高校野球、審判員活用制度
昨日に引き続き、書籍『高校野球が危ない』(小林信也著、草思社)より引用。東京都では、春と秋の大会は、ブロック予選を勝ち抜いたチームが都大会を戦う。その上位ベスト8に勝ち進むと、晴れて神宮第二球場に舞台を移す。だが移った途端、投手たちは一様に「特別なストライクゾーン」の洗礼を受けることになる。投手が「どうだ、間違いなくストライクだろ!」と思う球が、ことごとく「ボール」と判定される。「ボール」「ボール」と判定が続くと、投手にとってはいったいどこに投げれば良いのか、次第にわからなくなくなる。四球のランナーを溜めた後、困った末にど真ん中に投げた球がガツン!と長打を浴びる・・・これが神宮外苑の洗礼だ。「ストライクゾーンが狭いことが、レベルの高さを証明するのだと思っているのですよ」東京都の若い審判員は、組織の上層部のことを、そう断言している。一方の甲子園。こちらは「ストライクゾーンが広い」ことで有名。ストライクゾーンが「狭い神宮」「広い甲子園」。よほど、その違いに慣れている常連高じゃないと、両球場での対応に困りますよと、現場の監督たちが顔をしかめる。------------------------------------------------------高校野球の審判員。ハッキリ言って高いスキルをもった人ばかりではない。明らかに誤審ではないかと思える判定が頻繁に起きている。フィジカルチェック、視覚検査、ジャッジの検査を毎年行う必要があるのでは? との声もあるが、まだできてはいない。その理由のひとつは、中高年層の審判員が多いことにある。そのような検査を本当にやったら、いったいどれだけの審判員が合格できるのか疑わしいという、笑えない現状がある。ならばと---、著者は、新しい審判員の活用を提案する。それは、夏の大会でベンチに入れなかった三年生たちを、審判員として育成しようというもの。あらかじめ審判を募って夏の大会が近くなったら簡単な研修を行い、主審は無理としても塁審をどんどんやってもらう。大会の最後には、動きがよくジャッジが的確な三年生審判員を監督たちから評価してもらい、MVPを決めてもいい。この新しい審判員プラン、ボクは大賛成だ。例えベンチ入りできなくとも、選手たちが大会に参加できる道が拓けることになる。これをきっかけにアマチュア野球の審判を目指す学生が増えることにつながれば、こんないいことはない。-----------------------------------------------------------ここまで書いて、先日このブログに書いた平林岳氏のことを思い出した。高校三年の夏、野球部の選手だったもののベンチ入りはできなかった。本人の希望は選手ではなく審判だったため、大会終了後に、すぐさま地元の草野球連盟の審判員に申込み、大学時代は授業を受けることさえ忘れてしまうほどに、アマチュア審判業にのめり込んだ。以降、プロ野球パ・リーグの審判員を9年間務め、現在はメジャーの審判員に挑戦中の人である。1日1クリックお願いします >>人気ブログランキング