持ってた、斉藤佑樹が完投。そして横浜高OBの明暗~成瀬善久と涌井秀章
■プロ野球が開幕した。今日付の朝日新聞スポーツ面の大見出しは「持ってた 斎藤完投」。ほかのどんな言葉も必要なくて、この表現がすべてを言い表していると思った。9回、被安打4、奪三振7、与四死球4、自責点1。「頭が真っ白というか、興奮してます。ダルさんの穴を絶対埋めるという気持ちで開幕に臨みました。今は"持ってる"ではなくて、背負っています。ダルさんの穴をすき間だらけかもしれないけど、埋められるよう頑張ります」早稲田大時代の「持っている」発言以来、「持っている」ことを証明するために幾度も訪れる試練。それをひとつひとつクリアして、昨日の開幕戦も見事にクリアした。何よりボクは白星よりも完投したことに驚いた。へぇ~、斎藤って完投できるんだ!? と。大学時代はいつも途中降板して大石達也(現・西武)に救援を仰いでいたから。大事な場面での完投勝利、やっぱり斎藤佑樹は「持っている」?■ロッテの開幕投手は成瀬善久、西武は涌井秀章。この横浜高OBがそれぞれ「ハンカチ世代」の楽天・田中将大、日本ハム・斎藤佑樹と投げ合い明暗を分けた。成瀬は開幕投手3度目の挑戦で、初めて白星を挙げた。6回2/3、被安打7、奪三振7、与四死球1、自責点1。「純粋にうれしい。粘りの投球ができてよかった。今年のロッテは違うというところを見せたかった」一方の涌井、5季連続で迎えた開幕マウンドは制球に苦しみ、5回途中で降板した。4回、被安打6、奪三振2、与四死球5、自責点5。「試合を壊してしまって申し訳ない」■2003年、成瀬が横浜高3年、涌井が2年の時、2人は揃ってセンバツに出場し、主に成瀬-涌井のリレーでチームを準Vに導いた。その時のアーカイブを下記に。2回戦 ○横浜高 10-0 盛岡大付高3回戦 ○横浜高 8-4 明徳義塾高(延長12回)準々決勝 ○横浜高 3-0 平安準決勝 ○横浜高 5-3 徳島商高決勝 ●横浜高 3-15広陵高2回戦の盛岡大付高戦は成瀬-涌井のリレーで5安打完封。3回戦の明徳義塾高戦は9回から涌井が好リリーフを見せて勝利。準々決勝の平安高戦は成瀬が完封勝利した。準決勝の徳島商高戦は成瀬が先発、9回2死から涌井が救援して辛勝した。以下、『プロ野球選手の甲子園伝説』(宝島社)より引用。小倉清一郎部長の提案で新チームからメガネをやめ、「栃木の田舎者」から脱皮したエース・成瀬が好投。ストレートは130km前半がやっとだが、我慢の投球で、7回まで4安打1失点。4試合目の疲れもあり、8回、9回には5安打で2点を返されたが、横浜にはまだこの男がいた。涌井秀章だ。2年生で140kmをマークしていた本格派右腕は2点差に詰め寄られた9回二死二塁で登板。ライトフライで試合を終わらせた。「成瀬さんは最後球が行ってなかったので、出番があるかもと思ってました。最後は速い球で押しました」2人が協力して勝ち進んだ横浜高だったが、決勝の広陵高戦は大敗した。この試合先発の涌井が打ち込まれ、4回からリリーフした成瀬もつかまって20安打、15点を献上した。■優勝した広陵高のエースは現・読売の西村健太朗。徳島商高には平岡政樹(現・巨人球団職員、専修大在学中)がいた。またこのセンバツ大会には好投手が揃っていた。東洋大姫路高のグエン・トラン・フォク・アン(元・東芝)、遊学館高の小島達也(現・阪神)、浦和学院高の須永英輝(現・読売)など。ボクが最も記憶しているのは準々決勝の花咲徳栄高対東洋大姫路高戦。福本真史投手とアン投手の投げ合いは、まさに死闘だった。試合はスコア2-2のまま延長15回引き分け。そして翌日再試合も延長戦に。接戦の末延長10回に東洋大姫路が6-5でサヨナラ勝ちした。(※主審は両試合とも林清一さんが務めた)あ、そうそう、この大会にはダルビッシュ有(現・レンジャース)が東北高の2年生エースとして出場していた。 今日も1クリックお願いします