに、時代を高次元から読み取ったような作品で、現代の世相を深く表現した傑作で圧巻でした。 彼は全盲ですが、その作品は音楽言語が個性的で、独創的な表現法は後世に残る作品となることでしょう。因みに私は、かって10年間ばかり彼から、チェンバロ、オルガン、フォルテピアノのレッスンを受けていたことがあります。得がたい内容です。 この冬最初の寒波到来で、外は厳しい寒さだったのですが、心身ともに満たされた素場らしいプレゼントで、心はひとあし早く春が来たようにポッカポッカ暖まって家路を急ぎました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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