【東京六大学2021春】慶應が僅かな勝機を活かし先勝~好打者を8番に置く理由
昨年秋は早稲田大・蛭間の本塁打で大いに盛り上がった早慶戦。今季は、慶應義塾大が手堅い攻撃で早稲田に先勝した。慶應 000 300 000 =3早稲田 010 010 000 =2(慶)森田、生井、橋本達、(早)西垣、原、加藤 試合は4回に大きく動いた。1点差を追う慶應、この回の先頭打者は、今季これまで3本塁打を放っている4番・正木智也(4年、慶應)。初球、2球目とも小さく外に曲がる変化球で簡単にカウント0-2に。そして3球目、正木はやや真ん中に入った直球を捕らえると、打球はぐんぐん伸びてバックスクリーンに飛び込んだ。今季4本目の本塁打は、貴重な同点弾となった。 慶應の攻撃は続く。5番・下山悠介(3年、慶應)も安打で出塁すると、送りバントなどで二死二塁のチャンスに、打率3割越えの8番打者・朝日晴人(3年、彦根東)が二遊間に内野安打を放ち下山が生還。慶應が逆転に成功し、さらに安打と敵失で3点目を挙げ、結局これが決勝点となった。 試合終了後、インタビュアーに「今季序盤は福井主将を8番に置き、途中からは好調の朝日選手を8番に置いている。当たっている選手を8番に置く理由は何か?」と問われ、堀井哲也監督は「東京六大学はDH制ではないので、9番・投手の前のバッターが非常に大事だと考えている」と答えていた。 今季は「つなぐ野球」を標榜する慶應。ゆえに8番打者を下位打線の中軸の打者ととらえ、1点でも多くの得点を稼ぐため8番打者は大切だと、おっしゃっているようだった。(写真)慶應8番・朝日晴人。BS朝日より。 アマチュア野球界で調べてみると、8番打者について書かれた記事を福岡大大濠高関連で見つけることができた。今春のセンバツ、福岡大大濠ー具志川商戦。この試合は延長11回、一発長打力のある8番打者の豪快な一発で福岡大大濠が勝利を収めた。勝負強い打者を8番に置いた理由について、福岡大大濠の八木啓伸監督は2つの理由を挙げていた。ひとつ目は「得点源を打順の中で2つ作りたいから」。中軸までで得点した後、走者がたまったところでさらに加点を狙いたいこと。そして2つ目は「気負わず、リラックスした状態で打たせたい」と。 近年は2番打者について語られる機会が多かったが、8番打者ももっと注目されれば面白いと思った。 ※朝日晴人。彦根東時代は増居翔太(現・慶應大3年)や、今日の早慶1回戦で登板した原功征(現・早稲田大3年)らがチームメイトだった。 2018年、彦根東はセンバツ大会に出場した。朝日は3番・セカンド。初戦は慶應高と対戦して4打数3安打の活躍。相手慶應には現チームメイトの宮尾将、下山悠介、生井惇己らがいた。そして、続く3回戦は花巻東と対戦。この試合も朝日は活躍を見せたが、延長10回の激戦の末に敗れた。 彦根東のエース・増居が9回まで花巻東をノーヒットノーランに抑えていたが、延長10回裏に初安打を浴びると、最後はサヨナラ犠飛で惜敗した。この試合のことは、とても強くボクの記憶に残っている。