元西鉄・和田博実氏、死去
6月22日、元・西鉄ライオンズの和田博実氏(臼杵高)が膵臓がんのため亡くなった。和田氏と言えば、西鉄ライオンズの黄金時代(1950年代後半)にエース・稲尾和久の女房役としても名を馳せた名捕手だった。一昨日のテレビ番組『サンデー・モーニング』(TBS系)でも和田氏の訃報を取り上げていた。2007年に稲尾氏が死去した直後、和田氏にインタビューし、「自分もあの世に行ったら、今度はお前のカーブを受けてやるからな」とと話す和田氏の表情を映していた。番組中もこの発言の裏にあるエピソードを解説していたけれど、『あま野球日記』も過去に少しだけ触れたことがあったので、引用したい。----------------------------------------------------------■以下、「稲尾和久氏の死と、西鉄ライオンズ」(2007.11.14)より引用。Number Video『西鉄ライオンズ 銘々伝』を久方ぶりに見た。スリークオーター気味で、ゆったりとしたフォーム。持っている球種は少なく、直球、スライダー、シュート。稲尾さんの武器は、緻密な制球と巧みなコンビネーションだった。ビデオを見ていて、こんなエピソードを知った。稲尾さん、しょっちゅうマウンドで女房役・和田捕手とケンカをしていたらしい。例えば、こんな話がある。稲尾さん、自分ではカーブに「根拠のない」自信をもっていた。だから、ピンチでカーブを要求しない和田捕手のサインに不満を募らせていた。和田捕手をマウンドに呼びつけて「ここはカーブを投げされろ」という。でも返事はにべもない。「お前のカーブはダメだ。絶対に打たれる」「打たれない!」「打たれる!」・・・・・そう言い争っている二人を見て、ショート・豊田泰光さんが慌ててマウンドに駆けつける。すかさず和田捕手が豊田さんに言う。「カーブを投げるっていうんだけど、ダメだと言ってやってくれ」「稲尾、お前の投げるカーブは曲がらないぞ」 (豊田)「ちゃんと曲がるんだよ」 (稲尾)「いつも曲がらずに打たれているじゃないか。いつから曲がるようになったんだい?」 (豊田)「今朝から曲がるようになった・・・」 (稲尾)「??? もう勝手にしろ!」 (豊田+和田)落語の中途半端なオチみたいだけど、稲尾さんにはそんな茶目っ気もあったらしい。いや、本人は大マジメだったかもしれないが。-----------------------------------------------------------------いまごろ稲尾さんと和田さんはキャッチボールでも始めているだろうか。そうそう、西鉄黄金時代の二塁手・仰木彬さん(2005年12月死去、元・近鉄監督)もいた。好きな酒でも飲みながら、2人の様子を見ているに違いない。ご冥福をお祈りいたします。◇豊田泰光の関連記事「あま野球日記」バックナンバーより。「木佐貫洋へのアドバイス」 (2007.12.7) → こちらへ。◇仰木彬の関連記事「あま野球日記」バックナンバーより。「仰木彬×権藤博→阿波野秀幸」 (2009.2.28) → こちらへ。 今日も1クリックお願いします