沢村栄治の凄さ~NHK『クローズアップ現代』より
■沢村栄治の投球フォームといえば、(写真上)のように「高く蹴り上げた足」が定説になっていたが、実はそうではなかったらしい。このほど見つかった昭和11年当時の映像(※)には、さほど足を上げず低い姿勢で投球する沢村が映し出されていた(写真下)。これまで沢村の動画を見たことがなかったのでその定説を信じるしかなかったけれど、そうではなかったのだ。この貴重な映像を紹介したのは、NHK『クローズアップ現代』(一番下の動画を参照ください)。(※)初の日本シリーズで、巨人がタイガースを破り優勝を決めた試合。 ■じゃあ、高く足を上げた写真はいったい何だったの? とも思うが、今日のところは、沢村栄治という投手はいかに偉大な投手だったか、そのことについて触れておきたい。大和球士さんは、沢村について『野球百年』(時事通信社)にこう書いた。「沢村投手が大投手と言われる最大の原因は、冠絶した快速球と、速球とたいして変わらないスピードを持つドロップのコンビネーションにあった。快速球は低いボールコースを走ってきても、プレート近くでホップして中央のストライクになり、ドロップは三段に屈曲して高いボールコースから低めいっぱいのストライク圏に落下してピタリと決まった」。■阪神・松木謙二郎も、ほぼ同じことを回想している(千葉茂著『猛牛一代の譜』より)。松木さん曰く、「長いこと野球やったり、見てきたけどあんな凄い球はその後ないやな。(手ぶりをまじえて)こうボールが低めに来るやろ、膝からずっと下や、こりゃボールや、クソボール、そう思ったら、あんた、それがグッーと伸びてきて、真ん真ん中のストライクや、あんなにボールて伸びるもんかと思うほど。最初は狐につままれたみたいや・・・凄かったでえ。それだけやない。あのドロップ、これもまだその後お目にかかれんわ。なんやこう(また手ぶりが入って)一回、グッと伸びて、高いボールになるかと思ったら、それがあんた、スコーンと落ちるんや、これはもう沢村の独壇場や。あれを打つのは人間の目じゃとてもとても・・・ほんとうに、沢村の全盛時代は凄いちゅうか、なんちゅうか・・・」 ■いやはや、なんちゅうか、投球フォームがどうであれ、凄い投手であったことに違いはない。<関連記事>沢村栄治にアイスを奢ってやった苅田久徳http://plaza.rakuten.co.jp/amayakyuunikki/diary/200908090001/(写真上)沢村栄治、定説の投球フォーム。『日本プロ野球偉人伝』(ベースボール・マガジン社)。 (写真下)昭和11年日本シリーズの動画に映った沢村栄治。「高く蹴り上げた足」どころか、腰をきわめて低く落として投球している・・・(NHK『クローズアップ現代』) 告!当ブログは「野球ブログ瓦版」に参加しています。もしよろしければ、下記のサイトもご覧ください。こちら→ http://kawaraban.blog.jp/